OFF THE GREEN

第四回目 ファッション編

株式会社ビームス 代表取締役社長 設楽洋x戸賀敬城 対談「BEAMSだから扱えるゴルフファッション」

戸賀:BEAMSは今やもう、生活全てを網羅するセレクトになっていますが、ゴルフ好きにとって欠かせないのが「BEAMS GOLF」です。立ち上げた背景やきっかけを教えてください。

設楽:今までBEAMSは純粋なスポーツの分野には参入してきませんでした。自分やスタッフもそうなんですが、置いてある商品の格好いい・格好悪いを別にして、純粋なスポーツ用品はプロショップが扱うべきだと考えていました。スキーショップであれば元スキーヤーが板を磨いていたり、登山用品であれば山岳家が扱っている姿が格好いいということです。我々がファッションの場から扱うのは、違うんではないかと考えていました。

ただ、BEAMSはずっとスポーツウェアをストリートで着ることを奨めてきました。例えば、マウンテンパーカーを街で着たり、ランニングシューズを普段使いしたり、創業以来ずっとやってきています。そして、純粋なスポーツ用品はプロショップに任せるという中で、ゴルフだけはファッションに近い存在でした。他のスポーツウエアはユニフォームに近いのに、ゴルフの場合はコンマ1秒のタイムを争ったり、どんな寒冷地でも使用できるとか、生死を分けるものとは少し違う。それだったら、我々が手がけてもいいんじゃないかと。

昔は若いスタッフがほとんどゴルフをやっていなかったんですが、最近はみんなプレーするようになりました。これはリアルに我々が手がけてもいい段階ではないかと思った訳です。一番最初にBEAMSがスポーツを扱うならば、ゴルフだろうと。

本当にセンスが良いかは、相手の気持ちがわかること

戸賀:今日は設楽さんも着用されていましたね。これからどんなことをやっていきたいのか、未来のお話を聞かせてください。

設楽:自分自身がもともとアメリカ好きということもありますが、アメリカン・ゴルフアスリート的なものを考えています。ゴルフには2種類ありますよね。伝統格式を重んじる英国風、そしてリゾート的な雰囲気を持つアメリカンアスリートな世界です。その両方があってもいいと思っていますし、もっと一般の皆さんもアウトドアの喜びや、純粋なスポーツの喜びを感じられるはずです。これまでBEAMSが展開しているファッションは、ファッションオタク的な要素が強かった。これからはアウトドアやスポーツなど自分自身が行う何かに、ファッションがついてくる必要があると考えています。

戸賀:設楽さんはいろいろな肩書きを持っています。BEAMSの社長はもちろんですが、実業家でありながらファッショニスタ、そしてあれよあれよとインフルエンサーにもなられています。

設楽:いえいえ(笑)。

戸賀:どこを突ついても、面白いオヤジです。日本を代表するオヤジだと思います。ファッショニスタとして、ファッションへのこだわりやコンセプトがあったら教えてください。

設楽:モノも好きですし、ファッションによって何かが変わること、時代が変わる瞬間も好きですね。僕が考えているファッションはセンスの良し悪しだけではありません。本当にセンスが良いかは、そのファッションではなく、相手の気持ちがわかることだと思っています。つまり、ファッションはコミュニケーションのツールだと考えています。

僕は社長ですし、年齢もけっこういっています。でも、ビシビシに決めていると、なかなか新しい人が入ってこれなくなってしまう。名前を「タラちゃん」と呼んでもらっているのと同様に、あまりビシビシに決めずに、どこかスキを作るようにしています。あるいは「それはなんですか?」というものを、ファッションに取り入れるようにしています。それが自分のキャラですし、偉そうにしない。自分自身のポリシーは「威張らないけれど、へこへこもしない」です。どの人に対しても同じ態度で接することをポリシーにしていて、それはファッションも変わりません。

普段使っている時計は、親父の形見のバブルバック

戸賀:そんなファッションの中で、時計の存在はいかがですか?

