
SUVが街を席巻する中で、セダンは別の方向へと進化を遂げている。その象徴が「4ドアクーペ」というカテゴリーだ。もともと2ドアのスポーティモデルを指す「クーペ」に、4ドアの実用性を融合させ、流麗なルーフラインを描くスタイル。それをBMWは“グランクーペ”と呼び、偶数シリーズに展開してきた。中でも「2シリーズ」は最小のグランクーペであり、今年3月に2代目が日本に上陸した。
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プラットフォームは先代同様、横置きエンジンのFF(前輪駆動)ベース。ラインアップは「220iグランクーペ M Sport(1.5リッターガソリンMHEV)」、「220dグランクーペ M Sport(1.5リッターディーゼルMHEV)」、そして今回試乗した最もスポーティな「M235 xDriveグランクーペ(2.0リッターガソリン)」の3種。前2モデルはFF、M235はAWD(全輪駆動)となっている。

新型の外観はフロントに大きな変化を見せた。シャープに絞り込まれたフロントマスクとクーペライクなリアの造形が調和し、先代以上に完成度を高めている。ラゲッジは独立したトランク構造だが、リアシートは4:2:4で分割可倒でき、ゴルフバッグを縦に積載可能。スタイルと実用性をしっかり両立している。

M235のキャビンはMシリーズの世界観に包まれている。バケット形状のフロントシート、赤いアクセント入りのパドルシフト付きステアリング、Mカラーのステッチが走るインテリア。細部まで入念にMらしさが仕立てられている。

エンジンを始動すると、音量規制を意識してか過度な演出はない。しかしアクセルを踏み込めば印象は一変する。首都高の合流でアクセルを深く踏み込んだ瞬間、2.0リッター、直列4気筒ターボの300psが一気に解き放たれる。だが加速は決して荒々しくない。xDriveのトラクションが路面を的確に捉え、しっとりとした乗り味のまま速度だけがいつの間にか上がっていく。ステアリングを切り込めば、フロントに組み込まれた機械式LSDが力強く前輪を引き込み、意のままに曲がっていく感覚。コーナー出口での立ち上がりには、BMWらしい軽快さと安心感が同居していた。

乗り心地はやや硬めだが、不快な突き上げはなく、むしろ路面をしっかり感じ取れる“BMWの硬さ”。高速巡航では安定感が際立ち、日常域ではキビキビとした応答性が楽しめる。末っ子に近い存在でありながら、その完成度は確かにプレミアムコンパクトの頂点にふさわしい。唯一の弱点はリアシートのヘッドクリアランス。ルーフが滑らかに落ちる4ドアクーペの宿命でもある。この点を気にするなら、同じパワートレインを持つ5ドアハッチバック「M135 xDrive」も選択肢に入るだろう。

スタイリングの美しさに加え、日常からワインディング、高速までこなす懐の深さ。セカンドカーとして迎え入れたつもりが、いつしかガレージの主役になってしまう──そんな魔力を秘めた一台である。BMWファンはもちろん、走りとデザインにこだわる人なら一度は体感すべきコンパクトだ。

BMW M235 xDrive 車両本体価格: 734 万円(税込)
- ボディサイズ | 全長 4546 X 全幅 1800 X 全高 1435 mm
- ホイールベース | 2670 mm
- 車両重量 | 1575 kg
- 排気量 | 3982 cc
- エンジン | 直列4気筒ターボ
- 最高出力 | 300 PS(221 kW)
- 最大トルク | 400 N・m
- トランスミッション | 7速 AT(DCT)
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Text : Takuo Yoshida








