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走りを諦めない大人へ ポルシェ「パナメーラGTS」という選択

もし、ポルシェを一台だけ選ぶとしたら、多くの人が「911」を思い浮かべるだろう。それは、このブランドを代表するスポーツカーとして、長年にわたり揺るぎない存在感を築いてきたからだ。しかし、胸が高鳴る走りはそのままに、日常の使い勝手やロングドライブでの快適性まで求めるなら、「パナメーラGTS」は極めて魅力的な選択肢となる。

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現行パナメーラは2023年に登場した3代目。ラインアップはベーシックモデルの「パナメーラ」(1550万円)から、最高峰の「パナメーラ ターボSE-ハイブリッド」(3476万円)まで幅広い。今回試乗したGTS(2376万円)は、シリーズの中核を担うスポーツグレードだ。

搭載されるのは最高出力500psを発生する4.0リッターV8ツインターボ。電動化が加速する現在でも、あえて内燃機関ならではの魅力を色濃く残したモデルである。アクセルを踏み込んだ瞬間に湧き上がる厚みのあるトルクと、胸の奥まで響くV8サウンドは、スペックでは語れないポルシェの魅力だ。

全長5055mmという堂々としたボディながら、ルーフラインは低く、美しい5ドアクーペのシルエットを描く。リアへ向かって流れるラインは空力性能だけでなく、停車しているだけでも走りを予感させる緊張感を漂わせている。

ドアを開けると、室内はスポーツカーというよりラグジュアリーラウンジに近い空気に包まれる。レザーで覆われたダッシュボードやドアトリムは上質そのもの。水平基調のインテリアは視界を広く見せ、センターコンソールには必要な操作系だけが美しく並ぶ。メーターやディスプレイの表示は鮮明で、タッチ操作のレスポンスも自然。デジタル化が進んでも操作に迷うことはなく、走行中でも視線移動を最小限に抑えてくれる。911のコックピットを思わせる包まれ感がありながら、圧迫感はない。その絶妙なバランスもパナメーラならではだ。

スタートボタンを押す。V8エンジンが目を覚ます瞬間、室内には低く重厚なサウンドが響く。しかし荒々しさはない。どこまでも洗練された鼓動である。走り出してまず感じたのはボディ剛性の高さだった。路面の情報は伝えてくる。それでいて角が取れたように上質で、乗り心地は驚くほどしなやかだ。電子制御ダンパーとエアサスペンションが路面状況に応じて姿勢を巧みに制御し、大きなボディとは思えない軽快さでコーナーへ向きを変える。

高速道路では圧倒的な直進安定性を見せ、ワインディングではスポーツカーのようにノーズが素直にインへ入っていく。ドライブモードを切り替えると性格は明確に変わる。「ノーマル」では静かなグランドツアラー。「スポーツ」ではアクセルレスポンスが鋭くなり、V8サウンドが一段と存在感を増す。そして「スポーツプラス」では、5mを超えるボディサイズを忘れてしまうほど俊敏な動きを披露する。

ひとつのクルマで、ここまで異なる表情を自然に使い分けられる。その懐の深さこそ、パナメーラGTSを特別な存在にしている。

ラゲッジ容量は通常478リットル。4:2:4分割可倒式リアシートを倒せば1312リットルまで拡大する。キャディバッグを積み込み、週末はゴルフへ。平日はビジネスシーンに溶け込み、ホテルやレストランのエントランスでも自然な存在感を放つ。 スポーツカーのような高揚感と、グランドツアラーならではの快適性。そして日常を支える実用性まで備える。パナメーラGTSは、移動の目的だけでなく、時間そのものを豊かにしてくれる一台だ。

ポルシェ パナメーラGTS  車両本体価格 2376万円(税込)

  • ボディサイズ | 全長 5055 X 全幅 1935 X 全高 1415 mm
  • ホイールベース | 2950 mm
  • 車両重量 | 2100 kg
  • エンジン | V8 ツインターボ
  • 排気量 | 3996 cc
  • 最高出力 | 500 ps
  • 最大トルク| 660 N・m

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Text : Takuo Yoshida

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