
フェラーリは2026年5月、ブランド初となる量産電気自動車(BEV)「ルーチェ」を発表した。2025年10月の「Capital Markets Day」で示された電動化戦略の集大成ともいえるモデルであり、フェラーリ初の100%電動パワートレイン、そしてブランド初となる5人乗りレイアウトを採用する。価格は50万~55万ユーロ(約1億円)からで、納車は2026年第4四半期を予定している。
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フェラーリといえばV12やV8エンジンが生み出すサウンドやフィーリングに象徴されるブランドだ。そのため完全電動化への挑戦は、多くのファンにとって大きな転換点として映るだろう。一方で創業以来、その時代における最先端技術を積極的に取り入れながら進化を続けてきた。ルーチェは伝統との決別ではなく、電動化時代における新たなフェラーリ像を提示するモデルとして開発された。

ボディサイズは全長5026mm、全幅1999mm、全高1544mm。5mを超えるボディを持ちながら、低く構えたプロポーションはフェラーリらしさを感じさせる。パワートレインは4モーターAWDシステムを採用し、最高出力1050ps、最大トルク990N・mを発生。122kWhのバッテリーを搭載し、一充電走行距離は530kmと公表されている。0-100km/h加速は2.5秒、最高速度は310km/h超を実現するという。

ルーチェでもうひとつ注目したいのがデザインだ。開発には、アップルでiPhoneやApple Watchなどを手掛けたジョナサン・アイブ氏とマーク・ニューソン氏が率いるLOVE FROMが参画。両者は2021年からフェラーリとの協業を続けており、ルーチェはその象徴的な成果として位置付けられている。

外観は従来のフェラーリとは一線を画す。フロントガラス下部にワイパーを配置せず、Aピラー沿いに縦方向で格納する独創的な構造を採用。さらにボディ内部に空気を通過させるエアチャンネルを各所に設けることで、空力性能の向上を図っている。フェラーリによれば、この空力処理によって高い高速安定性と効率性を両立したという。

インテリアも従来のEVとは異なるアプローチを採る。近年増えている大型タッチスクリーン中心のレイアウトではなく、物理スイッチやダイヤルを積極的に残した。ステアリングには実際のスイッチ類を配置し、センターコンソールにはアルミニウムやガラスを用いた操作系を採用。デジタル技術と触覚的な操作感の両立を目指したという。

フェラーリのCEOであるベネデット・ヴィーニャ氏は、ルーチェを「5年にわたる開発の成果」と表現している。EV市場の成長が鈍化し、一部メーカーが電動化計画を見直す中で投入されるルーチェは、フェラーリにとって大きな賭けでもある。しかし同時に、次世代の顧客へ向けた新たな提案でもある。5人が快適に移動できる実用性と、フェラーリらしいパフォーマンス。その両立を目指したルーチェは、ブランド初のBEVという枠を超え、跳ね馬が電動化時代にどのような未来を描くのかを示す重要なモデルとなりそうだ。

フェラーリ ルーチェ 予想車両本体価格: 50万〜55万ユーロ(約8000万円〜1億円)
- ボディサイズ | 全長 5026 X 全幅 1999 X 全高 1544 mm
- ホイールベース | 2961 mm
- 車両重量 | 2260 kg
- 駆動方式 | 4モーター(AWD)
- 排気量 | 3982 cc
- 最高出力 | 1050 ps(772 kW)
- 最大トルク | 990 N・m
- バッテリー容量 | 122 kWh
- 一充電走行距離 | 530 km
- 納車開始予定 | 2026年第4四半期
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Text : Takuo Yoshida








