オーストリア、ビクトリア州のゴルフ場から最高のホールだけを選んで、今年のプレジデンツカップのために究極のコースを作るとしたら?オーストラリアの一流ゴルファーとコース設計者にこの難題を投げかけたところ、その結果は期待を裏切らないものとなった。
選考にあたって
ゴルフコースのランキングというものは常に主観的で、しばしば論争の的にもなってきた。選考者が最終決定にいたるまでのプロセスには、どうしても個人的な感情が混ざるだけに、客観的な視点を貫いてホールを選び出すのは至難の業だ。
Australian Golf Digestがゴルフコースのトップ100ランキングを作成した際は、いかに個人的感情を抑えて、包括的かつ客観的なコース選びができるかということが重要な点となった。その試みは限りなく公正な選考システムの構築につながったと思うが、それでも完璧なる客観性というものはあり得ないということを、私たちは知っている。
19世紀のドイツ人作家のダーフィト・フリードリヒ・シュトラウスはいった。「世界は究極的には我々の定義によって作られる」と。
プレジデンツカップ(開催地:ロイヤルメルボルン)まで半年を切ったことを記念したこの「ビクトリア州最高の18ホール」という企画にも、同じ言葉が当てはまるといえる。 その上今回はちょっとした趣向を凝らしてある。ビクトリア州で設計された最も素晴らしいホールを選考するにあたり、私たちはそれをトップ100リスト作成に携わった栄えある審査員にそのまま委ねるのではなく、ある種非科学的ともいえるアプローチを取った。私たちは過去から現在にいたるオーストラリアの偉大なゴルファーたちと、国内外のトップクラスのゴルフコース設計者によるオールスターチームを組み、彼らが最も優れていると考えるホールをノミネートしてもらうことにしたのだ。
ビクトリア州のホールを使ってランキングを作る場合、自ずとメルボルンが中心となることが多い。アリスター・マッケンジーとアレックス・ラッセルがこの地に残した足跡は決して無視できないからだ。しかしヤラバレーやモーニントン半島、それにベラリン半島といった地域に目を向けてみると、そこにはメルボルン・サンドベルトに決して劣らない、数々の素晴らしいパー3、パー4、そしてパー5コースが存在することに気づく。
選考条件
史上最高のコースを紹介する前に、条件に関するいくつかの補足をしておこう。
1) ひとつのコースから選べるホールの数に制限はない。これにより本当にベストな18ホールを選ぶことができる。
2) 選考にはプロのゴルファーたちが関わっており、彼らの個人的な思い入れが含まれる。
ニック・オハーンはいう。「1997年にビクトリアのメトロポリタン・ゴルフ・クラブで開催された全豪オープン(67、66と打ち、36ホール終了時点で首位。最終的な優勝者はリー・ウェストウッドで、オハーンは5位に終わった)で、僕はゴルフに恋をした」と。 ロバート・アレンビーは「ロイヤルメルボルンの18番が僕にとってのナンバーワンだ」という。「1991年にアマチュアとして出たときに、5番アイアンでカップから60センチまで寄せて、もう少しで全豪を制すところだったんだ」 こうした思い出の存在は大きい。とはいえこれは人気コンテストではないので、ゴルファーたちにはしっかり深く考えた上での選考を依頼した。 「自分が活躍したコースを好きになることが多いのは確かだけど、そもそもそのコースが好きだったからこそ、よいプレーができたという見方もできると思う」と、アメリカで12年間プレーし、今はメルボルンを拠点とするオハーンはいう。 一方オーストラリアで最も精力的なコース設計者のひとりであるマイク・クレイトンの選び方は、もっとはっきりしている。「ビクトリア州最高の18ホールを選ぶのであれば、ロイヤルメルボルン西コースの4番、5番、6番、10番、11番、17番と、ロイヤルメルボルン東コースの16番と18番は外せない」とクレイトン。「これらのコースを入れなかったら、真剣に選んだとはいえないね」
そして今回の企画における最大の驚きは、やはりというかグレッグ・ノーマンによってもたらされた。キャリアの初期にビクトリアのフェアウェイで対戦相手を粉砕し続けた彼は、結局自らが納得できる形に18ホールを絞り込むことができなかったのだ。こうした土壇場でのハプニングはあったものの、今回のリストはメルボルンの外に住む人々の心をも満足させる内容になっているはずだ。
補足にひとこと
これは見た目に訴えるような、いわゆる「映える」ホールを集めたランキングではない。そしてそれは選考チームの一員であり、世界的なコース設計者であるトム・ドークのような人物にとっては、我が意を得たり、という方針だったのではないだろうか。
「最近のゴルフコース設計で最も顕著な傾向は、設計者がひとつひとつのホールについて語る機会がほとんどないということだ」と、ドークは自らの会社のウェブサイトに記している。「コースの中で象徴的なホールはどれだ?とか、写真映えするホールはどれか?などと遠回しに聞かれることが多くなった。そういったホールの写真だけ撮って繰り返し宣伝に使おうというわけさ。見ているほうが嫌になるくらいにね」
「新しいコースができても紹介されるのは象徴的なホールのみだ。その他のホールに関しては一般的な記述のみで、そのよさについてはほとんど語られない」今回は、そんなトムのような人のための企画であるともいえる。
SPECIAL THANKS
選考に参加いただいたジェイソン・デイ、マーク・レイシュマン、アーロン・バデリー、ロバート・アレンビー、ニック・オハーン、イアン・ベーカーフィンチ、トム・ドーク、マイク・クレイトン、ダリウス・オリバー、マイク・コッキング、ボブ・ハリソン、マイク・ウルヴァリッジ、ポール・リーブス(敬称略)に感謝を捧げます。
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