
時計好きなら、いずれ手にするべき“定番”がある。1952年、国際オーナーパイロット協会の依頼によって誕生したブライトリングの「ナビタイマー」も、そのひとつだ。
「ナビタイマー」という名は、「ナビゲーション」と「タイマー」を掛け合わせた造語。その最大の特長は、回転ベゼルに航空計算尺(E-6B)を備える点にある。飛行速度や燃料消費量、距離といった数値を瞬時に導き出すこの機構は、飛行計画書の作成が必須だった時代のパイロットにとって不可欠なツールだった。スマートフォンも電卓もない時代、計算尺こそが空を飛ぶための“知性”だった。
計算尺とは、対数(ログ)の原理を用い、目盛りをずらして合わせることで掛け算や割り算を行うアナログ式の計算器具。この機構は、前身である数学者向けクロノグラフ「クロノマット」にも採用されていたが、ブライトリングはそれをE-6B仕様へと進化させた。そして誕生したのがナビタイマーのファーストモデルである。当初は協会メンバー限定だったが、その完成度は瞬く間に評価を得て、市販化へと至った。
以降、この機械式クロノグラフは、計算尺ベゼルと緻密なインデックスが生み出す唯一無二の表情とともに、“腕に着ける計器”というブランドの思想を最も純度高く体現する存在として、時計好きのみならず機械好きを魅了し続けてきた。
誕生から約70年。その進化は着実だ。手巻き・非防水から自動巻き・防水へ。ムーブメントも汎用から自社開発のキャリバー01へと移行し、性能と信頼性を高めてきた。そして今回、もうひとつの大きな進化が加わる。ケース素材にチタンを採用した初のナビタイマーが登場したのだ。軽量で、金属アレルギーのリスクも低いこの素材は、長時間の着用において明確な優位性を持つ。これまでのSS(ステンレス・スチール)やゴールドとは異なる、“実用としての完成度”を押し上げる選択と言える。

さらに、このモデルには見逃せないもうひとつの側面がある。2026年シーズン、ホンダがパワーユニットを供給する「アストンマーティン・アラムコ・フォーミュラ1 チーム」とのコラボレーションモデルである点だ。ブライトリングにとって初のF1コラボでもある。
もっとも、この両者の関係は突然生まれたものではない。1950〜60年代、F1史に名を残すジム・クラークやグラハム・ヒルが個人的にナビタイマーを愛用していたという事実がある。その文脈を踏まえれば、本作は単なるコラボではなく、時間を超えて接続された必然とも言えるだろう。

文字盤にはブラック・カーボンファイバーを採用。ケースバックはシースルー仕様で、「Aston Martin Aramco Formula ONE™ team」のロゴが刻まれたマットブラックのローターと、キャリバー01の精緻な動きを堪能できる。
まずはブティックで腕に乗せてみてほしい。SSやゴールドとは明確に異なる、軽さがもたらす着用感。その違いは、スペック以上に身体が理解するはずだ。

BREITLING / ブライトリング
ナビタイマー B01 クロノグラフ 43 Aston Martin Aramco Formula ONE™ team
Ref. EB01381A1B1X1 価格:156万2000円(税込)
世界限定 1,959本 ※アストンマーティンがF1に初参戦した年に由来する
- SPEC
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- ケース径:43 mm
- ケース厚:13.9mm チタンケース、自動巻き、パワーリザーブ約70時間(キャリバーB01)、防水性能:3気圧
お問い合わせ先
- ブライトリング・ジャパン株式会社 フリーダイヤル : 0120-105-707
Text : Yasuhito Shibuya








