ポルシェ創業者の理想形がここに! 全シーンで満足感に浸れる「マカンGTS」

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ポルシェ「マカン」の高性能版「マカンGTS」に乗ると、「もしかすると創業者のフェルディナント・ポルシェ博士は、こんなクルマが作りたかったのではないか」という思いが湧いてくる。

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ポルシェ博士の“作品”でいうと、ポルシェ「911」という偉大なスポーツカーに注目が集まりがちだけれども、それだけではない。第2次大戦前は、ダイムラー・ベンツの技術部長としてレーシングカーから航空機のエンジンまで、さまざまな傑作や名機を手がけた。その後、アウトウニオン(アウディの前身)で設計したグランプリカーが、大戦前のサーキットを席巻する。さらに大戦中は、フォルクスワーゲンから発表したジープタイプの「キューベルワーゲン」が戦地で活躍。終戦後は、その乗用車版である「ビートル」が、ドイツの国民車となった。

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つまりポルシェ博士は、超高級車からハイパフォーマンスカー、さらにはSUVや市民の足となる実用車まで、ありとあらゆるスタイルのクルマを開発してきたのだ。そしてマカンGTSには、博士が追い求めてきたすべての要素が、オールインワンで含まれている。

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マカンGTSでまず驚くのは、乗り心地の良さだ。最高出力440psの大パワーを受け止めるために足回りはしっかりと固められているが、首都高速の路面のつなぎ目を通過しても、ビシッという衝撃が伝わることはない。タイヤが受けた衝撃は、どこか一点に集中するのではなく、ボディ全体にきれいに分散されてから届く印象で、実に快適だ。この心地よく引き締まった乗り味は、練りに練ったボディ構造と標準装備されるスポーツエアサスペンションの組み合わせによるもので、群雄割拠の高性能SUVの中でも頭ひとつ抜け出ている。また、全長4726mmというサイズは都市部でも扱いやすく、込み入った場所にあるコインパーキンでもすんなりと停めることができるから、実用性も高い。ただし、「GTS」というポルシェ伝統のグレード名が与えられているだけあって、ただ快適で実用的というだけではない。

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アクセルペダルを踏み込むと、排気量2.9リッターのV型6気筒ツインターボエンジンが、強力なパワーで車体を押し出す。パワフルというだけならどこのメーカーも高出力SUVをラインアップしている中で、マカンGTSがポルシェらしいと思えるのは、ターボエンジンでありながら、NA(自然吸気)エンジンのようなフィーリングを伝えること。具体的には2000rpm前後でもアクセル操作に瞬時に反応してくれるから、大排気量のNAエンジンを扱っているように感じる。もうひとつ、エキゾーストノート(排気音)も乾いた抜けの良い音で、ターボ特有の湿った音質とは異なる。レスポンスと音が良いから、ぶっ飛ばさなくてもドライブの満足感が得られる。

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ポルシェ911を評して、「時速30kmでも愉しめる」という表現が使われるけれど、マカンGTSにも同じことが言える。おいしい料理だと少量でも満足できるように、いいクルマは街中を流しているだけでも心が豊かになる。

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エンジンの好レスポンスを陰で支えているのが、ツインクラッチ式の7速PDKだ。変速がシームレスなので、タウンスピードではその存在を忘れてしまいそうになる。けれども、ワインディングロードなどでパドルシフトをマニュアル操作すると、変速の滑らかさはそのままに、ものすごい素早さで変速を完了してくれる。パドルシフトを操作する瞬間の、適度な重みと確実なクリック感が実に気持ちいい。

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0-100km/hがわずか4.5秒という強烈な加速とともに、減速にも感心させられる。フルブレーキングでも前につんのめる姿勢で減速するのではなく、クルマ全体が水平な姿勢を保ったまま、地面に吸い付くように減速する。この減速時のフォームも、いかにもポルシェらしい。

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プレミアムで、実用的でいながらハイパフォーマンス。今回の試乗では確かめられなかったけれど、高度な4駆システムを搭載していることや最低地上高を177mm確保していることを考えれば、タイヤさえ換えれば雪道でもがんがん行けそうだ。やはり、ポルシェ博士がクルマに求めたものが、この一台に凝縮されているように思えてならない。

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ポルシェ マカンGTS   車両本体価格: 11,880,000 円(税込)

  • ボディサイズ | 全長 4726 X 全幅 1927 X 全高 1596 mm
  • ホイールベース | 2807 mm
  • 車両重量 | 1960 Kg
  • エンジン | V型6気筒 DOHC 24バルブ ツインターボ
  • 排気量 | 2894 cc
  • 変速機 | 7速 PDK
  • 最高出力 | 440 ps(324 kW) / 5700 - 6600 rpm
  • 最大トルク | 550 N・m / 1900 - 5600 rpm
  • 最高速度 | 272 km/h
  • 0-100 km/h | 4.5 秒

 

    • Text : Takeshi Sato

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