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電動化で史上最高の性能を追求 ポルシェ「911GTS T-ハイブリッド」

ハイブリッド車の始祖であるトヨタ「プリウス」が誕生したのは1997年のこと。ガソリンやディーゼル車しか存在しなかった世の中に電気の可能性を知らしめた。ハイブリッド車は既存のICE(内燃機)モデルが捨てていた減速時のエネルギー等をモーターで回生して再利用するサステナブルな側面を持っているのと同時に、今日ではICE車からBEV(電気自動車)へのスマートな移行を促す役目も果たしている。フェラーリやマクラ-レン、ランボルギーニといったブランドも、エコなイメージを植え付け、パフォーマンスアップも狙えるハイブリッド技術を積極的に取り入れている。

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そんな中でも、ポルシェは電動化に前向きなブランドとして認識されているはずだ。「カイエン」や「パナメーラ」のようなモデルにハイブリッドシステムを導入しBEVの「タイカン」の普及も進んでいる。そして、5月に発表した「911GTS T-ハイブリッド」は、60年以上かたくなにリアエンジンレイアウトを守り、電動化を受け入れていなかった911シリーズの“伝統”を破った。ついに歴史が変わる――そんな予感すらさせる出来事だったのである。

ボディサイドにT-hybridの文字が入った911GTS T-ハイブリッドは、外部充電機能を持たず、モーターだけによる走行もできないマイルドハイブリッド(MHEV)だが、機構の内容は独創的で興味深い。フラット6エンジンは3.0リッターから3.6リッターに拡大され単体で485psを発生。過給はコンプレッサーとタービンの間にモーターを挟み込んだ1基の電動ターボが受け持つ。54psを発生する駆動用モーターはギアボックスの端にあり、1.9kWの容量を持つ駆動用バッテリーはフロントアクスル上に設置される。

電動化の助けを借りた総計出力は実に541psもあり、刺激的な走りを想像させる。実際にニュルブルクリンク・サーキットでは7分16秒934を記録。このタイムは先代のGTS(3.0リッターエンジンのICEモデル)と比べ8.7秒も速いのだから、ハイブリットの効果は疑う余地がない。

今回のハイブリッド911のデビューは「911カレラ」のマイナーチェンジとともに行われており、外観にも変化が施された。これまで丸形のヘッドランプ下に横一文字に光っていたドライビングライトがヘッドランプユニット内に格納された他、前後バンパーの形状も変更された。室内の意匠もメーターパネルがフルデジタルになったほか、捻って回していたスターターのノブもついにボタン式になった。

スペックから辿れば電動ターボのおかげでレスポンスが高まり、排気量アップとモーターのアシストのおかげで発進加速も鋭さを増しているはず。電動化による50㎏の重量増は低く抑えられていると言っていい。

ラインアップはクーペ以外にカブリオレとタルガがあり、2駆と4駆が用意される。古くから「最新の911こそ最良の911」と言われてきたが、今回も間違いなく最良の走りが楽しめるに違いない。

ポルシェ911GTS T-ハイブリッド(クーペ)  車両本体価格: 2254万円(税込)

  • ボディサイズ | 全長 4553 X 全幅 1852 X 全高 1160 mm
  • ホイールベース | 2450 mm
  • 車両重量 | 1595 kg
  • エンジン | 水平対向6気筒+モーター(MHEV)
  • 排気量 | 3591 cc
  • エンジン最高出力 |  485 ps(357 kW) / 7500 rpm
  • モーター最高出力 |  54 ps(40 kW)
  • システム最高出力 |  541 ps(398 kW)
  • 変速機 | 8速PDK (AT)
  • 最高速度 | 312 km/h
  • 0 -100加速 | 3.0 秒

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Text : Takuo Yoshida

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