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最高峰の温もりは体感でこそ語れる PYRENEXのダウンジャケット

時代やトレンドに左右されることなく、長年愛用できるアイテムには格別な存在感がある。手にするだけで、これまで以上の満足感を得られ、自分自身もさらに磨かれていく。BRUDER編集部が選んだそんな『大人名品』と呼ぶにふさわしいアイテムを毎月紹介します。

大人名品vol.11 
PYRENEX(ピレネックス)『ダウンジャケット』

VINTAGE MYTHIC¥93,500

ダウンジャケットを選ぶうえで欠かせない条件がある。洗練されたデザインであること、軽くて、暖かいこと。この一見シンプルな理想を、160年以上も前から追い続けてきたブランドが、フランス発祥の「PYRENEX(ピレネックス)」だ。袖を通した瞬間、まず驚かされるのは、からだに吸い付くような温もり。「しばらく着てから暖かくなる」のではなく、着た瞬間に違いがわかる感覚。この格別な感触こそが、長年愛され続ける理由かもしれない。

人を助けることから始まったダウンジャケット

ダウンジャケットが誕生したのは1936年頃。アメリカでスポーツ用品店を創業したエディ・バウアー氏が、極寒の釣行中に低体温症に陥った経験から「命を守る服」として開発したのが始まりといわれている。水鳥の羽毛が持つ保温力に着目し、形状が偏らないようキルティング構造を施すことで、世界初のダウンジャケットが完成した。

しかし、その発明よりもはるか前から、ダウンという素材そのものの可能性を研究し続けていたのが、1859年創業のフランスの羽毛メーカー「ピレネックス」だ。ダウンジャケットが「形」から始まったとすれば、ピレネックスは「素材」からすべてを理解していたブランドといえる。

ピレネックスの歴史――羽毛とともに160年

ピレネックスはフランス南西部、ピレネー山脈の麓サン・セベで創業した。この地域はフォアグラや食肉用ダックの産地として知られ、食文化の副産物として生まれる羽毛を活用する産業が根付いていた。創業当初から、食用として処理された水鳥の羽毛を用い、掛け布団や枕などの寝具を製造。以来5世代にわたり、クラボス家がファミリービジネスとして受け継いできた。

1960年代になると、寝具製造で培った技術を活かし、シュラフやアウトドア用品の生産を開始した。登山家やアウトドアフリークの間で高い評価を獲得し、やがてダウンジャケットをはじめとするアパレル製品を展開していった。

唯一無二の製造法――原毛から自社で扱うという強み

最大の特徴は、原毛の買い付けから加工までを一貫して自社で行っている点だ。羽毛はピレネー山脈の麓で育った、成熟したダックのみを使用する。刈り取った羽毛は腐敗する前に素早く処理され、洗浄、乾燥、選別を幾度も繰り返す。

軽いダウンボールと重いフェザーは風力選別機によって段階的に分けられ、ウェアにはその中でも最も軽く、膨らみに優れたダウンのみが使われる。さらに原毛の育成期間や産地はすべてバーコードで管理され、どの製品にどのダウンが使われているかを追跡できる。これは世界的に見ても、極めて稀な管理体制である。

究極のこだわりが生み出す最高峰の温もり

ピレネックスのダウンは700フィルパワーから、モデルによっては850フィルパワーに達する高い嵩高性が人気の理由の一つでもある。ただし同社は、数値だけにこだわっているわけではない。実際に使われるダウンの量、縫製、シェル素材、デザインまで含めて、「着たときにどう感じるか」を何よりも重視してきた。だからこそ生まれる、軽いのに頼もしく、暖かいのに品がある着心地は、160年にわたりダウンと向き合ってきた作り手にしか辿り着けない境地といえる。

アウトドアやウィンタースポーツで鍛えられた機能性は、結果として都市生活においても理想的なアウターを生み出した。無駄のないシルエット、控えめなディテール、そしてスーツにも馴染む洗練された佇まい。スポーティでありながら、どこかエレガント。このバランス感覚こそ、ピレネックスがファッションシーンでも高い評価を得ている理由だ。

持続可能なものづくりという必然

ピレネックスは創業以来、食用として処理された水鳥の羽毛のみを使用してきた。つまりそれは、資源を無駄にしないという思想がものづくりの根幹にあったということでもある。流行に流されず、素材を深く理解し、長く使えるものを作る。いま語られるサステナビリティそのものである。

ダウンジャケットが生まれる前から、羽毛と向き合い続けた時間。その積み重ねが、袖を通した瞬間の「違い」として、確かに伝わってくる。最高峰の温もりとは、数字ではなく、体感で語られるものなのだ。スペック表よりも実物を信じる大人にとって、これほど興味深いアイテムは他に見あたらないのではないだろうか。

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お問い合わせ先

  • ピレネックス マロニエゲート銀座 TEL:080-4894-5889

Text : Yumi Takahashi

Edit : Junko Itoi

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