ドリフトから手放し走行まで BMW「M3コンペティション」の“ふり幅”に見る真価

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BMW「3シリーズ」の最高峰に立つ「M3」は、BMW M社が開発を手掛けたスーパースポーツセダンという側面を持つ。今回は、そのハイパフォーマンスモデルに位置づけられる新型「M3コンペティション」の走りを体感した。

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以前は2ドアモデルがM3、4ドアモデルがM3セダンと呼ばれていた。6世代目となる現在は4ドアモデルのみとなり、以前あった2ドアモデルは5世代目から「M4」というモデルネームに変わっている。M3の中にも、試乗車のコンペティションと「M3コンペティション トラックパッケージ」という2モデルが存在。現行モデルは後輪駆動のみだが、今秋にM3 / M4で初の4輪駆動となる「xDrive」が追加される。

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3シリーズをベースにアップデートされているM3コンペティションだが、その構成方法はゼロからと表現できるほど変化が加えられた。ボディシェルを徹底的に補強し、ルーフパネルはカーボン製に変更。太いタイヤを収めるために拡幅されたフェンダー等には、軽量のアルミパネルが装着されている。

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新型M3で話題となったのはBMWの新しい“顔”である。伝統のキドニーグリルと呼ばれる横並びの2つのグリルは上下に目いっぱいまで拡大され、唯一無二の個性的な表情を作り上げている。賛否両論が渦巻くフロントマスクはともかく、このクルマの最大の関心事は走行性能にある。

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M3コンペティションの異常なほどの加速性能は、走りはじめてすぐに感じられる。アクセルを深く踏み込まなければスピードは抑えられるが、それでも排気音や挙動によってドライバーを挑発してくる。スーパーカー並みの質感に酔いしれていると、いつの間にかスピードが出てしまっているのだ。しかも8速Mステップトロニックの操作により、エンジンの回転を低く、静かに保つこともできる。

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4ドアセダンでありながら、スーパーカー並みの性能を誇り、万能感が高いM3。だが、歴代のモデルは、ゴルファーと相性のよいモデルとは言い難かった。2世代目までのギアはMT(マニュアル トランスミッション)のみだったし、乗り心地も硬め。ゴルフからの帰り道で渋滞に遭ってしまったら、なかなか辛い乗り物だったのだ。

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今回のM3コンペティションの乗り心地も硬めの部類に入るが、路面から突き上げをいなす性能は高く、総じて粗野な感じがしない。ドライビングモードを「コンフォート」にすれば、乗り心地からステアリング、ブレーキの反応まで、細かくセッティングを変更できるので、クルマの性格を自分のドライビングスタイルや走りのステージに合わせる楽しみもある。

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極め付きは、「ハンズオフ機能」を含むACC(アダプティブクルーズコントロール)だ。高速道路(道交法の定めにより都市高速なども含む)上で速度60km/h以下(渋滞時や諸条件あり)の場合、手放し運転が可能になるのだ。

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M3コンペティションには、実はドリフトの距離(滑りはじめから収束まで)や角度を解析し、評価してくれるような裏モードまで付いている。それほどのスーパースポーツセダンでありながら、大人5人がしっかり乗り込めて、480リットルものトランク容量にゴルフバッグを搭載でき、渋滞もハンズオフで楽々切り抜けられる。M3コンペティションの真価は、このピンキリともいうべきふり幅の広さにある。

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今回の新型M3のデビューは、純粋なガソリンエンジン搭載(非ハイブリッド)という点で驚きをもって迎えられた。つまり、これが純ガソリン、超高性能エンジンの最終期という見方が根強いのである。後世において、M3コンペティションがBMWの歴史に名を残す一台になったとしても不思議ではないだろう。

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BMW M3 コンペティション 車両本体価格:13,240,000(税込)

  • ボディサイズ | 4805 X 全幅 1905 X 全高 1435 mm
  • ホイールベース | 2855 mm
  • 車両重量 | 1805 Kg
  • エンジン | 直列6気筒 DOHC ターボ
  • 排気量 | 2992 cc
  • 最高出力 | 510 ps(375 kW)/ 62500 rpm
  • 最大トルク | 650 N・m / 2750 - 5500 rpm

 

  • Text : Takuo Yoshida

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  • BMW カスタマー・インタラクション・センター:0120-269-437

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