2020年で生産終了、アルファロメオ 4Cの乗り味

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今となってはあまりイメージできないかもしれませんが、20世紀前半のアルファロメオは、グランプリレースを戦うスポーツカーの匂いがプンプンする自動車メーカーでした。もちろん、近年はF1でもマシンを走らせているのでイメージをお持ちの方もいらっしゃるでしょう。でも、戦前の活躍はそんなものではなかった。マセラティやメルセデス・ベンツをライバルに、高性能マシンの開発で凌ぎ合いをしていました。

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そんな足跡があるからこそ、アルファロメオはたまに“スーパー”なクルマを市販します。21世紀に入ってからは8Cコンペティツィオーネ(2006年発売)がそうでしょう。それまでのラインアップからは想像できないV8エンジンを積んだ高性能モデルでした。そして、ここで紹介する4Cもそんな一台。ミッドシップレイアウトのこいつはまさに“小さなスーパーカー”そのものです。

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アルファロメオ 4Cは2013年に誕生、翌年から日本でも販売が開始されました。特徴はそのデザインとハードウェア。プラットフォームは完全なオリジナルで、バスタブのようなカーボン製モノコックシェルにアルミのサブフレームが組まれます。なので、生産ラインはこれまでの市販車とは別。同じFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)グループということで、モデナにあるマセラティのファクトリーが使われました。

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でもって驚くのがその価格。開発プロジェクトの段階からそれは定められていて、日本では800万円台から販売されました。同じミッドシップの本格的スーパーカーのおよそ1/3です。カーボンやアルミといった素材から考えるとかなり利益率は低そう。もちろん、我々カスタマー側にはありがたい話なのですが。

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前置きはこのくらいにして実際の走りに移りたいと思いますが、その前に、このクルマは乗り込むところからしてスペシャルであることを忘れてはいけません。ドアを開けると目にするのがとにかく太いサイドシル。低いドライバーズシートの座面に腰を下ろし、片足ずつそのサイドシルを越えるところから全てが始まります。そしてキーを回してイグニッションオン。ボタン式でないことが一世代前であることを感じさせます。

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エンジンがかかったあとはアクセルを踏んでクルマを前へ進めます。ギアボックスはクリープのないデュアルクラッチ式なので、ドライバーの意思がないといつまでも止まったままです。走り出してしばらくすると、このクルマがミッドシップであることを実感します。ステアリングに対する反応がクイックなのは当然のこと、ドライバーを基点にスッと向きを変えます。これがミッドシップ特有の動き。低速ではあまり感じないかもしれませんが、高速域になるとそれを色濃くします。FFともFRとも違った動きなので、しばらくは注意が必要です。

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ですが、慣れてくるとこれが楽しくてしょうがない。本格的なレーシングカートを公道で動かしているような感覚です。この挙動、クルマ好きにはたまりません。しかも、アルファ自慢のD.N.Aドライブモードスイッチを通常使いの “N(ナチュラル)”から走りを強調する“D(ダイナミック)”にするとキャラが一層際立ちます。シフトタイミングを遅らせることでエンジンはかなり引っ張られ、2速、3速は一気にレッドゾーン近くまで。操作系のレスポンスがクイックになり、エキゾーストサウンドも大音量になります。思わずニヤケちゃいますね。

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個人的に気に入ったのは減速時で、大容量のブレーキを踏むといいタイミングでシフトダウンしブリッピングが響き渡ります。まるでサーキットを走っているのではと思うほど、気持ちが高揚する瞬間です。エンジンは1750cc直4ターボなので、V8エンジンのようなドーンという加速ではありませんが、カーボン+アルミの効果が大きい軽量ボディでは十分な出力。

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クルマは絶対的なパワーよりもパワーウェイトレシオが肝心なんですね。アルファロメオのレーシングスピリットをしっかり感じられる走りの4Cですが、ついに今年で生産が終了します。日本でのカタログモデルの販売は去る4月30日に打ち切られてしまいました。ただ、年末にファイナルエディション的な限定車が発売されると予告されています。限定50台の狭き門ですが、トライしたい気になりますね。

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こんなにワクワクさせてくれるアフォーダブルなスーパーカーはなかなかありませんから。 ということでクルマ好きの皆さん、アルファロメオのオフィシャルホームページは、年末に向けて要チェックですぞ!

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Alfa Romeo 4C SPIDER
車両本体価格:8,650,000円(税込)

  • ※表示価格にはオプションは含まれておりません。
  • ※価格には保険料、税金(消費税除く)、自動車リサイクル料金、その他登録等に伴う費用等は含まれておりません。
  • ボディサイズ | 全長 3990 X全幅 1870 X全高 1190 mm
  • ホイールベース | 2380 mm
  • 車両重量 | 1060 kg
  • エンジン | 直列4気筒 DOHC インタークーラー付ターボ
  • 排気量 | 1742 cc
  • 最高出力 | 240ps(177kW)/ 6000 rpm
  • 最大トルク | 350 N・m / 2100-4000 rpm

 

  • Text : Tatsuya Kushima

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