旅する写心~Limelight

今からちょうど120年前の1903年5月24日、
六甲山に日本で初めてのゴルフ場
神戸ゴルフ倶楽部が
アーサー・グルームの発案により開場した。

始球式は兵庫県の服部一三県知事が務めた。
ところが服部知事はその日初めてゴルフクラブを握ったばかり。
当然ボールは3、4メートルコロコロと転がっただけだった。

そばにいたグルームがそれを拾い上げ、
「このボールを長く倶楽部に保存する」と高らかに宣言。
それが今なおクラブハウスに大切に飾られている。

これより前、日本人が海外でプレーした記録は残っているが、
国内で最初にプレーした日本人は服部知事に間違いない。
そう思えば思うほど
このボールが愛おしく思えてきた。

宮本 卓Taku Miyamoto

1957年、和歌山県生まれ。神奈川大学を経てアサヒゴルフ写真部入社。84年に独立し、フリーのゴルフカメラマンになる。87年より海外に活動の拠点を移し、メジャー大会取材だけでも100試合を数える。世界のゴルフ場の撮影にも力を入れており、2002年からPebble Beach Golf Links、2010年よりRiviera Country Clubほか、国内数々のオフィシャルフォトグラファーを務める。また、写真集に「美しきゴルフコースへの旅」「Dream of Riviera」、作家・伊集院静氏との共著で「夢のゴルフコースへ」シリーズ(小学館文庫)などがある。全米ゴルフ記者協会会員、世界ゴルフ殿堂選考委員。

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