フォルクスワーゲン「ゴルフ」がフルモデルチェンジ、8世代目へと移行する。ゴルフは1974年に初代が登場して以来、40年近く経った現在においてもFF(前輪駆動)の実用車の基準であり続けているだけに、クルマ好きのみならず、世界中の自動車業界関係者が動向を見守っている。今回は試乗に先駆けて、日本での販売を間近に控えるゴルフの注目ポイントを確認しておきたい。
まずデザインは、ベストセラーだけに大冒険をせず、キープコンセプトとなっている。ボディサイズはほんの少し大きくなり(全長+19mm、幅-11mm、高さ-24mm)、ロー&ワイドなたたずまいになっているが、だれが見てもひと目でゴルフだとわかるはずだ。ロー&ワイドに見せようとしたのは、増殖しているSUVとの差別化を図るためと推測する。
ヘッドランプ周りとリアのコンビネーションランプにLEDを組み込んだ新しい演出は、フォルクスワーゲンだけでなく、世界中の自動車メーカー共通のトレンドだ。ルックスだけでなく、実は「MQB」と呼ばれるプラットフォーム(基本骨格)も、従来型と同じだ。7代目ゴルフは実に洗練された乗り心地だった。同じ基本骨格の新型は、あの完成された乗り味をどのようにアップデートしているのか、大いに注目したい。
新型ゴルフのポイントは、「CASE」にある。Cはインターネットで外部とつながる「コネクティッド」、Aは自動運転を意味する「オートノマス」、Sは所有を前提としない「シェアリング&サービス」、そしてEは電動化の「エレクトリック」の頭文字。この4つの要素がクルマの未来に影響を与えるとされ、新型ゴルフの見どころもここにあるのだ。
Cに関しては、本国仕様では車間通信(クルマ同士で情報をやりとりして安全性の向上を図る)が導入されている。日本仕様への導入は通信規格の調整後ということになるが、それでもデータ通信によってクラウドとつながることで音楽の配信サービスなどは享受できる。
Aについては、大幅に進化されたとする安全・運転支援装置が関心の的だ。追従やブレーキの機能、車線維持装置などがどこまで自動運転に近づいているのか確認を進めたい。
Sについてはまだ先の話になるだろうけれど、Eに関してはフォルクスワーゲンのモデルとして初めて48Vの電源システムを採用したマイルドハイブリッドシステムに注目したい。ドイツ勢のプレミアムモデルはすでに48Vを用いているが、ゴルフのような実用クラスではまだ例がない。ハイブリッド大国の日本でゴルフがどれだけの走りと燃費を見せるのか、楽しみである。ちなみに日本仕様のパワートレーンは2種類で、1リッター直列3気筒エンジンと1.5リッター直列4気筒エンジンでの展開となる。
こう見てみると、ドライバーが運転するエンジン付きの自動車としては7代目ゴルフで完成しており、8代目で次の領域に踏み出すものと考えられる。次代のクルマとクルマ社会の形を見せてくれるはずの新型ゴルフを楽しみに待ちたい。
フォルクスワーゲン ゴルフ eTSI アクティブ 車両本体価格:3,125,000円(税込)
- ボディサイズ | 全長 4295 X 全幅 1790 X 全高 1475 mm
- ホイールベース | 2620 mm
- 車両重量 | 1310 Kg
- エンジン | 直列3気筒 ターボ + 48V マイルドハイブリッド
- 排気量 | 999 cc
- 最高出力 | 110 ps(81 kW)/ 5500 rpm
- 最大トルク | 200 N・m / 2000 - 3000 rpm
フォルクスワーゲン ゴルフ eTSI スタイル 車両本体価格:3,705,000円(税込)
- ボディサイズ | 全長 4295 X 全幅 1790 X 全高 1475 mm
- ホイールベース | 2620 mm
- 車両重量 | 1360 Kg
- エンジン | 直列4気筒 ターボ + 48V マイルドハイブリッド
- 排気量 | 1497 cc
- 最高出力 | 150 ps(110 kW)/ 5500 - 6000 rpm
- 最大トルク | 250 N・m / 1500 - 3500 rpm
- Text : Takeshi Sato
お問い合わせ先
-
フォルクスワーゲンカスタマーセンター フリーダイヤル:0120-993-199
sp.volkswagen.co.jp