設楽:時計の場合は、逆に決めなければならない時があります。ダークスーツの時は、赤いベルトの時計をしたり、時計で遊んだりしますね。普段使っているのは、親父の形見のバブルバック(ロレックス)なんですが、比較的カジュアルな格好の時にしています。

一番始めにアメリカに憧れて、LAに行った時、衝撃的に「かっこいい!」と思った瞬間がありました。ロデオドライブに行ったんですが、ティファニーの前にボロボロなオープンのロールスロイスが停まっていたんです。リヤにサーフボード立ててね。金髪のサーファーだったと思いますが、ヨレヨレのTシャツ短パンにゴム草履。その彼がゴールドのバブルバックをしていたんです。ドアも開けずにピョンとクルマから飛び降りて、ゴム草履でティファニーへ入って行ったんですよ。それこそバンパーが落ちそうなクルマに乗っていたんですが、もうかっこいいなぁ……って。

その後、LA で一生懸命探して、フェイスが白のバブルバックを買いました。それを付けていたら、父親が「俺もそういう時計が欲しい」って言ってきたんです。でも、「こんなのなかなか見つからないよ」と返したんですが、「見つけたら買って来てくれ」と。たまたまロンドンのアンティークマーケットで見つけたのが、今日つけているバブルバックです。親父が亡くなって、それを形見でもらいました。今、バブルバックは2個持っています。しっかりとファッションを決めた時よりも、Tシャツ短パンの時に、この時計を付けていることが多いですね。

戸賀:私もBegin時代に憧れましたね。今また新鮮です。これから欲しい時計はありますか?

設楽:今のところ、25個くらい持っていて、欲しい時計は全部手に入れています。全てがアナログ時計なんですね。そして、バブルバックと、カラトラバ(パテック フィリップ)以外は、全てクロノグラフです。小さめなカラトラバは着物の時に付けています。ドライブの時は「ブライトリング」を選んだりもしますね。

戸賀:今時の”Too much Sport”な時計ではなく、クラシックなデザインがお好きなんですね。

設楽:あとは「ジラール・ペルゴ」とか、クラシックな時計が好きです。

ミーハーであり、パワフルであるためのヒント

戸賀:設楽さんはいつも「ミーハーでパワフルでありたい」とおっしゃられています。そのために、心がけていることはありますか?

設楽:東京の街でも、海外に行く時も、自分の中で「ピンキリマーケティング」を心がけています。一番頂点に位置するとんがった所や、一番高級なところだけでなく、一番下賤で一番エロいところもチェックします。その両方を見ることによって、その間にあるものも分かってきます。両方の振り幅を知るためには、ミーハーでなければならない。秘密クラブみたいなところも、高級会員制のところも見ておく必要があります。すごいお金持ちとも会いますし、その逆の人たちとも会うことで、両方の価値観だったり、両方の幸せ、それぞれの流行りを知ることができます。

例えば、日本でもママ友の中の流行りや、上場企業のトップの流行り、IT企業系の流行りだったり、音楽系の流行りだったり、飲食系の流行りだったり、それぞれが少しずつ違いますよね。その中の尖った部分だけでなく、ベタな中に次の本音がある。だからこそ、いろいろな所に顔を出します。それこそフェティシストの集まりだって行きますよ(笑)。そこに次の何か、新しい時代が見えるような気がしてるんです。

戸賀:BRUDERの読者にも、今回の対談から感じるものがあるといいですね。設楽さんのFacebookを見ていると、「あの辺りがそうなのかな……」と思えるものがあります(笑)。でも、まだその断片しか見せていない気もしますね。

設楽:そうですね(笑)。

戸賀:行間や写真の重箱の隅をつつくしかないのかな。設楽さんがミーハーであり、パワフルであるためのヒントを探すため、もう一度設楽さんのFacebookでアラ探しをしてみようと思いました(笑)。

設楽:この奥にあるな……ってわかりますよ。ドアのところまでは書いてあります(笑)。

戸賀:そういえば、設楽さんはショートスリーパーなんですよね。そのパワーの源泉はどこにあるのでしょう?

設楽:僕は瞑想と呼吸法をずっと続けているので、一気にすごく深い熟睡に入れるんです。ほとんど夢を見たことがないんですよ。

戸賀:今日みたいなゴルフの日は午前2時に寝たりするんですか?

