ビジネスでのシティステイも束の間のショートトリップも、非日常性にあふれた「アートホテル」なら想像力が刺激され、思いもよらない効果を期待できそうです。働く場所がオフィスに限定されない時代だからこそ、仕事場とするのも一興。続々とオープンしている新たな選択肢は、公私に関わらず、新しい視野への手がかりを与えてくれるかもしれません。
#1BnA_WALL(ビーエヌエー ウォール) / 日本橋
2021年2月にオープンしたアートホテル。26ある客室を気鋭のクリエイター23組による“宿泊型アート作品”として提供しているのが特徴だ。宿泊費がアーティストに還元されるシステムなど、国内へのアート普及を目的とした支援のフレームにもなっているという。施設内には制作・展示スペース、巨大壁画、カフェバー、ラウンジが併設されていて、宿泊以外でも利用することができる。
肝心の客室は、コンセプトもさまざまで、部屋を選ぶところから、まるでテーマパークのアトラクションを楽しむような感覚が味わえる。個性的な客室は、一般的なホテルの落ち着いてリラックスできる空間…とは一線を画す。東京にいながら非日常の空間を味わい、感性を刺激されて、新しいひらめきやアイデアを期待したい。
#2KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS / 浅草
“東京のブルックリン”と呼ばれる蔵前(台東区)に2020年7月オープンしたのが「KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS」だ。築56年の倉庫ビルをリノベーションし、アート作品を公開保管する収蔵庫(ストレージ)とホテルを融合させた。館内で開催されている期間限定の企画展は、宿泊者でなくても訪れることができるが、ストレージでは宿泊者限定のアート作品も展示しているというから見逃せない。
全73室ある客室は、シーンで選べる10タイプを用意している。どの客室もモダンで落ち着いたインテリアで統一され、倉庫だった建物の天井の高さを生かした開放感が特徴。併設する「BAR KAIKA」では薫り高い茶葉を使用した日本茶やカクテルを提供している。滞在中は視覚だけでなく味覚・嗅覚も日常を抜け出し、心地よく感性のリフレッシュをはかりたい。
#3白井屋ホテル / 群馬県前橋市
群馬県前橋市の中心部にあった創業300年の老舗旅館・白井屋を再生し、2020年12月に開業したのが「SHIROIYA HOTEL」。街中に突如現れるグリーンに覆われた要塞のような建物が目を惹く。建築家の藤本壮介氏がリノベーションを手がけたもので、そのデザインは21年9月に「National Geographic Traveller Hotel Awards 2021」で日本から唯一入選(ベストデザインホテル部門)するなど、世界的にも注目されている話題のアートホテルだ。
館内もレアンドロ・エルリッヒ氏ら世界で名を馳せるアーティストの作品が、建物と調和しながら展示されていて、アートの世界にどっぷりと浸ることができる。せっかく足を延ばすなら、アーティストが手掛けた4つのスペシャルルームを宿泊候補に入れたい。客室の内装だけでなく、使用する家具も作品の一部となっていて、これまでのホテルステイとは別次元の価値を味わうことができそうだ。
お問い合わせ先
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BnA_WALL https://bnawall.com/
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KAIKA 東京 by THE SHARE HOTELS https://www.thesharehotels.com/kaika/
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白井屋ホテル https://www.shiroiya.com/
- Edit/Text : Junko Itoi