
ノイエクラッセと聞いて、即座に「BMW」と結びつくなら相当なクルマ好きだろう。ドイツ語で「新しいクラス」を意味するこの言葉は、1960年代に登場したBMWの革新的モデル、BMW「1500」に端を発する。そして2023年、コンセプトとして提示された“新しいノイエクラッセ”は、2026年3月、2代目となる「i3」として正式に姿を現した。
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公開されたi3は、コンセプトの世界観をほぼそのまま実体化したような完成度を持つ。未来的でありながら、一目でBMWのセダンとわかる造形。過剰なキャラクターラインや装飾は排され、そこにあるのは、60年代の名車BMW「2002」を想起させるクリーンで知的なたたずまいだ。キドニーグリルはもはや吸気のための“口”ではなく、センサーを内包する“眼”。ブランドの象徴は、役割そのものを変えながら進化している。

インテリアもまた、従来のBMWとは一線を画す。上下2本のスポークで構成されたステアリングは、量産車というよりコンセプトカーのそれに近い。さらに「パノラミックビジョン」と呼ばれる表示系は、フロントガラス下部全体を情報領域へと変える大胆な試み。単なるデジタル化ではない。ドライバーの視線を路面から逸らさないという、安全に対するBMWの哲学を、テクノロジーで再解釈したものだ。

パワートレインはBEV(電気自動車)。前後にモーターを搭載するxDrive=AWD(全輪駆動)で、最高出力469ps、最大トルク645Nmを発生する。そして何より注目すべきは、一充電航続距離900km(WLTPモード)という数値だ。現時点では詳細な技術背景は明かされていないが、BEVの実用性に対する認識を一段引き上げる可能性を秘めている。

ただし、このクルマの本質はスペックでは語りきれない。2013年の初代i3は都市型モビリティとして成立していたが、今回は3シリーズ相当のセダン。求められるのは“移動手段”ではなく、“走りの歓び”そのものだ。

実際にステアリングを握ったとき、どんな感覚が立ち上がるのか。アクセルに足を乗せた瞬間のレスポンス。回生ブレーキの自然さ。ステアリング操作に対する車両の追従性。ワインディングに持ち込んだ際、前後モーターのトルク配分がどれほど緻密に車体をコントロールするのか。

想像するに、その加速はただ速いだけではないはずだ。音や振動に頼らないぶん、路面との対話はより純度の高いものになる。コーナーの立ち上がりで、わずかなアクセル操作に対してリニアに応答するトラクション。その連続が、これまでとは異なる“駆けぬける歓び”を生み出す可能性は高い。

一方で、ゴルファーという視点で見れば確認すべき点も明確だ。まずは高速域での静粛性と乗り心地。長距離移動が前提となるゴルフシーンにおいて、疲労の少なさは重要な価値になる。次に、ラゲッジスペースの実用性。キャディバッグの積載性、開口部の形状、荷室の奥行きと高さは実車で確かめたいポイントだ。さらに、900kmという航続距離が実走行でどこまで再現されるのか。高速巡航時の電費や充電タイミングの現実性も気になるところだろう。

BMWはノイエクラッセという歴史的なキーワードを再び掲げ、電動化という次の時代へ踏み込んだ。その第一章ともいえるiX3に続き、このi3セダンは“ブランドの中核”に位置する存在だ。BEVの普及は一時的に足踏みしている。だが、その流れを変えるのは、単なる環境性能ではない。「乗りたい」と思わせる理由を持つかどうかだ。

新型i3は、その問いに真正面から向き合っている。電動であっても、BMWであること。その証明が、この一台に託されている。

BMW i3 50 xDrive 車両本体価格 未発表
- ボディサイズ | 全長 4760 X 全幅 1865 X 全高 1480 mm
- ホイールベース | 2897 mm
- 駆動用モーター | 前後1基ずつ
- 最高出力 | 496 ps(345 kW)
- 最大トルク | 645 N・m
- 一充電航続距離 | 900 km (WLTPモード)
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Text : Takuo Yoshida








