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バレンタインに“ビター”な物語 大人が抱く愛と憎しみ

友人からでも、家族からでも、書評でも、課題図書でもない「オススメの本」を読んだことはありますか? 「文喫 六本木」のブックディレクター・及川貴子さんにBRUDER読者をイメージした一冊を選んでもらいました。

「情事の終り」/グレアム・グリーン

街の空気にバレンタインチョコが染み込んだような季節になりました。しかし、その香りは必ずしも甘いとは限りません。今回は、実際に英国でスパイ活動をしていたことのある著者が描く、過ぎ去った恋を巡るビターな物語をご紹介します。

―――これは愛の記録であると言うよりも、憎しみの記録と言ったほうがはるかに相応しいのである――

――本文より

唐突に終わった不倫の1年後、主人公の男性作家は元愛人の夫と出会います。夫から、妻が隠し事をしている、と聞いた主人公は自分以外にも別の男がいたのだと嫉妬に燃えます。優しさを装って探偵を雇いますが、第三の男はなかなか判明せず。事態は思わぬ方向へと展開していきます。

一方的に関係を断ち切った彼女の目的はなんだったのか。欲望と信仰、救いと贖い(あがない)に正しい答えはあるのか。探偵小説のような小気味いいストーリーから信仰の問題へ、娯楽性を失わずにテーマが深まる様は、さすが長年ノーベル文学賞の候補になり続けた著者です(村上春樹氏の受賞について語られる際、『グレアム・グリーンだって受賞していない』とよく引き合いに出されます)。

人生の複雑な味を、文学で味わってみてください。

「情事の終り」グレアム・グリーン(新潮社)/¥737(税込)

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COOPERATION

文喫 六本木 ブックディレクター 及川貴子

2018年日本出版販売入社。2021年4月より文喫 六本木のブックディレクターとして、企画選書や展示イベント企画、本のある空間のプロデュースなどを行う。

Edit : Hiroto Goda

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