公道を走るレーシングカー!? ダラーラ ストラダーレ

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自動車業界にはまだまだ魅力的なブランドが眠っているんだな。そんなことをつくづく感じました。いや、多くを知った気になってはいけませんね。日々勉強です。そう思ったのはダラーラ ストラダーレのステアリングを握ったから。袖ケ浦フォレストレースウェイで行われた顧客向け試乗会に参加してきました。

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もちろん、ダラーラの名前は以前からレーシングコンストラクターとして耳に入っていましたし、昨年4月のダラーラ ストラダーレの日本発表には足を運んでもいます。「見た目はまんまレーシングカーで、これでナンバー登録できるんだ」と感心したのを覚えています。“ストラダーレ”、つまり公道仕様であるのはわかりますが、かなりのクセモノではないかと。

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ダラーラ ストラダーレとはどんなクルマなのか。ストーリーは一人の男から始まります。その名はジャンパオロ・ダラーラ。ダラーラアウトモビリの創業者です。そもそもはフェラーリやマセラティのモータースポーツ部門に携わっていました。のちにランボルギーニやデ・トマソに籍を移しますが、一貫してレーシングカーの設計に興味を持ち、それを実行してきた人物です。

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そして、1972年に独立し自分の会社を立ち上げフォーミュラマシンの設計に本腰を入れます。F1、F3、インディマシンにも関わってきました。そんな彼の81歳の誕生日(2017年)にお披露目されたのがこのダラーラ ストラダーレ。2015年に開発をスタートしたプロジェクトの産物です。これまでの経験と技術の集大成といったところですね。

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    フロントガラスがない、バルケッタタイプ

ダラーラ ストラダーレは、ドアも窓も屋根もフロントガラスもないカタチが基本形となります。要するにシングルシートのフォーミュラマシンのイメージ。

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    フロントガラスを付けた、ロードスタータイプ

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    Tバー型の屋根を付けた、タルガタイプ

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    サイドガラスでキャビンを覆う、クーペタイプ

もちろん、このクルマは2シーターです。それを“バルケッタ”とし、フロントガラスを付けた“ロードスター”、Tバー型の屋根を付けた“タルガ”、そのバーにヒンジを付けてサイドガラスでキャビンを覆う“クーペ”という計4つのスタイリングをオーダーできます。クーペに乗り込むときは天井ヒンジのサイドガラスを上に跳ね上げ、ガルウィングドアとして使います。効率的ですね。

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特徴はカタチだけではありません。複合材とカーボンファイバーをふんだんに使った超軽量ボディで、乾燥総重量855kgは驚異的です。サーキットで培った高いエアロダイナミクス性能も、このクルマの特徴から外すわけにはいきません。エンジンはフォード製2.3リッター直4ターボのエコブーストを搭載。それを6速マニュアルで動かすのを基本とします。ちなみに試乗したのはパドルシフト付きのシングルクラッチオートマチックでした。

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さて、走らせてみると、イメージとは真逆の扱いやすいクルマでした。シートに乗り込むことと、シートベルトでシートに身体をくくりつける作業は、一般的なクルマよりも大変ですが、走り出すととても気持ちがいい。ステアリングはとても素直でクルマの動きもナチュラルに反応します。最も驚いたのは乗り心地で、お尻にガンガン振動が来るオールドスクールなレーシングカーとはまったく違います。

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コース上のゼブラにタイヤが差し掛かってもしなやかにこなすだけ。ドライバーが歯を食いしばるようなシーンはありませんでした。ブレーキも同様で、いきなりガツンとストッピングパワーが立ち上がるのではなく、若干の踏みしろがあります。街中で乗るのにもきっといい感じでしょう。発表会の日にクセモノと決め込んだのは大間違いでした。

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パワーは400馬力あるので十分。というか、軽量ボディではそれ以上のパフォーマンスを感じます。やはりこの手のクルマの最重要項目はパワーウェイトレシオなのでしょう。想像以上の走りを体感させてくれたダラーラ ストラダーレ。いやはやお見事です!

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小さな会社のこのマシンが多くの人の手に触れることはおそらくないでしょうが、走りに関しての高い評価はいずれ伝播されていくに違いありません。2000万円台のスーパーカーをお考えの方は要チェックです。他人とは違う個性的な一台を選ぶのであれば、こいつを選択肢に入れるのも乙なんじゃないでしょうか。さあ、妄想をふくらませる時間ですよ。

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Dallara Stradale
車両本体価格:24,821,500円(税込)

  • ※表示価格にはオプションは含まれておりません。
  • ※価格には保険料、税金(消費税除く)、自動車リサイクル料金、その他登録等に伴う費用等は含まれておりません。
  • ボディサイズ | 全長 4185 X全幅 1875 X全高 1041 mm
  • ホイールベース | 2475 mm
  • 車両重量 | 855 kg
  • エンジン | 水冷直列4気筒 DOHC ターボ
  • 排気量 | 1968 cc
  • 最高出力 | 400ps / 6200 rpm
  • 最大トルク | 500 N・m / 3000-5000 rpm
  • 0-100km/h | 3.25 秒
  • 最高速度 | 280 km/h

 

  • Text : Tatsuya Kushima

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