今回はビクトリア州最高のホールを組み合わせた理想のコースのうち、前半部分をご紹介。もしあなたがオーストラリアへのゴルフ旅行を計画中なら、こういったホールをラウンドする機会を見逃してしまうのはあまりにももったいない。
選出ホール
ロイヤルメルボルン(西コース)5番ホール/176ヤード/パー3
ロイヤルメルボルンの中で、アリスター・マッケンジーが直接指示を下して設計した唯一のホール。オーストラリア最高のホールとして挙げる声も多く、あらゆるパー3は自ずとこのホールと比較されることとなる。 ケープ・ウィッカムの共同設計者であるダリウス・オリバーはこのホールを「素晴らしい設計で、ほとんど非の打ち所がない」と評す。
なぜそれほど素晴らしいのだろうか? まずはあの厄介な形で傾斜したグリーンだ。沈み込んだフェアウェイの向こうに位置し、サンドベルトを象徴するバンカーに囲まれたそれは、ゴルファーの目を欺く存在だ。「カップより低い位置にボールを止めることのメリットは大きいが、あのグリーンのフロントに対応するには技術と勇気の両方が必要になる」とオリバーはいう。
PGAでスター選手となったアーロン・バデリーもそれに同意する。「これまでにプレーした中でも最高のパー3ホールだ。グリーンが前方に傾斜しているから、正しいクラブ選択が重要になる。カップがフロントにある場合は特にね。失敗したときの代償は大きく、プレジデンツカップを盛り上げるにちがいないホールだ」
オーストラリアのレジェンドであり、1991年の全英オープン優勝者のイアン・ベーカーフィンチもこのホールを好むひとりだ。サンドベルトの中からお気に入りのホールを選んでほしいという私たちからの頼みに対して(その無理難題に)ほとんど怒り出さんばかりだった彼だが、このパー3が彼にとって特別であることは認めた。「あのホールは私の中で突出している。サンドベルトには世界でもトップクラスのパー3が20ホールはあるが、それを3つに絞ったとしてもあのロイヤルメルボルンの5番は入るだろう」。
キングストンヒース・ゴルフ・クラブ15番ホール/155ヤード/パー3
世界クラスのホールが集まるキングストンヒースは、時代を超えたコース設計の見本ともいえる存在だが、中でも正確なティショットが要求されるこのパー3ホールはその象徴だ。グリーンとその周辺が作り出す守りは非常に固く、世界の一流ゴルファーたちにとって大きな壁となり続けている。
「このホールは大好きだ」とジェイソン・デイはいう。「ティから見るとすごく威圧的で、グリーンの傾斜も激しい。すごく特別なパー3だね」
マーク・レイシュマンも同意する。「とても素晴らしいホールだと思う。風があるときは特にそうだ。グリーンが狭いだけに、極めて正確なショットが要求される」
またベーカーフィンチは「キングストンヒースには世界最高峰のパー3ホールが3つあるが、15番ホールはそのひとつだ」と語る。
信じがたいことだが、このコースが現代に作られたら批判の的になるだろうとマイク・クレイトンはいう。世界レベルのゴルファーに完璧なショットを要求する一方で、このホールを含むキングストンヒースの17ホールは、一般ゴルファーがボールを転がしてグリーンオンさせることが可能なレイアウトになっている。皆がプレーを楽しむことができるコースマネージメントにおける懐の広さは、キングストンヒースの特徴の中で、最も見過ごされている点かもしれない。
ウッドランズ・ゴルフ・クラブ4番ホール/274ヤード/パー4
ゴルファーにとっては、シンプルなデザインが一番厄介なこともあるが、この素晴らしいパー4などもその典型だ。バンカーはなく、フェアウェイはまっすぐで、長さは270ヤードほど。「一見なんの特徴もなく簡単なホールに見える」と、パシフィック・コースト・デザイン社のポール・リーブスはいう。「しかし三角形のグリーンはわずか350平方メートルの広さしかなく、完璧なランニングアプローチをしないとオンできない」
せり上がった硬めのグリーンは右方向に傾斜しているため、左側に乗せられないと深刻な結末が待っている。「非常にシンプルなホールで、ティからアプローチまでショットのオプションにあふれている。ここでプレーする幸運を得たゴルファーたちには、飽きない楽しみを与えてくれるはずだよ」と、リーブスはつけ加える。
トム・ドークにとってこのホールはウッドランズ全体を象徴するようなホールだという。「ウッドランズはサンドベルトで最も過小評価されているコースで、この4番ホールなどはその要因ともいえる。バンカーのないグリーンのフロントまでは260ヤードしかなく、ほとんどのゴルファーは1オンを狙っていく。プロであればアイアンで乗せることだって不可能じゃない。だがグリーンを外してしまった場合、そのリカバリーは暴れ馬に飛び乗るくらいに困難だ」
ビクトリア・ゴルフ・クラブ15番ホール/316ヤード/パー4
ドライバーによる1オンが可能なパー4で、ビクトリア・ゴルフ・クラブの15番ほど素晴らしいホールはなかなかない。サンドベルトを象徴するようなレイアウトであり、リスクと見返りが非常に大きいホールのひとつといえる。
このホールのティーイングエリアに立った際に感じる誘惑に屈したゴルファーは数知れないが、アーロン・バデリーもそのひとりだ。「(ティから)見て思う。ああ、短いなって。コンディションによっては3番ウッドでも乗せられる距離だ」とバデリーはいう。」
「でも1オンするには針の穴に糸を通すようなショットが求められる。左側にはバンカーがたくさんあって、右側にもいくつかあるから、左右どちらにも外したくない。だったらまずは刻んで、ウェッジで乗せたほうがいいんじゃないかとも思う。こうした悩ましさがこのホールを素晴らしいパー4にしている
