自動車の室内に日本が誇る伝統工芸をアクセントとして加える。日本車を例にとれば、その考え方にはいくつかの前例があった。だが、輸入車とのコラボレーションは珍しい。BMWのSUVシリーズの最上級モデルである「X7」の内装材に京都の西陣織を使用した、BMW「X7西陣エディション」である。
BMWジャパンは「BMWと日本の名匠プロジェクト」と題した限定車企画を展開している。今回のX7と西陣織は、「8シリーズグランクーペ」と漆芸、「7シリーズ」と鍛金に続くシリーズの第3弾となる。
X7西陣エディションは3台限定での販売となっており、車輛価格は1680万円に設定されている。これはベースモデルとなった「X7 xDrive 40d ピュアデザインエクセレンス」よりも430万円高となる。
価格アップの肝となるのは西陣織の箔屋である「楽芸工房」、そして老舗西陣織メーカーである「加納幸」が手掛けた西陣織で、ダッシュパネルやセンターコンソール、アームレスト(ルーフライニングはコンセプトカーのみ)に張り込まれている。
それ以外にも、オーダーメイドプログラムのBMWインディビジュアルでしか選べないアメトリンと呼ばれる深いワインレッドをボディカラーに用いるなど、あつらえ感の高い仕上がりを特徴としている。
かつての高級車は、量産モデルとはいえその製作工程に数多くの職人による手仕事が含まれていた。そのため、製作時間が現代とは比べようがないほど長くかかることで生産台数が限られ、結果的に希少性も高まっていた。
今回のX7西陣エディションは、ドイツの高級車と日本の伝統工芸という国境を越えたコラボレーションも興味深いが、かつての高級車に通じる価値観も持ち合わせている。というのも、質感において現代のプレミアムカーはこれまでになく高められてはいるが、完全にプログラミングされた生産ラインから次々に誕生するという点で、人の手仕事による温かみや希少性といったものが希薄になりがちだからである。
見た目のインパクトも十分なBMW X7。その室内に広がる西陣織の圧倒的な存在感。他とかぶらない絶対的な個性が、X7西陣エディションには宿っているのだ。
BMW X7西陣エディション 車両本体価格:16,800,000円(税込)
- Text : Takuo Yoshida
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