
オープンカーに強い憧れはあっても、いざ所有となると二の足を踏む人は少なくない。理由は駐車環境や幌の開閉の手間などだが、実際のところ、最新のオープンモデルはそれらのハードルを大きく超えてきている。開放的であるだけでなく、日常でも快適に使える進化を遂げているのだ。それは、イギリスの古豪スポーツカーブランドであるアストンマーティンにも当てはまる。
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現在のアストンマーティンは、フルサイズSUVからF1マシンを思わせるミッドシップスーパースポーツ、そして伝統のフロントエンジンスポーツカーまで幅広く揃える。今年1月にマイナーチェンジし登場した「ヴァンテージ ロードスター」は、その最新作である。

今作で最も目を引くのは、昨年刷新された「ヴァンテージ クーペ」同様、フロントマスクの大幅なデザイン変更だ。以前は控えめだったグリルと小ぶりなヘッドランプは、アストンらしいくっきりとした顔つきへ。開口部を拡大したグリルは冷却性能向上にも寄与し、メルセデスAMG製4.0リッターV8ツインターボは510psから665psへと大幅にパワーアップした。

より力強く、そして美しく生まれ変わったが、今回の試乗で注目したのはやはり“ロードスター”という存在そのもの。フロントガラスから滑らかに続くルーフは電動ソフトトップで、開閉時間はわずか6.8秒。オープンカーの開放感は、実は限られた瞬間にしか味わえない。夏なら朝夕の涼しい時間帯、信号もクルマも少ない道を流すあの短いひととき。だからこそ、走りながらでも即座に開閉できることは大きな魅力だ。信号待ちや渋滞前で幌を閉じ、抜ける風を感じたい瞬間にだけ一気に開け放つ。まさに“オープンエアのいいとこ取り”ができる。

今回は幌を開けたままワインディングロードに挑んだ。加速に合わせて背後から巻き込む風が、耳元で小さく唸るV8のサウンドと混じり、クーペでは得られない速度感を生む。タイトなコーナーを抜けるたび、風圧が体を包み、視界が一気に開ける感覚が心地よい。オープンモデルになると剛性低下からハンドリングに影響が出るケースもあるが、アルミ骨格をベースに補強を加えたこのボディには不安がない。ステアリング操作に対する応答は鋭く、加重移動を使ったコーナリングも思いのままだ。

オープンエアの爽快感と665psという圧倒的パワー。その二つを同時に味わえるのは、このロードスターのオーナーだけに許された贅沢だ。助手席にパートナーを乗せ、タイミングを見計らって空を切るもよし。一人で峠を攻め、スポーツドライビングに没頭するもよし。ヒルクライムマシンの製作から始まったアストンマーティンらしい“走るよろこび”が、確かにここにある。

オープンカーを敬遠してきたスポーツカー乗りにこそ乗ってほしい、真の本格派。ヴァンテージ ロードスターは、クルマ人生をより豊かにする可能性を秘めた一台だ。

アストンマーティン ヴァンテージ ロードスター 車両本体価格: 2860万円(税込)
- ボディサイズ | 全長 4495 X 全幅 1980 X 全高 1275 mm
- ホイールベース | 2705 mm
- 車両重量 | 1805 kg
- 排気量 | 3982 cc
- エンジン | V型8気筒 ツインターボ
- 最高出力 | 665 PS(489 kW)
- 最大トルク | 800 N・m
- 最高速度 | 323 Km / h
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Text : Takuo Yoshida








