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ゴルフ漫画の新型(ニュータイプ)

少年ジャンプ連載『ROBOT×LASERBEAM』製作秘話

2017.08.17

  • ロボレーザービーム
  • 少年ジャンプ
  • ゴルフ漫画
  • 藤巻忠俊
  • カルチャー

ゴルフを題材とした漫画やアニメ、映画で一世を風靡した作品は過去にも数多く存在する。言わずと知れた藤子不二雄A氏の名作『プロゴルファー猿』に始まり、「チャー・シュー・メン! 」の合言葉で知られるちばてつや氏の『あした天気になあれ』、武田鉄也が主演で映画化された『プロゴルファー 織部金次郎』、プロが実名で登場するプロゴルファー坂田信弘氏の『風の大地』。思い返せばキリがないが、いずれも1970年~1990年代に発表された作品ばかりだ。現実世界ではずいぶんとゴルフというスポーツに対する敷居は下がってきているものの、いまだオヤジのやるスポーツというイメージも消えてはいない。そんな中、中高生をメインの読者層として抱える少年ジャンプで新たなゴルフ漫画が登場した。それが『ROBOT×LASERBEAM(ロボレーザービーム)』である。ゴルフをもっと身近なスポーツとしたい我々BRUDERにとって、なんとも朗報である。しかも作者はなんと、単行本全30巻、アニメ・映画・ゲーム化の3冠を成し遂げた人気漫画『黒子のバスケ』の藤巻忠俊氏だ。春先から女子プロのTwitterも賑わせている本作について、編集者として藤巻氏を担当する集英社週刊「少年ジャンプ」編集部の井坂尊氏にお話を伺った。

【ストーリー紹介】
  • 通称ロボと呼ばれる主人公鳩原呂羽人(はとはらろばと)は、クソ真面目でカタブツ、KYな男子高校生。そんな彼がゴルフと出会い、ひとりのゴルファーとして、そして人間として成長を遂げていく。自身もゴルフ好きという藤巻忠俊氏が展開する、新たなゴルフ物語だ。
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担当編集 井坂氏の画像

──藤巻忠俊先生の前作はバスケットボールが題材でしたが、今回なぜ “ゴルフ”を選んだのでしょうか。

井坂氏:もともと藤巻先生は大学時代ゴルフ部に所属していて、少年ジャンプの漫画賞で入選したのも、じつはゴルフをテーマにした漫画だったんです。『黒子のバスケ』の続編『黒子のバスケEXTRA GAME』の途中から僕が担当編集になったんですが、そのころから次回作の話をはじめていて、「やはりゴルフの漫画をちょっとやってみたいなぁ」という話をもらっていました。ただ選択肢はほかにもあって、そもそもスポーツをテーマにするのか、あるいはファンタジーのような全然違うジャンルでやるのかいろんな議論はしましたね。打ち合わせをすると、なんだかんだ、やっぱりゴルフの話題が一番盛り上がって。それで決めました。

2017年3月より少年ジャンプで連載がスタート。以来吉田弓美子プロや成田美寿々プロ、永井花奈プロなど名だたる女子プロゴルファーのTwitterを賑わせている。

──実際、反響はいかがですか。

ジャンプの想定読者のメイン層は中高生なので、もちろん最初は恐る恐る…でしたが、徐々に馴染んできてくれているなという感触を得ています。コンセプトとして、現代的でスタイリッシュでカッコいい、というのを外したくなくて、その部分で共感してくださっている読者さんが多いのかなと思います。あまり外に出すデータではありませんが、1話目のときにアンケートで、「ゴルフについてどう思いますか」と質問したところ、最も多かったのが「馴染みが薄い、知らない」という回答でした。「オジサンがやるスポーツ、ダサイ」というイメージも正直強かったので、そこは覆さねばならないと思いました。第1話の冒頭で、“ゴルフがオジサンがやるスポーツなどと呼ばれたのは昔の話。今やれっきとしたアスリートスポーツ、パワーゴルフが主流となった”と謳っているのも、そんな読者のインサイトを意識してのことです。実際に先生も僕もゴルフを楽しんでいる側なので、古いもの、という実感はもうないんですよね。
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──登場人物のキャラクター設定はどのように詰めていったんですか?モデルとなるプロゴルファーはいるのでしょうか。

特にモデルはいないようですが、プレースタイルについてはプロの実際の映像を見て参考にしたりもしています。あとは基本、先生の中から湧き出るものをベースに、実際に描いて動かしていく中で出来上がっていきます。主人公のキャラクターも、ネーム(注:漫画の設計図)を考える段階で「主人公をロボットのような奴にしたい」という案が突然先生から出てきて。正直僕は「ロボットって…おもしろいのか…? 」と(笑)。最初は全然想像がつかなくて、実際絵にしてネームを見せてもらって初めて、「あーこれはおもしろいですね!」と応えることができました。 それから先生に言われてなるほどな、と思ったのが、歴代のゴルフ漫画の主人公は、特に少年誌だと元気で型破りで自然児で野生児! みたいなものが多いよねと。やはり『プロゴルファー猿』がおおもとであり、他誌だと『DAN DOH!!』などありますが、ジャンプの作品である『ライジング インパクト』についても主人公は野生児で、山育ちで、すごく飛ばし屋という設定になっています。だったら逆にスタイリッシュで、正確性を重視したキャラクターなら新しくておもしろいんじゃないか、というのも背景にありました。

──『黒子のバスケ』では登場人物に色の名前が入っていましたが、『ROBOT×LASERBEAM』ではやはり鳥でしょうか?

