2025年12月31日をもってアルピナブランドの商標権がボーフェンジーペン家からBMWに渡ることは既に知られている。そして今年1月15日、アルピナの創業者ブルカルト・ボーフェンジーペンが会社を設立してから60周年を迎えたこの記念すべき日に、BMWアルピナの歴史を締めくくる限定モデル「B8 GT」が発表された。
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アルピナB8 GTは、2021年にデビューした「B8グランクーペ」をベースに進化したモデルだ。搭載される4.4リッター、V8ツインターボエンジンは歴代アルピナで最強の634psを発揮し、最大トルクも850Nmまで強化されている。これらの性能向上は、吸気用エアボックスの形状最適化やエンジンマネジメント、ターボブースト圧の調整によって実現したものだ。さらに、8速ATやAWD(全輪駆動)、電子制御ダンパーといった現代のアルピナらしい装備も、細部にわたり時間をかけて調整されている。
外観はアルピナの伝統に忠実でありつつ、独自の個性を持つ。アルピナクラシック鍛造ホイールやハイパフォーマンスブレーキシステム、ALPINAのロゴを掲げたチンスポイラーが目を引く。また、「B5 GT」や「B3 GT」と同様に、フロントバンパーの両脇にはカーボンファイバー製のダブルカナードが装備されており、空力性能とデザインの融合を感じさせる。
車内に目を向けると、ドアシルプレートにはB8 GTのロゴとともに、2023年10月に87歳で逝去した創業者ブルカルト・ボーフェンジーペンのサインが刻まれており、このモデルが持つ特別な意義を象徴している。
さらに注目すべきは、車両に付属する特別アイテムだ。2つのウィークエンダーバッグとスイスの時計メーカー「カール F.ブヘラ」との共同開発によるクロノグラフが付属する。バッグにはアルピナ車のインテリアに使用される最高級ラヴァリナレザーが採用され、クロノグラフは車両のシリアルナンバーに合わせた特注品となっている。いずれも99台分しか製造されない限定品だ。
この世界限定モデル、アルピナB8 GTは日本市場には30台が割り当てられる予定だ。最高巡航速度330km/hを誇る4ドアクーペは、究極の実用性を備えるだけでなく、ブッフローエ(バイエルン州)で生産される最後のモデルという点で、コレクターズアイテムとしての価値も高い。興味を持つならば、早めの決断が必要だろう。
BMWアルピナB8 GT 車両本体価格: 3495万円(税込、左ハンドル)、3540万円(税込、右ハンドル)
- ボディサイズ | 全長 5092 X 全幅 1932 X 全高 1428 mm
- ホイールベース | 2856 mm
- 車両重量 | 2157 kg
- エンジン | V型8気筒ビターボ ガソリン(ツインターボ)
- 排気量 | 4395 cc
- 最高出力 | 634 ps(466 kW)
- 最大トルク | 850 N・m
- 変速機 | アルピナスウィッチトロニック付8速AT
- 巡航最高速度 | 330 km/h
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Text : Takuo Yoshida