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上田桃子✕蟬川泰果 対談「ジャガー・ランドローバーと共に戦う想いと将来への展望」

2024年、上田桃子のプロゴルファー生活は20年目を数える。アマチュア時代に史上初めて日本ツアーで2勝した蟬川泰果にとっては勝負の年。長らく、女子ゴルフとジャガー・ランドローバーブランドの顔を務めてきたレジェンドと、昨年新たに「ランドローバー・ドライバーズ」に加わり世界挑戦を志す23歳が、初めての対談で愛車への想いとシーズンの展望、将来を語り合った。

2人が初めて挨拶を交わしたのは昨冬のこと。しかし、蟬川泰果にはその眼に上田桃子の立ち姿をはっきりと映した記憶がある。

蟬川:実は僕、小さい頃から地元の兵庫県での(国内女子ツアー)マスターズGCレディース、スタジオアリス女子オープンを観戦していて、上田プロのプレーも観たことがあるんです。

上田:ええ!? 女子の試合を観に行ったりするんですか?

蟬川:去年もスタジオアリスには変装して行きました。すぐにバレましたけど。

上田:貪欲ですね、すごい。私は蟬川プロのことを、テレビを通してもちろん知っていました。アグレッシブなショットでどんどんバーディを獲るプレーが印象的ですが、周りの人からも「飛ぶし、曲がらない。でも、一番うまいのはパターだよ」という評判を聞いていて。

蟬川:嬉しいです…。僕は(上田プロのことを)怖いと思っていました。

上田:みんなたぶんそう思っているはず!(笑)

蟬川:上手い選手には、上田プロのようなオーラがあるんです。プロゴルファーの技術のレベルって拮抗していて、活躍する選手には何か必ずズバ抜けているところがある。中でも雰囲気とゴルフIQが必要だと思っていて、上田プロはどちらも高い選手だと思っていました。

ともに愛車にしているレンジローバースポーツで全国を駆け巡る。流麗かつ荘厳。洗練されたデザインと最新テクノロジーの融合は他の追随を許さない。

上田:もともとドライブが好きで、昔から実家ではレンジローバーに乗っていました。座席が高くて視野が広く、運転がしやすい。車体が大きいにもかかわらず、女性が苦手な縦列駐車も簡単な小回りの良さも魅力なんです。

蟬川:学生時代、東北福祉大のある仙台から兵庫の実家まで運転することもありました。ほとんど疲れを感じず、ほぼノンストップで走ったことも。スポーツカー並みにカッコいいエンジン音、ラグジュアリーなインテリアからも“オトナなクルマ”だと感じます。

無論、2人のプロは年齢的には既にオトナである。上田に至っては今季の国内女子ツアーで3番目の年長シード選手。第一線を走る様子はあらゆる選手たちからリスペクトを集める。

上田:今の時代、ゴルフはすごく変わりました。私たちがプロになりたての頃は、ショットメーカーはアプローチ、パターのどちらかが上手じゃない場合が多くて、どこかに隙があったんですが、今の若い選手はほとんどがオールラウンダー。ですから技術面だけでなく、メンタルやゴルフIQも含めて長所をいかに出していけるか、ということがすごく大事だと感じます。ただ、自分自身はゴルフへの情熱で言えば、昔と変わっていなくて。本当に好きなことを、長く続けている感覚。私がプロになった時に見たベテラン選手って、もっと大人で、成熟しているイメージでした。自分はまだその域にいない気がします(笑)。

蟬川:プロゴルファーになろうと思った最初のきっかけは、テレビ観戦をしていて「この職業に就けばゴルフが毎日できる!」と感じたことでした。大好きなゴルフをただ毎日したいがためにプロになりたいって。

上田:私も当時は一番長く続けられるスポーツだと思って、ゴルフを選んだのですごく似ています。実際にその気持ちが今も続いていて。周りを見ると確かに、今の若い選手と私達の世代の選手とは違うと言われるし、そう感じることも多い。でも、若くても“昭和っぽい”選手もいれば、“令和っぽい”なと思う選手もいて。結局、選手によりけりで、蟬川プロは逆に昭和っぽいなって思いますけどね。すごく闘争心がある感じ。ファイターのイメージがすごく強い。

