話題のアウトドア系SUV、グランドチェロキーを試乗

パンデミックによる影響を避けられない今年はともかくとして、日本国内の輸入車販売台数はここ数年好調です。どこもSUVラインアップが充実し、多くの人のショッピングリストに入るようになりました。その中でも顕著なのが今回ご紹介するジープブランド。2019年は国内販売台数が１万3360台を記録しました。

そう聞いてもピンと来ないですよね。2015年は7132台、2010年まで遡ると1877台でした。ジープはSUVのブランドとしては有名でしたが、ドイツブランドがSUVでグイグイ台数を伸ばしている最中、それほど脚光を浴びていなかったんです。そう考えるとここ4、5年の伸びはまさにブームと呼べるかもしれません。他ブランドが羨むようなジャンプアップをしています。

今回はグランドチェロキーを3台テストドライブしてきました。クルマはエントリーモデルのラレード、オフロードに強いトレイルホーク、ハイパフォーマンスのSRT8。エンジンはSRT8が6.4リッターV8で、それ以外は3.6リッターV6を搭載します。パワーは前者が468ps、ほかは290psです。

久しぶりのグランドチェロキーでしたが、どれも良い印象でした。モデル末期で熟成しているのでしょうか、ボディ剛性は高く、すごくスムーズに走ります。正直いってこれまではドイツ車と比べると“雑”なイメージがありましたが、今回はまったくなし。連続するコーナーでの足捌きや高速域での安定した挙動はかなりグレードの高い仕上がりといえます。

個人的に気に入ったのはトレイルホーク。オフロード好きのワタクシにとって魅力たっぷりです。日常的にこれだけ快適に使えて、オフロードシーン向けには他のモデルにはないデバイスが積まれているのですから申し分ありません。赤い牽引フックも好みです。

もちろん、SRT8の走りは別物です。大排気量のV8エンジンはクルマ好きを唸らせます。不用意なアクセル操作をすると、身体がシートに押し付けられることになるので、ご用心ください。特筆すべきは、まるでレーシングカーのようなエキゾーストサウンドでしょう。心躍らされ、トンネルでは思わずパドルシフトを多用してしまいました。窓を開けるとその音でアドレナリンが分泌されます。くれぐれも他のクルマが走っていないことをご確認ください。本当にすごいので、びっくりさせちゃいますから。

ただ、こうしたマニアックなモデルはちょっと手に余る、という方が大多数だと思います。そんな方々にお勧めしたいのがエントリーモデルのラレードです。ある意味一番気軽に乗れました。上級モデルが備えるエアサスの快適な乗り心地は確かに魅力ですが、長い目で見ると機械式の方がメンテナンスにはいいかもしれません。それに装備も思った以上に充実しています。524万円という価格はとてもリーズナブル。同クラスのドイツ車と比べるとお財布に優しく思えます。

グランドチェロキー3台の一気乗りでしたが、キャディバッグを積むことや遠くのゴルフ場に出かけることを考えると、3台ともかなり「アリ！」なモデルだと思います。ついでにグランピングなんていう気分にもなるでしょう。なんといってもジープですから、アウトドアなシーンは間違いなくサマになるんです。出かけることをワクワクさせてくれるクルマ、響く人はこれからもっと増えてくるかもしれません。