“気持ちがいい”と思わず叫びたくなる、BMW アルピナ XD4

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今回の主役はアルピナというカーメーカー。ここの繰り出すモデルにはすべて“BMW アルピナ”という名前が付きます。会社名を日本風に書くと“アルピナ自動車製造会社”ですが、製品にはBMWの文字が並ぶのです。理由は至ってシンプルで、BMW車をベースにしたハイエンドモデルのみを製造しているから。日本には世界で唯一のアルピナ専門ディーラーが東京・世田谷に存在しますが、ドイツをはじめとするそれ以外の国ではBMW社と連携したロジスティックと販売ネットワークを用い、BMWと同じショールームで販売されています。

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よくよく考えるとこれはすごいことです。世界に名を馳せるBMWが年間1200から1700台しか生産しない小さな自動車会社にネーミングの使用を許可しているのです。アルピナのすべてのモデルにはそのロゴはもちろん、BMWのマークも装着されます。通常ブランドを持つ会社以外の同業他社がそのマークやエンブレムを付けたら大問題になるところですが、そうではないのです。さらにいうと、アルピナはすべての車体に固有の車体番号、通称VINコードを刻印しています。これはつまり自社製品として公式に証明されているという意味。アルピナがチューナーではなく自動車メーカーであることの証です。BMWもアルピナも、互いを尊重し、リスペクトしていればこその関係性。従業員220名というアルピナの製造クオリティの高さが、我々の想像以上、従業員数500倍以上のBMWも認めるレベルであればこその関係性なのです。

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そんなアルピナの新型車に乗りました。アルピナにとっては2モデル目となるSUVのXD4です。ベースになるのはBMW X4。BMWが得意とするSUVクーペです。ポルシェもカイエンクーペを出すくらいですから昨今人気の高いカテゴリーといえるでしょう。アルピナはエクステリアの化粧直しブランドではないので、XD4にはベースのBMWにはない独自のテクノロジーがハードウェアからふんだんに使われます。

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たとえばディーゼルユニットを搭載するエンジン。3.0リッター直6コモンレール式直噴ユニットという文字面こそBMWと変わりませんが、その内実は4基のタービンを持つターボチャージャーで過給するかなり個性的なものです。内訳は、高圧ステージに2基、低圧ステージに2基で、つまり、全エンジン回転域に対してターボが機能するのです。アクセル操作に対するターボラグなど無関係といったところですね。

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実際に走らせると、このエンジンがシームレスに加速するのを体感できます。特に停止状態からのスタート時にその効果は顕著に現れ、素早いスタートダッシュと共に気持ちいい吹け上がりをドライバーに感じさせます。ターボエンジンへの賛辞としておかしいのを承知でいえば、“自然吸気ユニットのような 上質”が感じられます。こんな芸当ができる理由を、いくつか挙げてみましょう。アルピナがBMWのエンジンと向き合った年月は半世紀以上で、そのすべてを熟知していること。機械加工でつくるオリジナルパーツの精度が高いこと。熟練のクラフトマンが手作業でエンジンを組み上げていることもあります。そして、エンジン用テストベンチが最先端の分析能力を誇ることも付け加えておきましょう。

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エンジンと組み合わされるトランスミッションもオリジナルです。エンジン特性に見合ったギア比とコンピューター制御が入るアルピナ・スウィッチ・トロニック付き8速ATはZF社との共同開発。足回りも、電子制御式ショックアブソーバーを採用した独自のアルピナスポーツサスペンションを搭載しています。ゴツゴツしたところのない気持ちのいい乗り心地ながら、コーナリング時のスタビリティの高さに驚かされます。アルピナはスポーティなブランドですが、あくまでも“上質”なのがポイントです。あまりの乗り心地の良さに、タイヤサイズを確認しましたが、試乗車が履いていたのはオプションの22インチでした。

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“上質”というキーワードはインテリアにも当てはまります。ドアトリム、シートに使われるレザーの質感や手触り、切り返しのデザイン、ステッチの美しさは、オーバー2000万円級のウルトララグジュアリーブランドのクラスに感じられます。まさに熟練クラフトマンの技といったところでしょう。わがままをかなえるビスポークももちろん受け付けてくれます。

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細部を語り始めると、一冊の解説書となってしまうような文字数になるのは、アルピナが1+1=2ではなく、5にも10にもなるこだわりの思想で作られているせいでしょう。ストレスのない走り、静粛性に長けたキャビン、それでいて過度な装飾は一切ないみた目。アルピナの顧客にはドクター、歯科医、ミュージシャンが多いと聞きましたが、わかるような気がします。 アルピナのつくりだすクルマはオンリーワン。BMW車をベースとしながらも別次元です。センシティブな大人たちにウケる“究極”をあなたも見てみたくはないですか?

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BMW ALPINA XD4
車両本体価格:13,850,000円(税込)

  • ※表示価格にはオプションは含まれておりません。
  • ※価格には保険料、税金(消費税除く)、自動車リサイクル料金、その他登録等に伴う費用等は含まれておりません。
  • ボディサイズ | 全長 4751 X全幅 1927 X全高 1615 mm
  • ホイールベース | 2864 mm
  • 車両重量 | 2550kg
  • エンジン | 直列6気筒 クアッド・ターボ
  • 排気量 | 2993 cc
  • 最高出力 | 388ps(255kW)/ 4000-5000 rpm
  • 最大トルク | 770 N・m / 1750-3000 rpm
  • 0-100km/h | 4.6秒
  • 最高速度 | 268km/h

 

  • Text : Tatsuya Kushima

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  • ニコル・オートモビルズ合同会社

    alpina.co.jp
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