SUVクーペに求めるものとは? メルセデス・ベンツ GLE Coupe

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メルセデス・ベンツ GLE Coupe。この車名からモデルの立ち位置を説明すると、「GL」はメルセデス・ベンツのSUVであることを示し、それに続く「E」はEクラス相当であることを表す。最後の「Coupe(クーペ)」は、オーセンティックなSUVであるGLEに対して、よりスタイリッシュでスポーティな性格を与えられていることを意味する。GLEクーペは、単にGLEの外観に手を加えただけでなく、ホイールベースを60mm短縮している。つまりカッコだけのクーペではなく、敏捷な運動性能も狙っているのだ。

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エンジンのラインアップは2種類。ひとつが、最高出力330psを発生する2.9リッター直列6気筒ディーゼルターボを積むGLE 400d 4MATIC Coupe(1186万円)。もうひとつが、3.0リッター直列6気筒ガソリンエンジンにターボとスーパーチャージャーを組み合わせた最高出力435psのAMG GLE 53 4MATIC+Coupe(1421万円)。今回は前者に試乗した。

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2つの液晶パネルを並べたインストゥルメントパネルは、最近のメルセデス・ベンツのデザイン傾向に沿ったもので、機能的でインターフェイスに優れるだけでなく、ラグジュアリーな雰囲気も味わえる。

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エンジンスタートボタンを押すと、直列6気筒のディーゼルターボが静かに目覚めた。このエンジンがいい。まず低回転域から分厚いトルクがあり、ゼロ発進から力強く滑らかに車体を押し出す。最新設計だけあって、かつてのディーゼルに見られた振動やノイズは皆無といえる。ドライバーはストレスなく力強さだけに身を任せることができるだろう。

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単に力強いだけでなく、エンジンの回転フィールには心地良ささえ感じられた。ガソリンエンジンと違って高回転域まで突き抜けるように回るわけではないが、実用の回転域での回転マナーのしつけと回転上昇とともに盛り上がるパワーのシンクロ感によって、アクセル操作が楽しくなってくるのだ。エンジンの好印象の背景には、9ATの存在もある。迅速かつ滑らかに変速するこのミッション。ほとんど感知できないほど微小な変速ショックを注意深くトレースしてみると、普段は早め、早めにシフトアップしていることがわかる。

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そして加速が必要なときにアクセルペダルを踏み込むと、さっとキックダウンでギアを落とし、スーッと滑るように加速する。エンジンとトランスミッションのこの連携のよさは、ドライブして体感するスムーズさ、ある種の“クーペらしさ”の大きな要因だろう。

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エアサスが標準装備される足まわりも乗り心地は良好だ。ただしエアサスという言葉から想像するようなフワフワとした乗り心地ではなく、しっかりと地面をつかんでいる感じが伝わってくる。荒れた舗装や路面のつなぎ目で生じるショックのかどを上手に丸めて、いなすタイプの乗り心地のよさだ。試乗車には、路面の凸凹をカメラで検知して足まわりのセッティングを調整する「E-ACTIVE BODY CONTROL」というオプションが備わっていたが、この装備も効果を発揮していただろう。

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おもしろいのは、全長5mに迫ろうというサイズでありながら、よく曲がることだ。さすがにライトウェイトスポーツのようにスパンスパンと曲がるわけではないけれど、ロールはよくチェックされ、無駄な動きのないすっきりとしたフォームでコーナーを駆け抜ける。乗り心地のよさとハンドリングが高いレベルで両立していてこその感覚だと思う。

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GLEクーペは、GLEと違って3列目のシートを備えておらず、そこを気にする方がいるかもしれない。クーペの語源は、フランス語の「切る」を意味する言葉で、もともとは馬車に由来する。馬車の後部座席を切って乗車定員を少なくすることで、パーソナルな空間とスポーティな運動性能、そしてキュッと引き締まったルックスを得たのだ。つまり、カッコと走りを重視した贅沢なクルマ。求めるものには優先順位をつけて考えたい。GLEクーペもGLEの“ええカッコしぃの贅沢版”なのだから。

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Mercedes Benz GLE 400d 4MATIC Coupe Sports
車両本体価格:11,860,000円(税込)

  • ※表示価格にはオプションは含まれておりません。
  • ※価格には保険料、税金(消費税除く)、自動車リサイクル料金、その他登録等に伴う費用等は含まれておりません。
  • ボディサイズ | 全長 4995 X 全幅 2020 X 全高 1715 mm
  • ホイールベース | 2935 mm
  • 車両重量 | 2350 Kg
  • エンジン | 直列6気筒 DOHC ターボ
  • 最高出力 | 330 ps(404 kW)/ 3600-4200 rpm
  • 最大トルク | 700 N・m / 1200-3200 rpm

 

  • Text : Takeshi Sato

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