
ゴルフにはラウンド後にお酒を片手に仲間と語らう「19番ホール」と呼ばれる習慣があります。アルコールとの付き合いはゴルファーでなくとも大人の嗜みのひとつでしょう。東京・六本木のバー「AGAVE(アガヴェ)」からお届けしてきた連載は最終回(全4回)に同じメキシコ発祥の蒸留酒ながら、テキーラとは似て非なるメスカルを学びます。
メスカル「マチェタソ」(Machetazo)
スピリッツ(蒸留酒)に興味のある方なら、テキーラとメスカルの違いをご存じでしょうか。ごく簡単に言えば、2つのお酒には原料の区分に異なる点があります。そもそも、メスカルは多種多様なアガベを使った蒸留酒の総称でした。その後、およそ200種類あるアガベの中でもブルーアガベ(アガベ・アスル)という種だけを使用したものをテキーラと呼ぶようになったのです。
一方でメスカルは原料として使われるアガベの指定はありませんが、実際には原産地呼称で認められたメキシコ9州の約50種類が使用されており、テキーラメーカーに比べると小規模かつ多彩な蒸溜所で生産されています。使用できるアガベの中には人の手では栽培できず、山奥や急斜面の崖に自生しているものも。そういったアガベを原料とするメスカルはそれぞれに風味が独特で、希少性も高くなります。
まさに手仕込み、クラフト感が強いメスカルは流通量が少なく、どうしても価格は一般的にテキーラよりもお高め。メスカルの製法は3種類あり、そのうちの2種類では地中に穴を掘ってアガベを蒸し焼きにします。それゆえ、かつてはスモーキーさが分かりやすい特徴とされていましたが、現在は風味も多様になっています。また、テキーラと同じく「レポサド」や「アニェホ」といった熟成クラスもあるほか、「グサノ」と呼ばれる芋虫や果物、ハーブなどを加えたり、熟成させないものに限っては蒸留時に鶏、七面鳥、ウサギの胸肉や果物、トウモロコシのひげなどを蒸留器内に吊るして風味付けするものもあります。

メスカル「マチェタソ」から今回、100%野生のアガベを使用した2つのボトルをご紹介します。ブランド発祥のゲレロ州産自生アガベ100%で、獣のように力強く、スモーキーでダークチョコレートとも合う後味が特徴の「クプレアータ」、そしてベジーな爽やかさと、スパイシーなペッパー風味が際立つサン・ルイス・ポトシ州産アガベ100%の「サルミアーナ」。名前はどちらもアガベの品種を指します。ちなみに、ブランド名はアガベの女神・マヤウェルと恋に落ちた強大な戦士マチェタソ伝説に由来。伝統を重んじる精神で、製法にもこだわりが随所に見られます。
テキーラベースのカクテル・マルガリータに倣い、メスカルの場合はメスカリータと呼ぶことを知っておくとおしゃれ。六本木・AGAVEでは「マチェタソ サルミアーナ」を使い、グラスのフチにはチリソルトをあしらいます。スパイシーさと、サルミアーナ由来のほのかに漂うメロンを想わせる香りが至福の時間へと誘います。
飲酒は20歳になってから。飲酒運転は法律で禁止されています。妊娠中や授乳期の飲酒は、胎児・乳児の発育に悪影響を与えるおそれがあります。
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COOPERATION
AGAVE

東京・六本木通り沿いの地下に佇む、世界最大級のアガベスピリッツバー。常時揃う銘柄は550種類を数える。革命時代のメキシコを演出した空間で、厳選されたボトルとシガーコレクションを心の赴くままに。
住所:東京都港区六本木7-18-11 DMビルB1F
営業時間:月―木 18:00 ~1:00、金・土 18:00~3:00 定休日/日、祝
https://agave.jp/Edit : Yoichi Katsuragawa








