友人からでも、家族からでも、書評でも、課題図書でもない「オススメの本」を読んだことはありますか? 現実と少し距離を置く“小説の世界”への入り口は、時に不意の方が新鮮で心踊りそう。東京・六本木の本屋「文喫 六本木」のブックディレクター・及川貴子さんにBRUDER読者をイメージした一冊を選んでもらいました。
「変な家」/雨穴
あっという間に2024年も半分が過ぎました。下半期に向けての振り返りの時期でもある今回のテーマは、“ベストセラー”です。
毎年、年間ベストセラーに加え、上・下半期のベストセラーランキングが発表されています。今回、1位を含む3作品が上半期トップ10にランクインし、映画・漫画化もされた大人気シリーズをご存じでしょうか。その1作目であり、2023年の年間ベストセラー1位でもある『変な家』をご紹介します。
物語の中心は、1枚の間取り図。購入を検討している家の間取りが、どこか「変」だと、主人公のオカルトライターのもとに相談が舞い込みます。幸せな家族が暮らしていたはずの家の間取り図のあちこちに潜む、強烈な違和感。そこから膨らむ奇想天外で恐ろしい想像は、どこまで真実に近いのでしょうか。
――まあ、これも単なる「憶測」ですから。気にしないでください――
著者はもともとYouTuber、WEBライターとして活躍していて、本作品もWEB記事がもとになっています。フラットな読み心地とどんどん先が気になっていく展開に、誰でもつい引き込まれてしまいます。読み終わると、日常の中の少し「変」なところが気になってくるかもしれません。考えすぎか、それとも……。
「変な家」 雨穴(飛鳥新社)/¥1,400(税込)
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文喫 六本木 ブックディレクター 及川貴子
2018年日本出版販売入社。2021年4月より文喫 六本木のブックディレクターとして、企画選書や展示イベント企画、本のある空間のプロデュースなどを行う。
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文喫 六本木
文化を喫する、入場料のある本屋。人文科学や自然科学からデザイン・アートまで約3万冊の書籍を販売している。閲覧室や研究室、喫茶室を併設し、企画展も定期的に開催。普段あまり出会うことのない新たな興味の入り口となっている。
住所:〒106-0032 東京都港区六本木6-1-20 六本木電気ビル1F
営業時間:9:00~20:00(L.O. 19:30)/不定休
https://bunkitsu.jp/
Edit : Junko Itoi