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大谷翔平選手のために生まれた腕時計「Seiko Star Time」とは?

左:ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手、右:セイコーウオッチ代表取締役会長 兼 CEO 兼 CCOの服部真二氏

投打はもちろん、一言一句まで注目を集める野球界のスーパースター、大谷翔平選手。歴史上最高の野球選手の一人として世界的な評価を受ける彼は、2016年から10年間にわたり「セイコー」の国内アンバサダーを務め、2026年からはグローバルアンバサダーとしてブランドの魅力を世界へ向けて発信している。

そして先日、その大谷選手のためだけに、3年の歳月をかけてゼロから企画・開発された非売品のスペシャルウォッチ「Seiko Star Time(セイコー スター タイム)」がついに完成。セイコーウオッチの服部真二代表取締役会長から、来日中の本人へ贈呈された。ここまで聞けば、多くの人は「グランドセイコーの特別モデル」「限定仕様のスポーツウォッチ」あるいは「最新のハイテクウォッチ」と想像するはずだ。

ゴルフに限らずスポーツの世界ではトップアスリートとのコラボモデルは決して珍しくない。時計業界も同様で多くのブランドがトップアスリートや名門チームとのコラボモデルを展開している。その大半は既存モデルをベースに、アスリートのシグネチャーやチームカラーを文字盤やケース、ケースバックなどに落とし込んだ、いわゆる「ダブルネーム」仕様。数量限定で販売され、ファンをターゲットにした商品として企画・開発されるケースがほとんどだ。

ところが「セイコー スター タイム」は、そうしたコラボモデルとは一線を画す。既存モデルをアレンジしたものではなく、大谷選手が求める機能とデザインをゼロから追求した、世界に一本だけの機械式自動巻き腕時計だ。一見すると天文機能を備えたコンプリケーションウォッチのようだが、実はそうではない。

|まさかの「人生時間」積算機能

一見すると天文ウォッチに見える外観、だがその機能は…?

驚くべきは、意外過ぎる特別な機能にある。大谷選手との話し合いを行う中で決定したのは、誰も発想しなかったような仕組みだ。「24時間」「1000時間」「1万時間」「10万時間」「100万時間」という単位で、自らの人生を積み重ねた時間を積算表示する機構である。

文字盤の中央から外周へ向かって5枚のディスク(円盤針)を配置。それぞれが24時間、1000時間(41日16時間)、1万時間(1年51日16時間)、10万時間(11年151日16時間)、100万時間(114年56日16時間)で1周する仕組みだ。最外周のディスクが一周を終えるには114年以上を要する。つまり、生まれた瞬間から動かし始めても、その一周を見届けられる人は、ほぼ存在しないだろう。

最も内側の24時間ディスクに背番号「17」だけが赤く、大きくデザインされている。文字盤のベースカラーには、ロサンゼルス・ドジャースを象徴するブルーを採用した

なぜ、大谷選手はこの機能を求めたのか。その答えは独自の人生観にある。幼少期から実践してきたのが、「未来逆算型」と呼ばれるタイムマネジメントだ。未来の目標から逆算し、「達成するために、いま何をすべきか」を考えて時間を使う。その積み重ねを何よりも大切にする人生哲学が、この時計の発想につながっている。

ケースはブライトチタン製、ブルーのベゼルはセラミック製。リュウズにはラウンドカットのブルーサファイアがはめ込まれている。

現在32歳の大谷選手は、人生が有限であり、野球選手としてのキャリアも中盤に差しかかっていることを強く意識している。限られた時間を無駄にせず、さらなる高みを目指す。その考えを形にしたのが「人生時間積算機能」だ。24時間、1000時間、1万時間、10万時間、100万時間という節目で、自らが積み重ねてきた時間と、これから積み重ねる時間を可視化するためのツールだ。

|5枚の円盤針(ディスク)で構成される驚きのメカニズム

常人とは次元の異なる人生観から生まれた一本だけに、表示方法も極めてユニークだ。文字盤では、針の代わりに中央から同心円状に重なる5枚のディスクが、外側へ行くほどゆっくりと回転しながら人生の時間を刻む。24時間ディスクは中心に、それ以外の4枚にはスタート位置にダイヤモンドをインデックスとして配置。さらに、12時位置の風防上に設けられた赤い目盛りがそれぞれの積算時間を示している。

動かぬ北極星を中心に星座がゆっくりと巡る夜空。その情景をモチーフにした文字盤と、各ディスクにダイヤモンドを1石ずつあしらうアイデアも、話し合いの中で決定した。

ケース裏は、完全新設計の自動巻きムーブメントの姿や動きが楽しめるシースルーバック。自動巻きローターにもロサンゼルス・ドジャースのトレードマークとチームカラーがあしらわれている

文字盤の下では、この時計のためにゼロから開発された自動巻きムーブメントが、5枚のディスクを極めてゆっくりと回転させながら、休むことなく時を刻み続ける。搭載された特殊な減速機構は一部の天文複雑時計に採用例があるものの、100万時間で1周する減速輪列は、セイコーにとって初の挑戦だった。さらに、5枚のディスクを重ねる複雑な構造でありながら、ケース厚は17.4mm、ケース径も41.8mmに抑えている。高度な設計・製造技術を結集して完成させたムーブメントは、開発チームの技術力を物語る成果といえるだろう。

最大100万時間、約114年56日16時間を刻み続ける「Seiko Star Time」。大谷選手は文字盤を見つめながら、過ぎた時間と、これから積み重ねる時間に何を思うのだろうか。世界初の「人生時間表示機能」を備えたこの一本は、唯一無二の発想と技術が結実した時計として、「大谷翔平」の名とともに時計史に刻まれるに違いない。

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お問い合わせ先

  • セイコーウオッチお客様相談室(グランドセイコー) TEL:0120-302-617

Text : Yasuhito Shibuya

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