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ファン待望のジャストサイズモデル、ついに登場 アウディ「A5アバント TFSIクワトロ」

アウディ「A5」のモデルチェンジがここまで注目を浴びたのは、なんといっても車名の変更にある。従来の「A4」ではなく、あえてA5というナンバリングを採用したのだ。アウディは、未来のパワートレーン構成(BEVかICEか)を見据え、ネーミング戦略に揺れがあったようだ。

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新型「A5アバント」は、ゴルファーにとってまさに理想的な一台といえる。プラットフォームを含めて全面刷新されたことで全体的なボディサイズは僅かに拡大しているが、実車を見るとその変化はほとんど違和感なく、むしろ包容力が増した印象だ。横から見たとき、荷室まわりが先代よりやや低く感じられるが、それを“スリムかつスタイリッシュ”と呼べるデザイン処理になっている。

室内空間は、アウディらしい精緻さをそのまま引き継ぎつつ、新たな進化を遂げている。ドライバー正面のメーターパネル(11.9インチ)とセンターモニター(14.5インチ)が、一体化されたパネルの上に浮かぶようにレイアウトされ、視線移動が極めてスムーズだ。助手席前方へのパネルは(オプション仕様も含め)あえて別構成にしたようだが、従来のA4を超える格調が確実に醸成されている。

後席は、決して広さを重視した設計ではないものの、アバント特有のルーフ形状がリアエンドまでストレートに伸びているため、ヘッドルームには窮屈さを感じさせない。荷室も先代モデルとほぼ同等の印象を保つ。リアシートバックは4:2:4の分割可倒仕様で、ラゲッジ用途の拡張性もしっかり確保されている。

駆動系は、今回試乗したクワトロ仕様が 2.0リッター直列4気筒ターボ(204ps)を搭載。電動化要素は入っていない。FF版では150ps仕様が用意される。

市街地へと車体を走らせた瞬間、まず感じたのは“剛性”の濃密さだ。ステアリングをほんの少し切った時、ボディがビシッと応えてくる安心感。路面の凹凸を伝える微細振動は、サスペンションと足まわりのチューニングでいなされており、不快な入力感はほとんど残らない。まさに“高級車を運転している”と実感させる質感だ。

低速域ではターボの立ち上がりを意識させず、アクセルひと踏みでスルスルと前へ出るフィーリング。クワトロの四輪駆動が、車体を安定させながら無理なくパワーを受け止める安心感も大きい。交差点からの立ち上がり加速、右左折の切り返しでも、車両の応答が実にダイレクトで、ドライバーの意図に忠実に反応する。

高速道路に乗り入れると、このモデルの真価がひらく。7速AT(Sトロニック)は滑らかな変速をみせ、エンジンのトルクを過不足なく使い切る印象だ。巡航速度域での伸びやかさは特筆に値し、追い越し加速でも余裕が感じられる。アクセルを軽く深めれば、背後を引き連れて加速するような一体感も味わえた。

また、長距離走行でこそ光る部分だが、風切り音やロードノイズは非常に抑えられており、静粛性にも優れる。長時間の移動でもストレスが少ないだろう。ステアリングコラムの“8時位置レバー”にまとめられた独立式ACC(アダプティブクルーズコントロール)操作系は、アウディの伝統を受け継ぐものであり、実用性も高い。今回の試乗では、微小なステアリング補正を伴う緻密な制御が印象に残った。

ライバルは、BMW「3シリーズ ツーリング」や、メルセデス「Cクラス ステーションワゴン」あたりだろう。今回のフルモデルチェンジで、アウディは“先行”というより“追いついた”印象がある。だが、その実力は、最新モニターで構成されたコクピットデザインを見れば明白だ。

大きく目立ちすぎず、しかし品質と安心感を備えた一台を、ある程度の期間、飽きずに乗りたい。そんな“地に足のついた”アウディファンにとって、この新型 A5 アバントの登場は、待ちに待った朗報と言えるだろう。

アウディA5アバントTFSIクワトロ  車両本体価格: 706万円

    • ボディサイズ | 全長 4835 X 全幅 1860 X 全高 1470 mm
    • ホイールベース | 2895 mm
    • 車両重量 | 1870 kg
    • 排気量 | 1984 cc
    • エンジン | 直列4気筒 ターボ
    • 最高出力 | 204 PS(150 kW)
    • 最高トルク | 340 N・m
    • トランスミッション | 7速 AT(Sトロニック)

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Text : Takuo Yoshida

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