終わりも答えもない恋愛の真実を読み解く

友人からでも、家族からでも、書評でも、課題図書でもない「オススメの本」を読んだことはありますか? 現実と少し距離を置く“小説の世界”への入り口は、時に不意の方が新鮮で心踊りそう。東京・六本木の本屋「文喫 六本木」のブックディレクター・及川貴子さんにBRUDER読者をイメージした一冊を選んでもらいました。

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「はだかんぼうたち」/江國香織

今回は、温かい部屋でホットワインや音楽とともに楽しみたい、大人の恋愛小説をご紹介します。

恋愛は時に、怖いものが何もないような勇敢な気持ちにさせてくれることもあれば、世界の見え方を一変させてしまうような心細さを感じさせることもあります。物語の登場人物たちはそれぞれ、様々な恋愛状況に身を置いています。年下の男友達に恋をし、結婚目前の恋人と別れた女性医師。恋愛する気がなく、シェアハウスで友人に囲まれているその姉。結婚を幸せの前提と考える、夫にべったりな姉妹の母。結婚し、4人の子育てに追われる友人。妻と社会人の娘の元を離れ、転がり込んだ先の恋人が急死してしまった男性。複数の恋愛を気軽に、ごく自然に楽しんでいる男。

―離れていることが不自然に思えた。離れては、いられなかった―

―会いたかった、と思った。ずっと一緒にいたというのに―

――本文より

私たちの心にはいつまでも、はだかの子どものような無防備な部分があって、揺れ動くのも傷つくのも仕方がないことだという気がしてきます。誰どの男女の心情に共感するかを考えながら、過去の恋愛体験の、正解のない答え合わせをしてみるのも面白いのではないでしょうか。

「はだかんぼうたち」江國香織(角川書店)/¥1,650(税込)

COOPERATION

文喫 六本木 副店長/ブックディレクター 及川貴子

2018年日本出版販売入社。2022年4月より文喫 六本木副店長兼ブックディレクターとして、企画選書や展示イベント企画、本のある空間のプロデュースなどを行う。

Edit : Junko Itoi

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