ハイブリッドにもボルボの「こだわり」 XC60 B5に試乗

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2019年以降の新型車すべてに電動モーターを搭載する―とボルボが発表したのは2017年6月のことだった。内容としては、全モデルにEV、プラグインハイブリッド車、またはマイルドハイブリッド車をラインアップするというもの。3年の月日を経た今年4月からは、今後のスタンダードとして期待されるマイルドハイブリッド車が日本でも発売された。注目度の高いXC60 B5を早速試乗した。

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48Vバッテリーを搭載したマイルドハイブリッドと呼ばれるパワーソースは、昨今メルセデスを筆頭にドイツメーカーが力を入れている形式だ。要約すると、基本はエンジンのパワーで駆動するが、低速域でモーターがアシストしたり、回生ブレーキで電力を積極的に蓄えたりするというものだ。ガソリン車よりも発進が静かで燃費が良いのが利点となる。

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XC60 B5には気筒休止機能もあるので、それも燃費向上に貢献する。マイルドハイブリッド形式に必要なパーツは、ベルトでクランクとつなぐモーター(ISGM)とDC/DCコンバーター、それとリアエンドに積むリチウムイオン電池ほか補器類。大掛かりなハイブリッドシステムよりもスペース効率は格段に良い。

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ラゲッジスペースは、タイヤハウス左後方にくぼみがあるなど、長尺物を積み込みやすいように工夫されており、キャディバッグは真横にして収めることができる(写真:左)。シートを倒さず最大3個のキャディバッグを収納することが可能(写真:右)。

XC60のマイルドハイブリッド搭載グレードは、B5 AWDのインスクリプションとモメンタム。装備の違いで選ぶことになるだろう。XC60ではこの他に、D4のディーゼルエンジンとT8のプラグインハイブリッドのパワーソースも選べる。今回のB5追加に伴いガソリンエンジン単体のグレードはカタログ上からなくなった。

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今回メーカーに用意してもらったのはB5インスクリプションである。乗り込むと、最新型ボルボでさらに評価が高まった感のあるお洒落なインテリアに目を奪われる。なかでもXC60はその代表格でセンスの良さが光るのだ。特筆するような何かを探そうとすると難しいのだが、すべてがシンプルにレイアウトされる。これぞ北欧デザイン。奇をてらわないアンダーステイトメントな雰囲気に好感を抱く人は多いはずだ。

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すでにXC90に採用されていたオレフォス社製クリスタルシフトノブが今回から付いたことには言及しておかなければならない。より高級感が増したのは言わずもがなだが、シフト操作に関しては慣れが必要だろう。シフトノブ自体が手のひらにすっぽり入るほど短く、個性的なのだ。それを二回手元に引き、パーキングからドライブへとギアをシフトする。

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モーターのチカラで走り出すため、音もなくスーッとタイヤが転がり出すといった感覚。モーターのトルクは自然で、予期せぬチカラでグイッと前へ押し出されるような感じはしない。東京と鎌倉を往復するテストドライブ。そこからの走りも良かった。実際はそこそこのスピードが出ていても、キャビンは静かで常に安定しているし、ロードノイズの消し方も見事だし、あら探ししようにも何ら不満はなかったのだ。

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途中で、ドライブモードをデフォルトの“コンフォート”から“ダイナミック”にスイッチしてみた。するとシフトタイミングが遅れ、2.0リッター直4ターボがスムーズに上まで回るようになる。速い! ただ、個人的には“コンフォート”で十分に思えた。高速道路からワインディング、一般道すべてを走る試乗ルートだったが、“コンフォート”のスピード感、気持ち良さはレベルが高く、かなりの時間をかけてたどり着いたセッティングに違いないことを実感したのだ。ひとつのドライビングモードという少し割り切ったような期待を軽々と超えてくる、これこそ開発陣のこだわりの産物。今回に限らず、昨今のボルボはそんなことを強く感じることが非常に多い。

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ボルボのマイルドハイブリッドを体感するのが、今回のB5試乗の趣旨だったが、クルマを降りて強く印象に残ったのは、XC60が相変わらずスタイリッシュでかっこいいSUVということの再認識だった。ボルボのラインアップの中で世界で最も売れているモデルというのも納得だ。こういうクルマが街に増えれば、建造物のデザインももっと良くなるかもしれない。そんなことをふと感じ、降りたばかりのテスト車を珍しく振り返った。

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母国スウェーデンで環境大臣が2030年までにエンジン車を廃止すべきと発言したり、英国ボリス・ジョンソン首相をはじめとする欧州首脳レベルからも、期限を切ったエンジン車廃止宣言が続出した流れもあり、ボルボは2019年から21年の間に5台のEVを発売するとも公言している。引き続き動向に注目したい。

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VOLVO XC60 B5 AWD Inscription
車両本体価格:7,340,000円(税込)

  • ※表示価格にはオプションは含まれておりません。
  • ※価格には保険料、税金(消費税除く)、自動車リサイクル料金、その他登録等に伴う費用等は含まれておりません。
  • ボディサイズ | 全長 4690 X全幅 1900 X全高 1660 mm
  • ホイールベース | 2865 mm
  • 車両重量 | 2155 kg
  • エンジン | 水冷直列4気筒 DOHC インタークーラー付ターボ+電気モーター
  • 排気量 | 1968 cc
  • 最高出力 | 250ps(184kW)/ 5400-5700 rpm
  • 最大トルク | 350 N・m / 1800-4800 rpm
  • 電動機(モーター) | 3330 / 交流同期電動機
  • 最高出力 | 10kW / 3000 rpm
  • 最大トルク | 40 N・m / 2250 rpm

 

  • Text : Tatsuya Kushima

お問い合わせ先

  • ボルボ・カー・ジャパン フリーダイヤル :0120-922-662

    www.volvocars.com
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