ブルガリはイタリア・ローマ発の高級宝飾品ブランドとして、世界中のセレブリティから支持されている。時計、香水、化粧品、レザーアイテムを展開するほか、2023年4月には「ブルガリ ホテル 東京」を開業するなど、ホテルズ&リゾーツ事業も注目を集めている。今回は同ブランドの中核となっている時計から、メンズウォッチの王道モデル「オクト ローマ」を紹介する。
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ブルガリはローマで1884年に創業した。時計が世界的に注目されたのは1975年に誕生した初の時計コレクション「ブルガリ・ブルガリ」から。そしてジャンニ・ブルガリの描いたスケッチを基に、20世紀最高の時計デザイナーで、数多くの傑作を残したジェラルド・ジェンタがデザインを手掛け、1980年代に入るとスイスのヌーシャテルに時計製造のための会社「ブルガリ・タイム社」を設立。以降、ブルガリの時計事業は急速に発展していった。
今日につながる大きな転機となったのは2000年で、今なお続く機械式高級時計のブームをリードした2つのブランドを傘下に収めた。画期的な複雑時計のマニュファクチュールである「ジェラルド・ジェンタ」と、独立時計師としてトゥールビヨンをはじめとする複雑時計を続々と開発した「ダニエル・ロート」だ。これをきっかけに、部品メーカーも続々と傘下に収め、自社グループ内で開発・製造できるマニュファクチュールへと一気に進化させた。
この体制が名実ともに確立されたのは2010年で、ブルガリは「時計メーカー(時計マニュファクチュール)」を宣言し、同時に初の自社製ムーブメント「キャリバーBVL 168」と、このムーブメントを搭載した「ソティリオ・ブルガリ」を発表した。
そして2012年に誕生したのが八角形のケースに丸型文字盤を組み合わせた「オクト」コレクションだ。今ではメンズウォッチ・コレクションといえばこのオクトを思い浮かべるだろう。誕生から10年以上が経ち、メゾンを象徴するアイコンモデルとなった。
この基本デザインの時計が最初に誕生したのは2004年のこと。ジェラルド・ジェンタの複雑時計「バイ レトロ」がそれだ。ジェンタが1970年代からこのデザインを積極的に取り入れて数多くの名作を生み出してきたこと、そしてその資産をブルガリが継承したという2つの歴史的経緯によってオクトは生まれた。つまり、ジェンタの八角形デザインを継承し開発したモデルである。
デザイナーとして開発を担当したのが、ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏だ。元フィアットの工業デザイナーで、ローマにデザインスタジオを持つ彼が、2007年からブルガリのデザイン部門に参画した。スティリアーニ氏は八角形のケースを緻密でシャープな110もの面で再構成し、その面をマット仕上げにすることで、幾何学的な美しさを実現した。2014年には、同じ面構成ながらケースの薄さとメカニズムの複雑さを追求した、時計愛好家垂涎の「オクト フィニッシモ」シリーズを登場させた。
そして2017年、再びステアリーニ氏のデザインでオクトファミリーの新作として登場したのが今回紹介する「オクト ローマ」だ。ケースの面構成をエッジの効いた110面から58面に減らし、より丸みを帯びた優しくエレガントなデザインで、親しみやすく、着用しやすいのが魅力のモデルだ。
文字盤カラーはブルー、グレー、ホワイトの3種類で、いずれの文字盤も光が当たる角度で繊細な表情を見せる「クル・ド・パリ(小さなピラミッド型が連なった模様)」装飾が施されている。
現在販売されているメンズウォッチの中でも「オクト ローマ」、「オクト」、「オクト フィニッシモ」ほど、幾何学的な美しさという点でデザインの完成度が高い時計はほかにない。まさに現代を代表する名作としておすすめしたい一本だ。
BVLGARI / ブルガリ
オクト ローマ オートマティック 105.6万円(税込)
- SPEC
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- ケース径:41 mm
- 自動巻き、SSケース&ブレスレット(交換用ラバーストラップ付属)、100m防水
お問い合わせ先
- ブルガリ クライアント コンシェルジュ フリーダイヤル:0120-030-142
Text : Yasuhito Shibuya