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「駆けぬける歓び」は健在 FFに生まれ変わったBMW 1シリーズ

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BMW 1シリーズは、2019年のフルモデルチェンジによって、それまでこだわってきたFR(後輪駆動)からFF(前輪駆動)へと、駆動方式を変えた。1シリーズといえばVWゴルフやトヨタ カローラと同じ、激戦区のCセグメントに属するモデル。BMW 1シリーズはCセグメントで唯一のFRレイアウトで、「だからこそ1シリーズを選んだ」というユーザーも多かった。

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FFになったことで、1シリーズがどのように変化したのか。試乗車は1シリーズに新たに加わった、2.0リッター直列4気筒のディーゼルターボエンジンとトルコン式の8速ATを組み合わせたパワートレーンを搭載するBMW 118d。スタンダードモデルではオプションとなる安全装備が標準で付いている「Play Edition Joy+」という仕様だった。

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運転席に座った印象は、いかにもBMWらしいもの。すなわち、ドライバーが中心で、メーター類やスイッチ類は整然と機能的に並べられる。メーカーによっては、ベーシックモデルとフラッグシップモデルではまったく別のテイストになっているケースもあるけれど、BMWの場合は1シリーズから8シリーズまで一本の筋が通っているように感じる。

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後席と荷室は、従来型の1シリーズより明らかに広くなっている。動力を後輪に伝えるドライブシャフトが不要なFFレイアウトは、ボンネットに収まるエンジンを横に置け、トランスミッションなどもフロントにまとめて配置でき、室内空間を広くとることができる合理性がウリなのだ。プレス資料によると、後席の足元スペースは従来型より約40mmも広がっているという。

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スターターボタンを押すと、エンジンが静かに目覚める。最新のディーゼルエンジンらしく、アイドリングも滑らかで静か。そして、アイドル回転付近の極低回転域から厚みのあるトルクを発生する。トルクがあるだけでなく、アクセル操作に対するピックアップもいいから、「ディーゼルとしては」という但し書きを抜きに、純粋に運転が楽しめる好エンジンだ。

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発進加速では、FFのネガティブな面を感じないことに気づく。前輪にトルクを伝えて駆動するFF車の場合、トルク変動がハンドルを通じて手のひらに伝わってくるケースがある。出来の悪いFF車に大きなトルクを生むエンジンを積むと、ハンドルをとられて進路が乱れる、トルクステアという現象も発生する。したがって、トルク変動の影響を受けない、すっきりとしたステアリングフィールが得られるFRのほうが高級という位置づけになる。

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しかし、このBMW 118dに関してはそうしたFFの悪癖は感じられなかった。低回転域から充分以上のトルクがあるにもかかわらず、ステアリングフィールはすっきりさわやか。トルク変動によってステアリングフィールが濁るような気配はない。

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FFのもうひとつのネガは、コーナリング時に外側にふくらむアンダーステアが出やすいことだ。FFは前輪が駆動と操舵のふたつの役割を担っており、駆動はタイヤの前後方向の摩擦力を使い、操舵はタイヤの横方向の摩擦力を使う。タイヤの摩擦力には限界があるから、駆動によって前後方向の摩擦力を使い切ってしまうと、横方向の摩擦力が足りなくなる。結果として、コーナーで思ったように曲がらずに、外側にふくらんでしまうのだ。

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ところが、BMW 118dでハードコーナーリングを敢行しても、だらしなく外側にふくらむことはない。これには、エンジンの出力を制御するタイヤ・スリップ・コントロールシステムが大きく寄与している。前輪が滑った場合、つまりタイヤの摩擦力の限界を超えてしまった場合にこのシステムが発動し、前述したような前後方向の摩擦力を使い切ってしまうことがなく、横方向の摩擦力を温存することができるのだ。

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このシステムに加えて、コーナリング時に内輪にブレーキをかけることで曲がりやすくするヨーコントロールも効果的に機能している。テクノロジーによって、FFの弱点を克服することに成功しているのだ。同じグループ内でFFを開発してきたMINIのノウハウを活用しているという面もあるだろう。いずれにせよ、新しいBMW 1シリーズはFFらしからぬ回頭性のよさを手に入れた。

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おもしろいのは、高速道路でのフラットな乗り心地というBMWの美点がしっかりと継承されていることだ。ボディの剛性が高いから、速度を上げて不整な路面を突破してもボディがねじれたり歪んだりすることがない。ボディがねじれないから、サスペンションは正しい角度で接地して、設計した通りに正しく伸び縮みする。クルマの設計の基本的なところでは、FRもFFも関係ないのだろう。総じて、FFでもBMWらしさは健在である、というのが試乗を終えての結論だ。

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もとより直進性が高いことがFFの美点で、このBMW 118dも高速道路をリラックスして長い距離を走ることができる。加えて、居住空間やラゲッジスペースが広くなっているので、ゴルフに行くクルマとしての能力は全方位的に向上したといえるのではないだろうか。

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BMW 118d Play Edition Joy+
車両本体価格:3,850,000円(税込)

  • ※表示価格にはオプションは含まれておりません。
  • ※価格には保険料、税金(消費税除く)、自動車リサイクル料金、その他登録等に伴う費用等は含まれておりません。
  • ボディサイズ | 全長 4335 X 全幅 1800 X 全高 1465 mm
  • ホイールベース | 2670 mm
  • 車両重量 | 1490 Kg
  • エンジン | 直列4気 筒DOHC ディーゼルターボ
  • エンジン排気量 | 1995 cc
  • 最高出力 | 150 ps(110 kW)/ 4000 rpm
  • 最大トルク | 350 N・m / 1750 - 2500 rpm

 

  • Text : Takeshi Sato

お問い合わせ先

  • BMW カスタマー・インタラクション・センター:0120-269-437

    www.bmw.co.jp
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