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力強さと効率を両立する成熟の選択 アウディ「Q5 TDI クワトロ 150kWアドバンスト」

今、気の利いたファミリーカー、あるいはゴルファーズエクスプレスの主役はミドルサイズSUVであることに異論はないだろう。ではその中で、今買うべき、そして長く付き合える一台とは何か。

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ひとつの答えは「新しさ」だ。ADAS(先進運転支援システム)は年々進化し、制御の精度も滑らかさも確実に向上している。そしてパワートレーンの主流は、いまや電動化。ハイブリッドはその現実解だ。だが、ハイブリッドにも流儀がある。今回試乗したアウディ「Q5 TDI クワトロ 150kWアドバンスト」は、2.0リッター、直列4気筒ディーゼルターボにマイルドハイブリッド(MHEV)を組み合わせたモデル。最高出力150kW(204ps)、最大トルク400N・mを発生するディーゼルに、18kWのモーターが寄り添う構成だ。150kWという数字は、単なるスペック以上の意味を持つ。低回転域から厚みのある400N・mを発生するディーゼルの特性により、アクセルをわずかに踏み込むだけで車体は滑るように前へ出る。2トン超の車重を意識させない余裕は、この出力とトルクのバランスがあってこそだ。高速道路への合流でも、追い越しでも、回転数を無理に引き上げる必要はない。静かに、しかし確実に速度が乗る。その“余力”こそが150kWの効能である。

フルモデルチェンジを受けた現行Q5は、昨年7月に日本上陸。大きなシングルフレームグリルとシャープなヘッドランプが形づくるフロントマスクは、「新しいアウディ」の意匠を明確に主張する。リアの横一線テールランプも、ワイドで安定感あるプロポーションを強調。派手さではなく、緻密さで更新されたデザインだ。

ドアを開けると、そこには現代的なプレミアム空間が広がる。物理スイッチを適度に残しつつ、MMIパノラマディスプレイがダッシュボードを横断する。視線移動は最小限、操作系は論理的に整理され、情報は美しく提示される。華美ではないが、確実に上質。アウディらしいインテリアだ。

走り出した瞬間、このクルマの性格がはっきりと伝わる。発進はモーターのみで静かに滑り出す。重厚なボディがすっと動き出す感覚は、SUVというより上級サルーンに近い。そこへディーゼルが自然にフェードイン。耳に届く音は抑えられ、遮音性能の高さも相まって、ディーゼル特有のざらつきはほとんど感じない。アクセルを踏み増すと、400N・mのトルクが背中を押す。数字以上に力強い。回転を上げて稼ぐ速さではなく、低回転から分厚く押し出す速さだ。市街地ではゆとりを、高速では余裕をもたらす。7速ATとの協調も滑らかで、ギアの存在を意識させない。コイルスプリングの引き締まった足まわりは、スポーツシートと相まってボディをしっかり支える。SUVらしいアイポイントの高さを保ちながらも重心は低く感じられ、コーナーではクワトロ(AWD)の安定感が際立つ。2040kgという車重を忘れる瞬間が何度もあった。

MHEVは、かつては“縁の下の存在”だった。だがこのQ5は違う。1.7kWhのバッテリー容量を備え、回生も積極的に行われる。アクセルオフからの再加速時、確かにモーターが仕事をしていることが体感できる。加速の立ち上がりが一段と滑らかで、わずかな段差も吸収するような感覚すらある。

もちろん、実用域を超えて刺激的な加速を求めるクルマではない。だが日常からロングドライブまで、常に“ちょうどいい余裕”を持ち続ける。その成熟度こそが魅力だ。アウディは同時に、サイズの近いBEV(電気自動車)であるQ6 e-tronも導入している。完全電動か、それとも熟成されたディーゼルMHEVか。どちらが正しいかではなく、どちらが自分のライフスタイルに合うか。その選択を楽しめる時代に私たちはいる。電動化が進む今だからこそ、ディーゼル ハイブリッドという選択は、むしろ理性的で豊かな決断なのかもしれない。

アウディ Q5 TDI クワトロ 150kWアドバンスト  車両本体価格 788万円(税込)

  • ボディサイズ | 全長 4715 X 全幅 1900 X 全高 1655 mm
  • ホイールベース | 2820 mm
  • 車両重量 | 2040 kg
  • エンジン | 直列4気筒ディーゼルターボ
  • 排気量 | 1968 cc
  • 最高出力 |  204 ps(150 kW)
  • 最大トルク |  400 N・m
  • モーター最高出力 |  24 ps(18 kW)
  • モーター最大トルク |  230 N・m
  • 変速機 |  7速 AT

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Text : Takuo Yoshida

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