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新型GLS試乗で確信するSUVの次なるトレンド

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ファッション業界にトレンドがあるように、自動車業界にもトレンドがあります。モーターショーに出品されるコンセプトカーはその種まきで、メーカーはそこでマーケットの反応をみます。4ドアクーペ、SUVクーペなどはそんな手順を踏んで出来たトレンドでしょう。そんな中、にわかにムーブメントを起こしそうなカテゴリーがあります。3列シートのSUVです。現状のカテゴリーシェアは大きくありませんが、何やら流行の兆しを感じます。

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去る3月に発売を開始したメルセデス・ベンツ 新型GLSはそんな一台です。3mを余裕で超えるホイールベースのこのクルマは3列シートを有します。冒頭にトレンドという言葉を用いたのには理由があります。3列シートのSUVがミニバンにとってかわる動きがあるからです。日本ではミニバン人気は相変わらず根強いですが、グローバルではそうでもありません。それを証拠に元祖ミニバンのダッジ・キャラバンやクライスラー・ボイジャーに一時の勢いはありませんし、ヨーロッパのメーカーはミニバンをそもそも積極的につくりません。メルセデス・ベンツやフォルクスワーゲン、プジョーくらいでしょうか。

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昨今SUVを新たにラインアップしたラグジュアリーブランドなどはまったく興味なしといったところです。一方、3列シートのSUVは増加傾向にあります。同じ人数が乗れるのであれば、より運動性能が高く、見た目もかっこいいSUVを多くの人が好む傾向が販売実績から見え始めているためです。今の時点では、マーケットでシュリンクしつつあるミニバンに代わる「新たな提案」として、トレンドの段階を進んでいる状態でしょう。

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話を新型GLSに戻しましょう。セールスポイントは、最新のパワーユニット、エアサスペンションをはじめとするシャーシの進化、安全装備のアップグレード、それと新世代のインターフェイスです。メルセデスはいま「ハイ、メルセデス」で脚光を浴びたMBUXをはじめとする最新のテクノロジーをモデルチェンジ毎に波及させる作業に入っています。

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パワーユニットは、3.0リッター直6クリーンディーゼルターボと4.0リッターV8ツインターボ+ISG(インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター)+48Vの2種類です。名前はGLS 400 d 4MATICとGLS 580 4MATIC。後者は昨今ドイツメーカーが普及させているマイルドハイブリッドです。

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従来型の3.0リッターディーゼルユニットを積んだGLS 350 dはV6でした。しかし今回は同じディーゼルエンジンでも高効率の直列6気筒になっているのがポイントとなります。Gクラスのクリーンディーゼルと同じ手法ですね。排出ガスはクリーン化され燃費もよくなりました。それにドライブフィールも。いっぽう、V8はこれまで4.7リッターのツインターボでしたが今回はそれより700cc排気量を落としながら電動アシストを加えることで、パワーを455psから489psに向上させています。カタログスペック上も進化の度合いを大きく感じる部分ですね。

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足回りはアダプティブ・ダンピング・システム・プラスに注目です。ボディに付いた複数のセンサーと複雑なアルゴリズムを用いて路面状況に減衰特性をあわせるAIRMATICと呼ばれるエアサスペンションで、フラットな乗り心地を提供します。今回の試乗ではこれが威力を発揮したのか、終始乗り心地がよかったのが印象的でした。一般道もそうですし、高速道路でもそれを感じます。日本はまだ路面が良い方ですが、きっと中国やアメリカだとより顕著に効果が現れることでしょう。もちろん、従来型よりも60mm延長されたホイールベースも乗り心地に大きく貢献します。

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    運転に集中しながら様々な機能が言葉で操れ、乗る人を最高峰のラグジュアリーで満たす

次にインテリアですが、ここは大きく変わりました。MBUXを有する12.3インチワイドディスプレイと12.3インチコックピットディスプレイが、これまでと雰囲気を異にします。いってしまえば、未来的高級サルーンのようなダッシュボードです。

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    2列目シートを倒さなくても、キャディバッグ4つが積載可能

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    2列目シートには、バックレストを40:20:40で前方に倒せる分割可倒機能を装備

