BRUDER

メニュー 検索する
閉じる

静けさの奥にランクルの血が流れている レクサス「GX550オーバートレイル+」

日本が誇る高級車ブランド、レクサス。そのラインアップの中でも、街中で見かける機会が少ない存在が、フルサイズSUVの「GX」かもしれない。SUVとひと口に言っても、GXは一般的なクロスオーバーSUVとは成り立ちが異なる。街乗りを前提とした乗用車ベースではなく、トヨタ「ランドクルーザー300」と基本骨格を共有する本格オフローダー。高級車としての快適性と、本格SUVとしての走破性を両立したモデルだ。

<関連記事>刺激ではなく“本質”を選ぶという贅沢 マセラティ「MCプーラ」を試乗

現行GXは3代目。とはいえ、初代と2代目はランドクルーザー プラドとの共通性が高かったこともあり、日本市場には導入されてこなかった。日本初上陸を果たしたのは2024年。その際に掲げられたキャッチコピーが、「ザ・プレミアム・オフローダー」だった。

現在日本で展開されるのは、3.5リッター、V6ツインターボエンジンを搭載したGX550のみ。パッケージはラグジュアリー性を高めた「バージョンL」と、オフロードテイストを強めた「オーバートレイル+」の2種類が用意される。今回試乗したのは後者である。

GX550オーバートレイル+のスタイリングは実に印象的だ。ボディ四隅を意識したスクエアな造形、張り出したホイールアーチ、大径タイヤ。無骨さを感じさせながらも、全体の面構成は驚くほど整理されている。

レクサスの象徴ともいえるスピンドルグリルはブラックアウトされ、主張は控えめ。その一方で、シルバーのアンダーガードや厚みのある18インチタイヤ、浮き上がるようなルーフレールが、オーバートレイル+ならではのタフな空気感を演出する。だが、それらの装備も過剰には見えない。都会的な上質感を損なうことなく、本格SUVとしての存在感を自然に成立させていた。

ドアを開けて室内へ乗り込むと、ランドクルーザー由来の機能性と、レクサスらしい仕立ての良さが共存していることに気づく。ダッシュパネルは視界を意識したように垂直方向へ立ち上がり、センターコンソールも大ぶりで骨太な印象。その一方で、レザーの質感やスイッチ類の節度感、ステアリングの仕立ては非常に丁寧だ。

大型ディスプレイの操作レスポンスも自然で、エアコンや走行モード切り替えなど頻繁に使う機能は物理スイッチとして残されている点も好印象。見た目だけではなく、直感的に扱える操作性にも配慮されている。

シートに身を預けると視点は高く、ボンネットの見切りも良い。広々としたキャビンには安心感があり、エンジンを始動した瞬間から長距離移動への期待感が高まっていく。ちなみに「バージョンL」は3列シートの7人乗りだが、「オーバートレイル+」は5人乗り仕様となる。

走り出してまず感じたのは、レクサスらしい静粛性の高さだった。市街地では路面の凹凸を丸くいなし、重厚なボディサイズを忘れるほど穏やかに進んでいく。特に印象的なのは10速ATの滑らかさ。変速の存在感をほとんど意識させず、速度だけが自然に積み上がっていく感覚がある。

だが、高速道路の合流でアクセルを深く踏み込むと、SUVらしい力強さが顔を出す。353psを発生するV6ツインターボは余裕たっぷりに車体を押し出し、分厚いトルクが巨体を軽々と加速させる。

さらにワインディングへ入ると、ステアリングには独特の手応えが宿り始める。微細な振動や路面の起伏がじんわりと伝わり、骨格の強さを感じさせるのである。段差を越えた際にわずかに残る硬質感も含め、ただ快適なだけでは終わらない、本格SUVらしい感触があった。

静粛性や乗り心地の良さを追求しながらも、機械としての力強さや悪路走破性を感じさせる部分をしっかり残している。その感覚が、角張ったスタイリングとも自然につながっていた。 センターコンソールには電子制御デフロックやマルチテレインセレクトなど、本格オフロード装備のスイッチも並ぶ。実際に悪路へ持ち込む機会は限られるかもしれないが、「どこへでも行けそうだ」と思わせる安心感は大きい。

そしてゴルファー視点で見逃せないのがラゲッジスペースだ。電動リアゲートを開けると、スクエアな開口部の奥には広大な空間が広がる。サイド部分まで無駄なく使われており、4〜5本のキャディバッグも余裕をもって積み込めそうだ。積載量だけでなく、荷室の高さや奥行きにも余裕があり、大型SUVとしての実用性は申し分ない。

このモデルは、日本市場向けの台数が限られていることもあり、街中ではなかなか見かけない存在だ。だが、クルマとしての完成度は非常に高い。ラグジュアリーSUVとしての快適性と、本格オフローダーとしての骨太さ。その両方を求める人にとって、かなり魅力的な選択肢になるはずだ。派手に語られるモデルではないかもしれない。しかし、乗れば乗るほど、その良さがじわじわと伝わってくる一台だ。

レクサスGX550オーバートレイル+  車両本体価格 1195万円(税込)

  • ボディサイズ | 全長 5015 X 全幅 2000 X 全高 1925 mm
  • ホイールベース | 2850 mm
  • 車両重量 | 2490 kg
  • エンジン | V6 ツインターボ
  • 排気量 | 3444 cc
  • 最高出力 |  353 ps(260 kW)
  • 最大トルク |  650 N・m
  • 変速機 |  10速 AT

お問い合わせ先

Text : Takuo Yoshida

閉じる