
ダイバーズウォッチにどのようなイメージをお持ちだろうか? 年齢や世代によって印象は大きく異なるはずだ。時計業界では、1990年代末から2010年代半ばにかけて「デカ厚」ブームが到来した。その流れの中で、とりわけサイズの大型化が進んだのがダイバーズウォッチだ。
1000m防水のような高いスペックを誇るものや、実用性以上に見た目のインパクトを追求したケース径45mm超、ケース厚20mm超えのモデルが各社から相次いで登場した。「ダイビングやマリンリゾートでなければ着用できない。日常使いは現実的でない」と感じさせる製品も多く、この時期に時計に興味を持った人にとっては、「ダイバーズ=デカ厚」というイメージが定着しているかもしれない。

しかし、極端なものは長続きしない。まずスタンダードウォッチは「アンダー40mm」に回帰した。スポーツウォッチ、ダイバーズウォッチの潮流も、小径化したドレスウォッチほどではないにせよ、現在は40mm前後の実用的なサイズに落ち着いている。
本コラムでも触れてきた「レトロダイバーズ」と呼ばれる各社の復刻モデルを見れば明らかなように、「デカ厚」ブーム以前のダイバーズはそれほど大型ではなかった。1990年代半ばには、クロノグラフやダイバーズをスーツスタイルに合わせ、腕元にさりげないスポーティさを添える着こなしが、一部のファッショニスタの間で密かに広がっていた。

今回ご紹介するのは、この春、ジュネーブの時計フェアで発表されたばかりのグランドセイコーの新作ダイバーズ「エボリューション9 コレクション スプリングドライブ U.F.A. Ushio 300 Diver」だ。現代のトレンドを的確に捉えつつ、日本の美学と技術を体現した、同社らしい一本といえる。
黒潮や親潮といった日本を取り巻く壮大な海流をモチーフにした文字盤。このディテールに象徴されるのが、過度に主張せず、眺めるほど上質な造り込みが伝わるクワイエットラグジュアリーなデザインだ。さらに、セイコーのみが実用化しているスプリングドライブムーブメントにも注目したい。機械式とクォーツ式の長所を併せ持つ機構に、最新キャリバーを組み合わせることで、ダイバーズとしては異例の「年差(1年間の精度誤差)±20秒」という高精度を実現した。

また「デカ厚」のトレンドを超越した、ケース径40.8mm、ケース厚12.9mmというスリムなサイズ感も見逃せない。美しい輝きと軽量性を両立したセイコー独自の素材「ブライトチタン」を採用し、ケースとブレスレットを構成している。ブレスレットには、新開発の「スライドロックエクステンダー方式」の調整機構を搭載。工具を使わずに、フィット感の細かな微調整が容易に行える。

世界を魅了するグランドセイコーの中でもとりわけスポーティな位置づけにあるモデル。いわゆるラグジュアリースポーツとは一線を画すハードなスペックを備えつつ、スタンダードウォッチと変わらぬ軽快な装着感を実現している。「デカ厚」ブームの終焉、そして1990年代半ばに見られた密かな潮流を彷彿とさせる一本であり、スタイルとウェルネスを両立させたい男性にふさわしい存在といえそうだ。
GRAND SEIKO(グランドセイコー)/エボリューション9 コレクション スプリングドライブ U.F.A. Ushio 300 Diver
価格:Ref. SLGB023(ブルー)、Ref.SLGB025(グリーン)各165万円(税込)ケース径:40.8mm
ケース厚:12.9 mm
ムーブメント:スプリングドライブ自動巻き(Cal.9RB1)
パワーリザーブ:約72時間
ケース&ブレスレット:ブライトチタン、逆回転防止ベゼル
防水性能:300m空気潜水用防水
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セイコーウオッチお客様相談室(グランドセイコー) TEL:0120-302-617
Text : Yasuhito Shibuya