この他では2列目シートの使い勝手が向上しています。電動式スライド機構は動く幅が広く、一番後ろまで下げるとレッグスペースが87mm拡大します。また、これまで60:40の二分割だったシートを40:20:40の三分割としたのもミソ。真ん中の席を倒すことで、左右2名の肘置きにもなります。

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シートヒーターも、独立した空調調整もついた2列目の居住性はとても高く、これならリムジン的な使い方もできそうです。GLS 580 4MATICにはオプションで、リラクゼーション機能やシートベンチレーター、ヘッドレストクッションも用意されるようなので完璧ですね。

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個人的にはドアクロージングサポーターを気に入りました。ドアをバタンと閉めるのではなく、半ドア状態まで閉めると後は自動的にカチッと収まる。高級車の証で、乗り降りの所作にも上品さが生まれそうです。

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エクステリアにも触れておきましょう。そもそも完成度が高いデザインだけに大きな変更はありませんが、しっかりイマドキ感は加わっています。目につくのはヘッドライトユニットの形状やバンパーデザインが変更されたフロントマスク。他のモデルとの関連性が強まりました。パッと見、これまでより躍動的に感じます。これには最近メルセデスが採用しているデザイン思想「Sensual Purity(官能的純粋)」が関係しています。サイドパネルからエッジの強いラインを消して柔らかい面構成でボディラインを象ります。4ドアクーペのCLSでも表現されていたのがこの思想で、印象は妖艶で官能的。シンプルに見せてなかなか高度なことをしています。

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今回は高速道路をメインにおよそ100kmを試乗しました。走らせた印象で最も強く感じたのは安定感の高さ。これだけ大きなボディをナチュラルにスーッと走らせます。間違いなく一躍買っていたのは9速のトランスミッション。トップギアでのオーバードライブは滑らかです。そして前述したアダプティブ・ダンピング・システム・プラスが、いついかなる時もキャビンをフラットに保ってくれます。シームレスな減衰圧の変化はとても自然で乗員にそれを気づかせません。

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これだけ大きなボディながら高速道路での車線変更やコーナーの出入り口では俊敏な動きをみせてもくれました。ステアリング操作に対する揺り返しは抑えられ、ロール制御もしっかりできています。メルセデスの最新技術がてんこ盛りされた効果は、不調和を感じさせることなくしっかり体感することができた――というのが、新型GLSを試乗した印象です。このサイズでこの動きはさすが。次回は2列目乗車でロングドライブに出かけたい。そう思いながらドライバーズシートから離れました。安定感があり、人数が乗れて、デザイン性に優れた3列シートのSUVが密かなトレンドになる日は近そうだ、と思わざるを得ない出来栄えです。

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Mercedes Benz GLS 580 4MATIC Sports(ISG搭載モデル)
車両本体価格:16,690,000円(税込)

  • ※表示価格にはオプションは含まれておりません。
  • ※価格には保険料、税金(消費税除く)、自動車リサイクル料金、その他登録等に伴う費用等は含まれておりません。
  • ボディサイズ | 全長 5213 X全幅 2030 X全高 1823 mm
  • ホイールベース | 3135 mm
  • エンジン | V型8気筒 DOHC ツインターボ
  • 排気量 | 3982 cc
  • 最高出力 | 489ps(360kW)/ 5500 rpm
  • 最大トルク | 700 N・m / 2000-4000 rpm
  • ハイブリットモジュール | 48V 20Ah 1.48V

 

Mercedes Benz GLS 400 d 4MATIC
車両本体価格:12,630,000円(税込)

  • ※表示価格にはオプションは含まれておりません。
  • ※価格には保険料、税金(消費税除く)、自動車リサイクル料金、その他登録等に伴う費用等は含まれておりません。
  • ボディサイズ | 全長 5207 X全幅 1956 X全高 1823 mm
  • ホイールベース | 3135 mm
  • エンジン | 直列6気筒 DOHC ターボ
  • 排気量 | 2925 cc
  • 最高出力 | 330ps(243kW)/ 3600-4200 rpm
  • 最大トルク | 700 N・m / 1200-3200 rpm

 

  • Text : Tatsuya Kushima

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