SUV人気は相変わらず根強いが、昨今はセダン人気にも拍車がかかってきている。今回は5月末にフルモデルチェンジが発表されたBMW「5シリーズ」を紹介する。
1972年に初代が誕生し、8代目として生まれ変わったミドルサイズセダンは、「3シリーズ」と「7シリーズ」の中間に位置し、スポーティとフォーマルの個性を併せ持つことで根強いファンに支えられている。今回注目が集まったのは“顔”だ。新型5シリーズも7シリーズのように大型のキドニーグリルと、ダブルフェイスと呼ばれる上下二段のヘッドランプに変更されるのでは?と予想されていたからである。
だが実際は、写真を見ればわかるようにキドニーグリルの主張が少しだけ強まっているものの、正常進化型といえるものに落ち着いている。ボディ全体のシルエットもひと目で5シリーズとわかる伝統的なものになっていた。
特筆すべきは、ラインアップの頂点に「i5」という車名を冠したフルEVが用意される点だろう。これは昨今のBMWでは珍しいものではなく、セダン・クーペ系では「4シリーズ」の「i4」や7シリーズの「i7」に続くもの。パワートレーンはこれ以外に、ガソリンやディーゼル(直4と直6)、MHEV(マイルドハイブリッド)がラインアップされている。
BMWは以前から2030年までに生産車の50%をEVにすると宣言している。また全体的なスタンスとしては、ICE(内燃機関)を搭載したモデルの生産をすぐに廃止することはないとも公言している。今回の5シリーズのパワートレーンは、そんなBMWのメーカーとしてのスタンスを反映したものといえるだろう。
採用されるプラットフォームはCLAR(クラスターアーキテクチャー)で、これは3、4シリーズや話題の新型「M2」にも採用されているエンジン縦置きの車体構造だ。CLARは床下にバッテリー搭載スペースを設けることでフルEVにも対応し、現代のBMWのスタンスを体現した。
カタログモデルのラインアップや価格等はまだ発表されていないが、初期生産の限定車「THE FIRST EDITION」が発表され、オンラインストアのみの先行予約をスタートしている。本当の驚きはアダプティブクルーズコントロールに代表されるADAS(Advanced Driver-Assistance Systems/先進運転支援システム)にあるともいわれており、その全容は今後徐々に明らかになっていくだろう。フルEVだけではない、パワートレーンの幅広い選択肢にも大いに期待が持てる一台といえそうだ。
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Text : Takuo Yoshida