五つ星お米マイスターに聞いた! 究極に美味い「米」を炊く方法

茶碗から立ち昇る湯気に包まれながら、炊きたての甘いご飯を頬張る。毎日の食卓に並ぶお米の美味しさは、昔から変わらない日常の小さな幸せだ。今回は、そんな生活の一コマに特別なこだわりをプラス。記念日や仕事を頑張った週末は、いつものお米にひと手間かけて、少しだけ贅沢な食事を楽しんではいかがだろう。五つ星お米マイスターの片山真一さんに、究極に美味いお米の炊き方を教えてもらった。

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土鍋vs. 炊飯器 究極の「米」を炊くには?

お米の銘柄に応じた炊き分け機能や、長時間保温など、最近の炊飯器は驚くべき進化を遂げている。しかし、お米の旨味を存分に引き出すには火力が強く、時間の微調整も行える直火炊きが最適だ。

「一般的な家庭用電気炊飯器に比べ、土鍋炊飯の場合は、遠赤外線によってお米の芯までじっくりと火が通ります。その結果、お米がふっくらと、甘味のある炊きあがりになるのです」。また、土鍋で炊いたお米は冷めても硬くなりにくいのが特徴で、会社やお出かけに持って行くお弁当やおにぎりにもぴったりの炊飯方法なのだとか。

おすすめのお米には、土鍋と相性抜群の「北海道産 ゆめぴりか」を挙げる。しっかりとした弾力と鼻から抜ける甘味が特徴のこのお米は、ANAの国際線ファーストクラスの機内食にも採用された、日本を代表する品種の一つだ。

“水”は唯一の調味料

まずは食べる分のお米を計る。炊飯では“炊く”工程が注目されがちだが、意外と大切なのがこの準備段階。計量カップを用い、すり切りで正確に量を計ることが重要となる。

次はお米を洗う工程。肝心なのは「お米どうしをこすり合わせるのではなく、水の中で泳がせること」だという。水に浸かったお米をやさしく10回ほどかき混ぜ、それを3回繰り返せば洗いは完了だ。

炊飯には、お米と同量の水を使用する。「お米の硬さにこだわりがある場合は、好みに応じて水量を10%ほど増減させましょう。そうすることで、自分の理想の食感に近づけることができます」。

水を入れたら2時間浸け置く。美味しいお米を炊く上で、吸水の時間は欠かせない。唯一の調味料である水をたっぷりと吸わせることで、お米の中心部にまで火が通りやすくなり、粘りの強い、ふっくらとした炊きあがりを実現できる。

“カニ穴”は火が通った証拠

十分に水を吸わせたお米を、いよいよ火にあてる。蓋に蒸気を逃がす穴が空いている場合は、使用前に穴をふさぐ必要がある。強火で一気に加熱し、沸騰したら弱火で5分間炊きあげる。

その後は火を止め、15分間蒸らす。『赤子泣くとも蓋取るな』という言葉もあるように、しっかりと蒸らすことで熱が均一に行き届き、余すところなく旨味を充満させることができる。蓋を開け、お米に“カニ穴(ご飯の表面の穴)”が発見できれば、しっかりと火が通っている証拠だ。

「ほぐしはうまし」

炊飯において、最も重要なのが“ほぐし”といわれる最後の工程。「炊きあがった状態のままだと水分が多く、温度も高すぎるので、粗熱と水分を飛ばすことで、お米本来の味わいを楽しむことができます。『ほぐしはうまし』です」。

土鍋の中でお米を4等分し、下から上へ持ち上げるようにしてほぐすのがコツ。ひと粒ひと粒が立ち、もっちり、ふっくらとした美味しいお米が完成する。

炊飯器よりも手間はかかるが、自分で炊き上げたごはんの美味しさはひとしお。まずは一口、お米だけで味わってみてはいかがだろうか。

COOPERATION

片山真一

株式会社隅田屋商店代表取締役。明治創業の老舗米穀店の5代目であり、五つ星お米マイスター。香り、味、粘り、食感、外観の5つの観点から、全国のブランド米を独自にブレンドした『隅田屋米』を提供する。週に1回プレーするほどのゴルフ好き。得意クラブは7番アイアン。ベストスコアは77。炊飯とゴルフとの共通点は、「ルーティーンをしっかりと、平常心で振る(炊く)事」。

株式会社 隅田屋商店 http://sumidaya.jp/

Edit & Text : Hiroto Goda

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