設楽:眠れないです(笑)。昨日は一生懸命早く寝ようとして、午前3時くらいかな。

戸賀:あまり寝ないというのは、業界でも有名ですよね。

設楽:月に一度くらい、冬眠に入ります(笑)。絶対に何もない日に15時間くらい寝たりする。寝溜めではなく、寝取り戻しですね。

戸賀:医者に話を聞いたんですが、寝溜めは絶対に無理だと言っていました。一番いいのは、寝る1時間前から携帯を見ずに、集中することはやめる。間接照明にして、だんだん気持ちを沈めていく。あとはお風呂をぬるま湯にしたりですね。とにかく寝ることに集中して、朝起きたらカーテンを開けて、光を体にいっぱい浴びる。これで、体がすごくリズムを作りやすくなるそうです。寝るために起きる、起きるために寝る。寝る作業と起きる作業を、次のために始めることがいいと、言われました。

設楽:僕は寝る時の導入部分を、気功と瞑想ですごく短縮しています。これは30年くらいやっているので、1分間くらいでできてしまうんです。僕はどちらかと言うと、精神が安定していて、リラックスしているように見えますが、本来は気が短いんですね。ずっと瞑想をやっていることで、癖がつきました。

瞑想する時は大好きなゴールデンサンセットを思うかべると、すごくリラックスできます。南の島が大好きだけど、ハワイにしょっちゅう行くわけにいかない。でも、1分くらいの瞑想で行けてしまうんですよ。イライラしていても、ビーチに沈むゴールデンサンセットが思い浮かんで、「まぁ、いいか」となる。会社で何かストレスを感じても、「たいしたことない」と感じることが癖になっています。

普通の人が30分かかるリラックス作業が1分できるようになっています。癖がつくと体が反応するんです。梅干しを見ると、唾液が出ますよね。でも、梅干しを知らない外国人が見ても、唾液は出てこない。それは癖がついて体が反応しているということです。

戸賀:他に健康面で気を使っていることはありますか?

設楽:これだけですね。ジムはたまにかな。最近はサボっています。

戸賀:設楽さんは、お腹に縦に線が入っていますからね。ビックリしました(笑)。最後に今後のゴルフの目標や夢など、何か思うことがあったら教えてください。

設楽:この10年間、年齢とともに少しずつ距離が落ちているので、やはりウェッジの完成度、アプローチの完成度を高めたいです。若い人にたとえ飛距離で負けても、勝負で負けないゴルフをしたいですね。ジジイのゴルフを磨いていきたいです。ベタベタにピンに寄ってくるような(笑)。

戸賀:今以上にですか?

設楽:まだまだです(笑)。若い頃、僕が絶好調だった時、年上に思えていた人が、いまの僕くらいの年齢で、彼らは飛距離は全然なくて、フォームもひどいのに、アプローチとパットがとにかく上手かった。なんでこんなオヤジに負けるんだと思っていたけど、そんなジジイになりたいですね。

戸賀:ぜひ、またラウンドご一緒させてください。僕も鍛錬しつつ、設楽さんが「憎かったジジイ」にどんどんなっていくのを、楽しく見られるように頑張りたいと思います。今日はありがとうございました。

PROFILE : 株式会社ビームス 代表取締役社長 設楽洋(したらよう)

1951年、東京都出身。
1975年、慶應義塾大学経済学部卒業。1975年、 電通へ入社。セールスプロモーション局にてイベントプロデューサーとして活躍。1976年、 父の立ち上げた「BEAMS」設立に参加し原宿で「AMERICAN LIFE SHOP BEAMS」を6坪のショップとしてオープン。1982年、株式会社ビームス設立。ゴルフ歴40年、ベストスコア76

COOPERATION
取材協力

カメリアヒルズカントリークラブ

国内女子トーナメント「アース・モンダミンカップ」開催コース。安田幸吉氏の設計によるコースはフラットで広いフェアウェイと巧みに配されたハザードにより、すべてのプレイヤーが楽しめる正統派の美しいコースに仕上がっている。また、クラブハウス内はヨーロピアンエレガンスに統一し、心安らぐ空間で贅を尽くした施設ときめ細かな温かいサービスをご提供している

カメリアヒルズカントリークラブはこちら

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