ゴルフのツアーはまさしく旅だ。
永らくそのトーナメントを追いかけてきたが、
今年のマスターズの撮影で一区切りつける。
マスターズ37回、
全米オープン30回、
全英オープン30回、
全米プロ25回、
全米女子オープン25回、
全米女子プロ20回、
全米シニアオープン10回、
メジャー以外の大会は数えきれないほど。
思えばよく続いたものだ。
ここまで駆り立てたものは何だろう。
やっぱり日本人のメジャー優勝を
この手で撮りたいというのが
正直な気持ちかもしれない。
そういう意味で
2021年の松山英樹のマスターズ優勝は
本当に嬉しかったし、
続けてきて良かったと思った。
犠牲にしてきたものも多かったが、
ここまで自分を興奮させてくれたことには
感謝しかない。
願わくば、マスターズに40回は行きたかった。
でも決してあきらめたわけではない。
チャンスはいつ到来するか分からない。
その時が来るのを楽しみにしながら
旅を続ける。

宮本 卓Taku Miyamoto
1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Clubほか、国内数々のオフィシャルフォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。