「虫」に「科学」、「大地」を食す 味覚の異界をさまよう

人生は冒険です。心躍る新体験は、日々に彩りを加えます。しかし、年齢を重ねて毎日の食事のこととなると、目新しいものに挑戦する気はなかなか起きないもの。若い頃は「回らない寿司屋に行ってみたい」とか、「ビフテキを食べてみたい」とか、食への好奇心で満ちていたというのに。今回は、人生を味わい尽くしたオトナの皆様がまだ知らないであろうグルメをご紹介します。未知の食世界へようこそ。

#1「深海のダンゴムシ」はどんな味?

殻ごと油にくぐらせた『オオグソクムシ姿揚げ』は、サクサクとした食感を楽しむ刺激的な一皿。ダンゴムシの仲間であるこの生物、住処は陸ではありません。深海に沈んだ生き物の死骸を食べる習性から「海の掃除屋」と呼ばれています。地球外生命体のような見た目とは裏腹に、風味はエビに似て香ばしい。謎の多い深海生物について、まずは味から知るのも悪くないかも?

ファッションビルの地下フロアで異彩を放つ「米とサーカス 渋谷PARCO店」。怪しげなサーカス劇場のようなエントランスの先に、獣肉ジビエを味わえる居酒屋があります。「美味しいは楽しい、楽しいは美味しい」という理念の下、普段の食卓には並ばないレア食材との出会いを提供。中でも虫料理は、多くの客の目を丸くさせる逸品です。

米とサーカス 渋谷PARCO店 オオグソクムシ姿揚げ ¥2,180(税込)

#2「分子ガストロノミー」は五感で楽しむ

「分子ガストロノミ―(分子美食学)」という言葉をご存じでしょうか。美食を生み出す調理を分子レベルで研究する学問のことで、近年、新たな料理ジャンルとして確立されています。朝陽に照らされ、葉に輝く雫のような一品は、じゅんさいを梅昆布茶で閉じ込めたもの。夏にぴったりの涼しげな液球「朝露」は、そんな最新の技と知性によって包まれています。

代々木上原の閑静な住宅街に佇むレストラン「セララバアド」では、洗練されたモダンガストロノミーを味わうことができます。この手法で作られた料理の魅力は、さまざまな角度から五感が刺激されること。見た目は絵画のようで、想像を覆す風味と食感は舌だけでなく鼻や耳にも幸福を届けます。

レストラン セララバアド ディナーコース ¥23,522(税込)

#3「母なる大地」を味わう

歴史あるフレンチをアレンジした「土のシュープリーズ」は、その名の通りまさにシュープリーズ(フランス語でサプライズの意)な料理。トリュフ入りのマッシュポテトを、なんと土のソースで包みます。素材本来の魅力を活かすため、余計な味付けはしません。土には古くからミネラル補給のために食されてきた歴史もあり、人間の本能が求める生命の原点なのです。

新鮮な魚介と野菜を用いた独創的なフレンチが自慢の「ヌキテパ」には、『土のフルコース』というメニューがあります。土は食べられる、という農家の言葉に着想を得て、世界で初めて“料理”としての提供を開始しました。母なる大地を味わう究極のフルコースで、壮大な人類史をめぐる旅に出かけてみませんか。

ヌキテパ 土のフルコース ¥22,000(税込)+サービス料5%

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  • Edit/Text : Hiroto Goda
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