ジープ初のPHEV「レネゲード4xe」 乗ればわかる人気の理由

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現在のジープブランドのエントリーモデルであり、タフで頼りになるキャラクターを備えたジープ「レネゲード」に、プラグインハイブリッド(PHEV)仕様が加わった。今回はレネゲード 4xe(フォー・バイ・イー)に試乗し、ジープブランド初となるPHEV車の仕上がりを紹介する。

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PHEVとは何かを解説すると、外部電源に接続(プラグイン)して、充電できるタイプのハイブリッド車を指す。バッテリーに電気がたっぷりとある状態では、モーターを駆動してEV(電気自動車)として走る。一方、バッテリーの電力が足りなくなるとハイブリッド車に変身し、エンジンでの駆動や充電を行うようになる。つまりEVとハイブリッド車の“いいとこ取り”をしたのがPHEVだ。

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ジープ レネゲード4xeはボンネットの下に積まれる1.3リッター直列4気筒ガソリンターボエンジンが前輪を駆動する。また、車体後部に位置するモーターが後輪を駆動する。「ELECTRIC」「E-SAVE」「HYBRID」の3つの走行モードを持ち、状況に応じて前輪駆動車(FF)、後輪駆動車(FR)、四輪駆動車という3つの顔を持つことが特徴だ。「ELECTRIC」は、モーターだけのEV走行(FR)をするモード。満充電の状態だと距離にして48km、最高速度130km/hまでのEV走行が可能だ。「E-SAVE」では、できるだけ電気の消費を抑えるために、エンジン主体(FF)で走る。 「HYBRID」は、パワーを最適化し燃費を最小限に抑えるよう設計されたモードだ。道路の種類に応じてガソリンエンジンとモーターが協調し、回生ブレーキによるエネルギー回収も行う。バッテリーの充電レベルが最低限度に達するまではEV走行が優先される。始動と駆動力供給を最適化するプログラムによりガソリンエンジン仕様に比べて2〜3割ほど燃費が向上するという。

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レネゲード4xeにはシステム出力(エンジンとモーターの出力を合わせたもの)が191psのリミテッドと、239psのトレイルホークという2つの仕様が用意されている。市街地で乗るぶんには大きな差はないけれど、高速道路をよく走る遠出の多い方なら、余裕をもってゆったりと運転できるトレイルホークを好むだろう。興味深かったのは、ジープブランドならでは、悪路や雪道などで前輪がスリップした際の本領発揮ぶりだ。雪上試乗会で体感する機会があったのでそのフィーリングを記したい。

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前輪が滑ってから後輪を駆動する、いわゆるオンデマンド式の4輪駆動は、エンジン車も採用するシステムだが、後輪をモーターで駆動するレネゲード4xeはそのレスポンスがとにかく素早い。前輪が滑った次の瞬間にはバチッと後輪にトルクが伝わって、スリップを抑止して車の動きを安定させる。 モーターはエンジンに比べてレスポンスが電光石火だし、トルクをより精密に制御できるというありがたい特性もある。したがって、オンデマンド式の4輪駆動システムが、より俊敏に、より正確に機能するのだ。なるほど、モーターにはこういう使い方があるのかと感心した。「PHEV=エコカー」と考えがちだが、燃費や環境性能だけでなく、エンジン車とはひと味違う実用面でのパフォーマンス向上もあるのだ。

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レネゲード4xeには他のジープ車と同じように「TRAIL RATED」というバッジがついている。これはルビコントレイルという、アメリカ西海岸の過酷なオフロードでの走行テストをクリアした証だ。コンパクトではあるけれど、悪路に強いヘビーデューティさは妥協しない。それをPHEVという新しいメカニズムで実現しているのがジープらしさなのだろう。

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ジープブランドの日本での売り上げは好調で、その人気を牽引しているのがレネゲードだという。コロナ禍もあってクルマが当たり前の存在になった。今後、ジープのようにはっきりとした個性があるブランドにはどんどん注目が集まっていくのかもしれない。

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ジープ レネゲード リミテッド 4xe 車両本体価格:4,980,000円(税込)

  • ※表示価格にはオプションは含まれておりません。
  • ※価格には保険料、税金(消費税除く)、自動車リサイクル料金、その他登録等に伴う費用等は含まれておりません。
  • ボディサイズ | 全長 4255 X 全幅 1805 X 全高 1695 mm
  • ホイールベース | 2570 mm
  • 車両重量 | 1790 Kg
  • エンジン | 直列4気筒 DOHC ターボ
  • 最高出力 | 131 ps + FCAeモーター 60 ps(96 kW)/ 5500 rpm
  • 最大トルク | 270 N・m / 1850 rpm

 

  • Text : Takeshi Sato

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