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最もコンパクトなスポーツアクティビティクーペの最新版 BMW「X2 M 35i xDrive」

21世紀に入ってからのSUVの普及は早かった。もともとオフローダーを街乗りすることではじまった背の高いクルマたちの流行は、普段使いするクルマのスタンダードを一変させた。進化の中で実用性も上がり、SUVクーペのようなスタイリングに重きを置いたバリエーションも登場している。BMWでいえばAWDモデルを意味するXのアルファベットに偶数(2、4、6、8)を加えた一群ということになる。

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その最新モデルというべき一台が、昨年終わりに2代目に生まれ変わったBMW「X2」だ。これまでのスタイリングはどちらかといえば5ドアハッチバックモデルを少しだけリフトアップしたような雰囲気だった。ところが新型は「X4」や「X6」といった、BMWがSAC(スポーツアクティビティクーペ)と呼ぶ兄貴分たちと同じようにルーフの後半がなだらかにスラントしたクーペスタイルをまとったのだ。

最新のBMWらしくキドニーグリルの縁取りが発光するアイコニックグローのフロントマスクを備えた新型X2。ラインアップは2.0リッター、直列4気筒ターボエンジンを搭載した20iとM35iの2種類が用意され、ともにxDrive(AWD)モデルだ。また同じプラットフォームを利用したBEV(電気自動車)モデル「iX2」が同時デビューを果たしている点も様々な動力源=マルチパスウェイを標榜しているBMWらしい。

SUVらしからぬ動力性能に合わせ、室内も精悍な印象でまとめられている。アルカンタラとレザーが用いられたフロントシートはBMW Mのバケットタイプだし、ステアリングもマルチファンクションMスポーツ・ステアリングが標準装着されている。一方低められたルーフの形状のためヘッドクリアランスが不足することもあるSUVクーペのリアシートだが、実際に腰掛けてみたところ足元にも頭上にもしっかりとした空間が確保されていた。

フローズン・ポルティマオ・ブルーといういかにもBMW Mらしい半艶のボディカラーが美しい。走りはSUVを微塵もにおわせることのないスポーティなものだった。まずエンジンパワーが強烈なのだが、BEVのようにいきなりドンと大パワーが放出されるわけではなく、パワー曲線にガソリンターボらしい抑揚があって気持ちいい。またパドルシフトで操るギアボックスのキレもいいので、5ドアの実用的なファミリーカーでありながら、オルタナティブスポーツカーとしてクルマ好きを満足させられる。

今回の試乗でスポーティな走りとともに印象に残ったのはユーザーインターフェイスだった。具体的にはもともと優秀だった音声認識のレスポンス、正確性が増したという点。これはオペレーティングシステム(OS)が新しくなったことで実現しており、同時にセンターコンソールに欠かせないiドライブのダイヤルもなくなっている。最初こそ違和感があったが、音声認識で十分に補えることも分かり、より快適な操作環境への進化を実感できた。

リアの荷室はエンド部分の左右がしっかりとえぐられてはいるが、開口部の横幅はそこまで広くない。2人乗りでゴルフに行くような場合には、リアシートを倒してキャディバッグを縦に積んだ方が使い勝手がいいと感じた。

日本の路上で扱いやすいサイズ感でありながら、飛び切りスタイリッシュでもある。そして今回のM35iに至ってはスポーツカーもかくやというほどの動力性能を秘めたモデルとしての顔も持っている。そんな新型X2は一台で全ての要件をかなえることができる注目すべきクルマといえるだろう。

BMW X2 M35i xDrive  車両本体価格: 810万円(税込)

  • ボディサイズ | 全長 4565 X 全幅 1845 X 全高 1575 mm
  • ホイールベース | 2690 mm
  • 車両重量 | 1710 kg
  • エンジン | 直列4気筒ガソリンターボ
  • 排気量 | 1998 cc
  • 最高出力 | 317 ps(233 kW)/ 5750 - 6500 rpm
  • 最大トルク | 400 N・m / 2000 - 4500 pm
  • 変速機 | 7速 AT (DCT)

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Text : Takuo Yoshida

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