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旅する写心~Return To Forever

世界の名門コースを撮り始めた頃、
撮影許可の取得が難しかったのが
今年の全米オープン会場となる
オークモントCCだった。
1903年に開場し、
今年で10回目の開催を数える
名門中の名門コースだ。

メンバーのプライドも高く、
開場以来、最難関コースを目指してきた。
私が訪れたのは1993年。
何度も何度も手紙を書いた末、
やっと撮影許可が下り、コースに向かった。
大きな木が生い茂り、
ラフに足を踏み入れるのが怖いくらい
暗く感じたのが第一印象だった。
その時に撮影したのが今回の写真だ。

翌94年に全米オープンが開催され
アーニー・エルスが通算5アンダーで優勝した。
オークモントが誇りとしていたグリーンスピードは、
コース内の木々が育ちすぎたことで
日が当たりにくく、風も通らなくなったため、
以前のような速さを保てなくなっていた。

次の全米オープンが
2007年に決まると
倶楽部の委員会は立ち上がった。
5000本の木を伐採し、
開場当時のリンクススタイルに戻す。
名物の高速グリーン再生に動き出した。
最終的には15000本の木を伐採し、
クラブハウスのテラスから、遠くは
3番のグリーンが見通せた。

今では当たり前になったが、
歴史あるコースが開場当時の姿に戻すスタイルは
このオークモントが始めたこと。
ゴルフコースは歳をとるにつれ変貌する。
開場当時の設計者に思いを馳せることが
今の世界のコースの流れになってきた。

宮本 卓Taku Miyamoto

1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Clubほか、国内数々のオフィシャルフォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。

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