そうですね。ロボは「鳩」ですし、ライバルキャラの三浦鷹山にも「鷹」が入っています。主要キャラクターには、鳥の名前が入っているといえるかもしれませんね。

まるでロボットのような正確性でショットを打つ主人公鳩原呂羽人

まるでロボットのような正確性でショットを打つ主人公鳩原呂羽人(はとはらろばと)。

──ジャンプといえば、必殺技。作中でも大蛇咬(サーパント・バイト)が登場しましたが、今後も新たな技はどんどん生まれていくのでしょうか?

必殺技についてはかなり試行錯誤しています。特に技名なんかは(笑)。大蛇咬(サーパント・バイト)も、1回目の打ち合わせの場では技名が決まらず、先生に持ち帰って考えてもらいました。一度必殺技を出してしまったので、今後もひねり出してもらわなければいけませんね(笑)。それ以外にも、今後の展開の中で強豪たちの能力をどうするかとか、どういうプレースタイルにするかなど、喧々諤々とやっています。

必殺技の画像

ジャンプといえば、必殺技。作中で初めて放たれた必殺技は『大蛇咬(サーパント・バイト)』

ゴルフ業界人が挑戦!必殺技、サーパント・バイトは本当にできるのか、再現ムービー

──作中に具体的なクラブやウェアメーカーの名称が出てくるので、先生は本当にゴルフがお好きなんだろうなぁと想像していますが、実際に今でもゴルフは頻繁に行っていらっしゃるのでしょうか?

先生は大学を中退して漫画家になっているのですが、部活でずっとゴルフをやっていたこともありお好きで、その後もラウンドに行けるときは行っていたみたいです。ただ週刊連載が始まると本当に忙しくなるので、年に2回くらいまで減ってしまっているはずです。作家さんによっては、1週間のうち1~2日完全に休みがとれる方もいらっしゃいますが、藤巻先生の場合はまるまる原稿に費やすことが多いので、なかなか難しいと思います。先日も少年ジャンプ歴代の作家さんたちが集まるコンペがあったのですが、泣く泣く欠席していました。ゴルフの漫画を始めたら、ゴルフが下手になったとこぼしていました(笑)。

──藤巻先生のキャラクターをこっそり教えてください。

ロボットとまでは言いませんが(笑)、主人公のロボにどこか似ているところがあります。淡々としていてマイペースで、でも思慮深い。頭がいいなというイメージがすごくあります。ストイックで努力家ですし、その割に大胆です。ストーリーを創る上でも、まだ連載が始まって間もないから派手なことするには早い気もするけど、 チップインさせちゃおうかな、など大胆な面を垣間見ます。

連載が始まって以来ゴルフに行けなくなってしまったという作者の藤巻氏。ご本人は連載が続けば続くほどゴルフには行けなくなってしまうだろうが、我々としてはぜひ長く楽しませてもらいたい。

──ストーリーは、どのくらい先まで決まっているんですか?また、何名で作業されているのでしょうか。

だいたい4話分、1カ月先くらいまでのおおまかな流れは考えています。ただ基本は次の週の19ページをどうするか、が勝負です。先生の場合、打ち合わせをして、2〜3日でネームが上がり、そこから残りの期間で原稿を仕上げるといった流れです。先生のほかに、作画スタッフは常駐で3〜5名ですかね。

──最後に、今後の展開について少しだけ教えてください。

まずは、ロボがレギュラーになれるかどうかに注目してください。レギュラーになれば練習試合や、トーナメントなんかにも参加していくかもしれません。あとはずっと女子が登場していないことを先生が気にしていて、マネージャー含め女子も徐々に登場していくと思います。ゴルフの技術はもちろん、ロボ自身の人間的成長についても期待していただきたいですね。

必殺技の画像
ROBOT×LASERBEAM【1】 単行本も2017年7月4日(火)に発売! 藤巻忠俊 定価:本体400円+税

融通がきかず無表情、ロボこと高校生・鳩原呂羽人。彼をゴルフ部に誘うトモヤは新しいクラブを試すため、ロボを練習場へ連れだす。だが他校のゴルフ部に絡まれ、なんとロボが勝負することになり!?

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必殺技!サーパント・バイトは本当にできるのか、再現ムービーはこちら

動画撮影協力:富里ゴルフ倶楽部キャロウェイアパレルアドミラルゴルフ

  • Movie shooting by Yoshiaki Tsutsui
  • Text by Go Hosomura
  • Edit by Yuka Sato

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