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おもしろい!早く読めばよかった世界的名作『罪と罰』

友人からでも、家族からでも、書評でも、課題図書でもない「オススメの本」を読んだことはありますか? 現実と少し距離を置く“小説の世界”への入り口は、時に不意の方が新鮮で心踊りそう。東京・六本木の本屋「文喫 六本木」のブックディレクター・及川貴子さんにBRUDER読者をイメージした一冊を選んでもらいました。

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『罪と罰』/ドストエフスキー

言わずと知れた、ドストエフスキーの世界的名作『罪と罰』。いつか読もうと思っているけれど、重そうなタイトルやページ数、覚えにくいロシア語の人名など、いくつものハードルを前に、躊躇している方も多いのではないでしょうか。名作とされながら、著名な小説家にも未読の方はおり、『罪と罰』未読作家4名による「読まない」読書会を記録した『「罪と罰」を読まない』(文藝春秋)という本が出版されていたりします。

私が初めて読んだ時の感想は、「思っていたよりずっとユーモラス!こんなに面白いならもっと早く読みたかった!」というものでした。主人公はラスコーリニコフという、賢いけれど貧しい青年です。彼は「1つの罪悪は100の善行によって償われる」「世の中の成長のためなら、選ばれた人間には社会道徳を踏み外す権利がある」と考え、ケチな金貸しの老婆を殺害し、その金を善行に使おうとします。しかし、想定外に現場に居合わせた老婆の妹まで殺してしまい、罪の意識に苛まれることになります。

彼の心の中はいつも忙しない。焦ったり、怒ったり、調子に乗ったり、嘆き悲しんだり、ほくそ笑んだりと、目まぐるしく移ろいます。こんな屈折した熱い青年の末路、気になりませんか? この秋は是非、『罪と罰』に挑戦してみてください。

『罪と罰』ドストエフスキー著、米川正夫訳(角川文庫)/<上>¥748、<下>¥734(税込)

COOPERATION

文喫 六本木 副店長/ブックディレクター 及川貴子

2018年日本出版販売入社。2022年4月より文喫 六本木副店長兼ブックディレクターとして、企画選書や展示イベント企画、本のある空間のプロデュースなどを行う。

Edit : Junko Itoi

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