スモールカーでも妥協したくない貴方へ、スマート・フォーフォー・ブラバス・エクスクルーシブ

セカンドカーとして考えた場合、スモールカーの機動力は魅力的に感じられるはずだが、しかし一流を知るゴルファーならばチープなモデルには食指が動くまい。メルセデスがプロデュースし、ブラバスがチューニングを手掛けたスマート・フォーフォーは、スモールカーという枠を超越した質感と個性を兼ね備えた知る人ぞ知るシティコミューターである。

SUVはウッド、セダンはアイアンであるならば小回りが利いて、省燃費性能に優れるスモールカーはパターやウェッジといったところか。どちらが上とか下ではなく、クルマもカテゴリーごとに得意とする領域が違うのである。

それでもゴルファーの眼がなかなか小型車に向かないのは、荷室の容量だけが問題ではないと思われる。クルマの世界ではボディの大きなものほど高級で小さくなればなるほどリーズナブルになる傾向が強い。

既に質感の高い愛車を所有していれば、セカンドカーとしてチョイスするスモールカーにも相応のクオリティを求めたくなるのも当然だろう。

小さな高級車、もしくは質感の高い小型車の数は決して多くはないが、ヨーロッパにはいつの時代もそれを好む顧客が一定数いる。

現在市場に出ている中で最も興味深い1台としてブルーダーが選び出したのはスマート・フォーフォー・ブラバスである。 クルマ好きならばドイツのスモールカー・ブランドであるスマートの成り立ちはご存じだろう。

'90年代半ば、スイスの時計会社であるスウォッチがダイムラーをパートナーとして自動車製造に乗り出したことが始まりである。

スマートの核となるモデルは2人乗りのコンパクトカーであるフォーツーであり、現在は3代目に進化している。またスウォッチ自体は2000年にスマート事業から撤退しているため、現在のスマートは100%ダイムラーの設計・製造となっている。今回紹介する4人乗りモデルであるスマート・フォーフォーは2代目で、2016年に発売が開始されている。

現行スマート・フォーフォーはルノーと共同設計を行ったモデルで、ルノーではトゥインゴの名で販売されている。両車はプラットフォームやエンジン以外にも多くのコンポーネンツを共用しているが、その性格やポジショニングには違いがあり、ルノーの方がよりベーシックなイメージで、スマートの方が設えに高級感がある。

ちなみにスタートプライスは、ルノー・トゥインゴの177万円に対しスマート・フォーフォーは216万円となっている。

ブルーダーがスマート・フォーフォーを推す最大の理由は、ポルシェ911と同じように、エンジンをリアエンドに搭載するRRレイアウトであることが挙げられる。コンパクトカーの多くは前輪駆動であり、コストダウンが容易なその構造が走りの質感の限界にも繋がっているといわれる。

その点リアにエンジンのフォーフォーはすっきりとした軽快なハンドリングを示し、スポーツカー同様にリアタイヤで力強く路面を捉え、蹴り出す能力にも長けている。その他大勢とは異なる走りの個性が備わっているのである。

今回紹介するスマート・フォーフォー・ブラバス・エクスクルーシブはフォーフォーのトップモデルで、メルセデスのチューナーとして有名なドイツのブラバス社が公式にチューニングを手掛けたハイパフォーマンスモデルである。

このクルマの核と言えるのは、やはりブラバスがチューニングを手掛けたパワーユニットで、0.9リッターの3気筒ターボ・エンジンは90psから109psまで最高出力が引き上げられている。

ブラバス・エクスクルーシブは強力なエンジンのパワーを受けるサスペンションやステアリングシステムにも専用チューニングが施されている。

もちろん標準のフォーフォーとは見た目も違って、外装は前後バンパーが専用形状となっている他、アルミホイールもブラバス専用となる。

一方インテリアはブラバス専用のサイドブレーキレバーやシフトノブを備える以外に、専用の本革スポーツシートをインストールするなど、より高級感を増した仕様になっているのである。