「短めのパー4としては、間違いなくビクトリア州で最高のホールのひとつだね」とマイク・クレイトンは語る。そしてニック・オハーンも付け加える。「最高のコースで、なによりも正確性と賢さが求められる。それが欠ければ痛い目にあうだろう」
キングストンヒース・ゴルフ・クラブ3番ホール/296ヤード/パー4
非常に残念なことではあるが、故ピーター・トムソンによると「このようなホールはもはや作られることはない」という。ティから見るとバーディもいけそうだと思うが、それがたちどころに6打(あるいはそれ以上)になってしまう…それがこの芸術的なパー4ホールの特徴だ。
フェアウェイは広く、あなたは思わずドライバーをつかんでグリーンを狙いたくなるだろう。こうして一見無害なホールは、瞬時に危険な存在となる。グリーンは非常に小さくて狭く、左から右に傾斜しており、フェアウェイの左奥から狙うのが好ましい。そのため結果的にはアイアンによるティショットが無難な選択となる。
「リスクと見返りがとても大きいから、この3番ホールが好きなんだ」とアーロン・バデリーはいう。「ドライバーから始めても、6番アイアンから始めても、結局スコアは同じになったりする」。そして不幸なことに多くのゴルファーにとって、そのスコアは決して小さなものではない。
セント・アンドリュース・ビーチ2番ホール/305ヤード/パー4
トム・ドークがモーニントン半島に作った美しい短めのパー4が、この究極のコンポジットコースに続けて選ばれている。「セント・アンドリュース・ビーチの2番ホールには、トム・ドークがオーストラリアに作った傑作パー4であるバーンボーグルの4番のような明確な”色気”はないが、風向き次第ではそれに匹敵するほどの魅力が生まれる」と、ダリウス・オリバーはいう。
このホールの戦略のカギとなるのは、左手に広がるウェイストエリアと、フェアウェイに巧みに配置されたバンカーだ。パーを狙いにいくのであれば十分なスペースが用意されているが、バーディを求める場合は砂地をうまくかわして、ボールをグリーンに近づける必要がある。
アプローチの際には大きな砂地が左手に広がることとなり、ドークはその地形に魅せられていたようだが、実際にボールを落とすと厄介なことになるので要注意だ。
コモンウェルス・ゴルフ・クラブ16番ホール/398ヤード/パー4
「ペナルティエリア(ウォーターハザード)のあるホールの中では、オーストラリアで最も素晴らしいホール」とマイク・クレイトンはいう。
「このホールの設計の素晴らしさは否定しようがなく、戦略的なプレーと高いスキルの両方が報われる稀有なホールでもある」とダリウス・オリバーはいう。
そのふたつを駆使してショットをコントロールすることが、サンドベルトにおいて比較的無名なこのホールを攻略するカギとなる。「ティショットで池の近くに寄せられれば、柔らかいフェードボールでグリーンを狙えるため、当然ながらアプローチはぐっと楽になる」とオリバーはいう。「技術の進化によってドライバーショットがいくらか楽になったとはいえ、角度のあるグリーンは依然としてメルボルンの難関のひとつだ」
ナショナル・ゴルフ・クラブ(ムーナ・コース)7番ホール/549ヤード/パー5
ボブ・ハリソンとグレッグ・ノーマンのコンビは、オーストラリアに数多くの素晴らしいパー5ホールを作ったが、その頂点に立つのがムーナ・コースの7番だ。「無難にバーディを取ろうと考えるゴルファーは、まずティショットで深いバンカーをかわす必要がある。そして狭い谷の間を転がして、天然の窪地に押し込まれた美しいグリーンまで運ぶ」と、ダリウス・オリバーは解説する。「強い横風がこのホールに牙を与えていて、最初の2打を面白いものにしているんだ」
アグレッシブにプレーするのであれば、フェアウェイ左手のバンカーを恐れずに攻め、前方に傾斜したスロープにショットを乗せて距離をかせぐことも可能だ。
ロイヤルメルボルン(西コース)10番ホール/282ヤード/パー4
今回の究極のリストにこのホールが選ばれない理由はないだろう。
パー4としては短めで、大きなバンカーのあるドッグレッグとして記憶されるこのホールは、悪地を連想させる「ヘルズ・ハーフエーカー」の呼び名でも知られており、ティからグリーンまでまったく気を許すことができない。
「短くて、前方にせり上がっており、油断するとすぐに足元をすくわれる。本当にいいホールだ」と、12月のプレジデンツカップへの再出場が予定されているマーク・レイシュマンはいう。
「角のバンカーは芸術品のようにホールのレイアウトに美しく収まっている。でも近くで見るとそれが恐ろしい存在であることがわかるんだ」と、ニック・オハーン。
トム・ドークはこのホールと、今回のリストに入っている別のホールの類似性を指摘するが、もたらす結末においてはこちらのほうが悲惨かもしれない。「ウッドランズの4番はバックティからグリーンまで270ヤードほどだが、このホールはドッグレッグで打ち上げになっている。またショートカットを狙っていく場合は、左右に生えたティーツリーと3メートルの深さのバンカーをかわす必要がある。右に打って60ヤードのアプローチを残すのが安全なやり方だが、それでもティショットはまっすぐ正確に打つことが求められる。さもなければ世界で最も厄介な60ヤードのバンカーショットを打つ羽目になるだろう」
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