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旅する写心~A Time For Love

トミー(中嶋常幸)は今年、
競技生活50周年に加え、結婚45周年を迎えた。

83年に僕が初めて撮影した試合、
「静岡オープン」の優勝者がトミーだった。
そして88年にPGAツアーを一緒に旅したのも
トミーだった。
携帯もパソコンもない時代、
試合会場に行くのも、ホテルを探すのも
大変な思いをしながら一緒に旅した。

娘の佳乃ちゃんからの両親へのサプライズプレゼントに
思い浮かんだのがこの写真だった。

悔しい思いの中、89年にPGAツアーを撤退し
スイング改造に取り組んだ。
マスコミからはボロクソに叩かれたが
じっと耐え忍び、先を見つめた。
そこに救いの手を差し伸べたのが
ジャンボ尾崎だった。

ちょうどその頃、
ゴルフクラブがパーシモンからメタルに移る時代。
うまく移行できるプロもいれば
ほとんどのプロがスランプに陥った。

その時ジャンボが放った一言がトミーを蘇らせた。
そして迎えた小樽での「日本オープン」。
奇しくもジャンボとの一騎打ちになった。
死闘の末、トミーが栄冠を勝ち取った。
スコア提出後、なりふり構わず妻の律子さんと抱き合った。
苦しかった。
頂点から真っ逆さまに落ちた時、
二人はいつかこの日が来ると信じた。
この一瞬がトミーのゴルフ人生にとっての大きな一里塚。
今輝いている若い選手にトミー門下生が多いのも頷ける。
あの壁を越えた力は、若い人に紡がれている。

宮本 卓Taku Miyamoto

1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Club、2013年より我孫子ゴルフ倶楽部でそれぞれライセンス・フォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。

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