全長3.5mほどのコンパクトカーとなると、気になるのはゴルフバッグがちゃんと積めるのか、という点に集約されるだろう。早速試してみると、半々の割合で倒れるリアシートバッグの片側を倒すことで縦方向に余裕をもって詰めることがわかった。

かなり窮屈にはなるだろうが、3人乗車で3本のゴルフバッグを搭載することも不可能ではないのである。 とはいえ、リアのシートは長距離移動に堪えるラグジュアリーなものとは言い難いので、2名乗車ゴルフバッグ2本搭載というのがスマート・フォーフォーの現実的な使い勝手といえるだろう。

エンジンを掛けた当初はアイドリングが少々安定せず、心許ない感じがするフォーフォー・ブラバスだが、ステアリング裏のシフトパドルを操作して走り出すと、誰もがその走りに驚かされるはずだ。

強固なボディが生み出す走りの質感は、まさに上質なドイツ車のそれで、ボディのサイズが大きく感じられるほど重厚である。 一方、過給圧が高められたターボ・エンジンは、ダッシュパネルの右上に追加されたレヴカウンターの針が3000回転を越える頃、ヒュイーンという特徴的な音とともにターボ特有の加速がはじまり、あっと言う間にスピードメーターが上昇していく。

6速デュアルクラッチギアボックスの変速プログラムもブラバス専用のクイックなものなので、シフトの俊敏さもスモールカーの枠を完全に超越している。

ボディの取り回しの容易さや、エンジンの威勢の良さは国産のハイパワー軽自動車にも通じるが、しかしフォーフォー・ブラバスの走りの質感にチープな感触は微塵もない。小さなポルシェ911ターボ?と言ったらもちろん言い過ぎだろうが、ドライバビリティに含まれる個性の強さはポルシェを彷彿とさせるものがある。

内外装のみならず、走りの質感に関しても上質なフォーフォー・ブラバスだが、メルセデスがプロデュースしているだけあって、高いレベルのセーフティを備えている点も差別化のポイントといえる。

高強度の鋼板を用いたトリディオンセーフティセルと呼ばれる骨格が衝突安全に対応する他、衝突の効きを知らせるレーダーセンサーやレーンキーピング、そして横風によるふらつきに対処するクロスウインドシストと言った機能が標準で装備され、高い安心感を提供してくれる。

風変わりで可愛らしいボディを眺めているだけでは、このクルマに凝縮されている高性能や遊び心を理解することは難しいかもしれない。だがスマートやメルセデス、そしてブラバスといったブランドの個性が融合すれば、ボディサイズに捉われない上質なスモールカーが成立することは理解できるのでは?

普段遣いを完璧にカバーしつつ、カントリークラブへの手軽なアシとしても異彩を放つ。そして何より、フルサイズの高級車から乗り換えてもチープな感じがしない。スマート・フォーフォーはゴルファーのセカンドカーに最適な1台といえる。

smart forfour BRABUS exclusive
メーカー希望小売価格:3,120,000円~(税込)

  • ※写真はオプション装着車。
  • ※表示価格にはオプションは含まれておりません。
  • ボディサイズ | 全長3,550 × 全幅1,665 × 全高1,545mm
  • ホイールベース | 2,495mm
  • エンジン |直列3気筒DOHCターボ
  • 排気量|897cc
  • 最高出力 |109ps (80kW) / 5750 rpm
  • 最大トルク | 170Nm / 2000 rpm
  • スマート・フォーフォー・ブラバス・スポーツのトピック
  • ●ノーマルから19psアップのブラバス・チューン・エンジン
  • ●メルセデス・プロデュースによる安全ボディ
  • ●小型車を越えた最小回転半径とクオリティ
  • Text : Takuo Yosshida
  • Photographer : Koichi Shinohara

 

問い合わせ先

メルセデス・ベンツ日本フリーダイヤル:0120-190-610 www.smart-j.com

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