蟬川:負けるのって…“ウザい”ですよね。僕はどの試合でも優勝を狙うからこそゴルフは面白いと思っていて。ゴルフは何があるか分からない。アマチュアの時から、初めて出た試合から、どんな試合でも「優勝したい。優勝するんだ」と思って試合に臨んできました。年間30試合出るなら、30試合全部勝つ気持ちで望んでいる。その気持ちはずっと変わりません。

2024年シーズンの初戦をアメリカでスタートさせた蟬川は、近い将来、欧米ツアーに定着することを目標にしている。21歳で日本女子ツアーの賞金女王に輝き、米ツアーにも参戦した上田からのアドバイスは金言に違いない。

上田:「寄り道してもいい」という考え方が前提にあると、うまくいくんじゃないかなと思います。海外の選手って本当に個性的な選手がいっぱいいて、すごくパワーがある選手もいれば、「このスイングでこのショットを打つの?」みたいな、型にはまらない選手もいる。そういった選手たちから少なからず影響を受けて、試行錯誤して、自分の良いところを失ってしまうこともあると思うんです。でもそういった時に「影響されてしまった」と、まるで遠回りをしてしまったかのように後悔しないでほしい。

上田:私自身、アメリカで海外の選手に影響されて、昔よりも力いっぱい振るようになったり、トレーニングをすごくしました。それで自分の良いところを失ったかもしれない。でも、それって本当は良いことのはずなんです。良い結果が出ないと、周りには『海外でこう変えてしまったから…』と言われてしまう。でも、そこに落ち込む理由なんてない。『だったら、行かなければいいじゃん』という話なんです。せっかく海外に行った意味をブレずに持っていれば、蟬川プロは成功する選手。そう期待して、ひとりの日本のゴルフファンとして楽しませてもらいたいです。

蟬川:ありがたいですね。僕は僕のスタイル、スイングを小さい頃から自分なりに考えながら、思うように続けてきました。それが良いことだと言われるのは逆にホッとします。ゴルフを嫌いにならずに、どれだけ結果が悪くても、磨き続けることにフォーカスし続けたいです。

上田:でもゴルフをやっていると、90%くらいは裏切られる(笑)。「こんだけやったのに!」みたいに。それでもいつか必ず、答えがあると思って私はやってきました。自信がなくなって、自分の限界が来たかな、辞めようかな、と考えたことが1回だけあります。2013年頃、米ツアーから帰ってくる前のことでしたが、トレーナーさんも、コーチも、決して諦めずにいてくれた。両親の存在も大きかった。「やめてもいい。いつ逃げ出したっていい」と言ってくれる両親だったので、「じゃあ、とことんやるか」と考えられた。環境にすごく恵まれたと今でも思うんです。

蟬川:自分が良いショットを打った、良い結果を残した時、もちろん自分も嬉しいですが、それ以上に周りの人たちが泣いて喜んでくれる。今シーズンは日本で昨年以上の結果を出すのはもちろん、海外で1勝できるように本当に勝負の年にしたいです。

上田:男子は何人もの選手が、本当に海外で勝負できるようになってきましたよね。女子はパワーの差が外国人とそこまでないので、以前から戦えたのですが。

蟬川:松山英樹さんをはじめ、久常涼選手も海外で結果を残しています。自分もそこに続いて、「日本人選手は海外に行ったらダメだ」と言われる風潮を僕らの世代でも変えていきたい。海外で好成績を出すことで、日本の男子ゴルフ界の人気も出ると思うんです。

上田:「今年が最後になっても悔いがないように」という気持ちでシーズンに臨んで5年くらい経ちました。「いつまで」と決めてしまうと、自分でペース配分をしてしまうので。今年もまずは怪我をせずに戦い抜きたい。そして、メジャー優勝を達成するためにプロセスにこだわって、頭を使って良い準備したいと思います。

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