BMW M2 コンペティション、クルマと一体になる感覚は「最高!」と叫びたくなります

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ピュアEVをラインナップするサブブランドIシリーズや1から7までそろえるSUVのXシリーズを掲げるBMW。特にXシリーズの販売は好調で、「BMW=SUV」なんて図式も確立しつつある気がします。ですが、ここの御家芸はやはりセダン&クーペではないでしょうか。そんなことを感じさせるモデルが今回の主人公です。

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BMWに対するイメージは人それぞれですが、齢四十路以上の方はやはり3シリーズが象徴的な存在かと思います。いまでこそ4シリーズとして分けられるクーペやカブリオレですが、そもそもはツーリングを含めすべて3シリーズと呼ばれていました。 そしてその頂点にいたのがM3(エムスリー)。BMWの100%子会社でレース部門を担当するM社が手がけるハイパフォーマンスカーです。M4クーペとなったいまでもその魅力に陰りはありませんから、憧れているカーガイもきっと多いことでしょうね。かくいう私もその一人です。

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ただ、現代のモデルはエンジンパワーが上がると同時に、ボディサイズが大きくなり値段もかなり高くなっています。80年代から90年代に活躍したE30やE36、E46の頃のM3と比較するとクラスが違うというか。なので、あの時代のM3の影を追い求めると、正直最新のM4クーペはトゥーマッチな気がしなくもない。いやはやモンスターマシンですから。 そこで、今回スポットをあてるのがM2。エンジンパワーは当時のM3の20%増しですが、ボディサイズや価格はあの頃と近いものとなります。

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全長4475mmがその証拠。E46型M3が4490mmでしたからほぼ同じですよね。いやぁ、忘れていましたが、ちゃんとあるんですねこういうクルマ。きっとBMWが当時のM3の穴を埋めるために開発したんだと思います。クルマ好きが考えることは万国共通ですから、ニーズも多かったことでしょう。つまりBMWのマーケティング的視点から生まれたのではないかと。というか、きっと彼らもこんなクルマつくりたかったに違いありません。

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試乗したのはM2コンペティションというモデルです。以前はM2もラインナップされていましたが、現在はこの“コンペティション”のみとなります。その違いはエンジン。一見して同じ3リッター直6ターボユニットに思えますが、じつは別物。細かい話で恐縮ですが、M2のエンジン型式はN55、同コンペティションはS55となります。何が違うかというと、その出どころです。前者はBMW社製で、後者はM社のもの。つまり、S55はM4クーペと同じユニットということになります。少々エンスージアスティックな視点の話ですがね。なので、パワーも異なります。M2の最高出力が370psなのに対し、同コンペティションは410psを発揮します。M4クーペの431psに迫る数値です。ちなみに、M4クーペコンペティションは450psまでスープアップされています。恐ろしい。

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ところで、この“コンペティション”という意味ですが、文字通り“競技”を指します。つまり、街中からサーキットまでしっかり網羅できるつくりになっているわけです。確かに、今回試乗してそれは感じました。街中の信号や渋滞によるストップアンドゴーはスムーズですし、高速道路での身のこなしも秀逸でした。リアルにサーキットを走ったわけではありませんが、コーナリングスピードの高さや安定感からも相当走り込めることが想像できます。それにステアリング操作に対する正確な挙動と、ボディの一体感は鳥肌が立つほど。まさに筑波サーキットでタイムアタックしたくなるような走りです。

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ただ、エキゾーストノートが大きかったり、乗り心地が硬めだったのは事実。運転している身にはそれほど感じないでしょうが、リアシートの乗り心地は決して快適とは言い切れません。まぁ、ある意味確信犯ではありますがね。よって普段人を乗せることの多い方用としては100点満点はつけられない。リアシートからのクレーム対応は事前に考えておくことをオススメします。

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そんな性格のため、4人分の席があるからってリアシートに人を乗せてゴルフ場へ向かうのはお控えください。トランクもそこまでゴルフバッグが入るスペースはありません。あくまでも一人、もしくは二人で行動するのがベターです。その代わり寝坊したときは威力を発揮します。潜在的なクルマの速さが光ります。高速道路もゴルフ場付近のワインディングも敵なし。さらにいえば、この高い運動性能を操っていると頭も身体も覚醒します。ゴルフ場に着いた時には、寝坊してモヤっていた頭がスッキリ。クルマを停め、レセプションでチェックインしたらそのままティーグランドへ向かっちゃってくださいませ。あとは気持ちよく1Wを振り切るだけです。

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そう考えると、M2コンペティションはセカンドカーとして所有するのが好ましいかと。このクルマはあくまでもクルマ好きカーガイの趣味であり、ファミリーでどこか行く足ではありません。それ用にはBMW Xシリーズを用意するのが賢いカーライフかと思われます。趣味グルマとしては最高の選択肢であり、相棒になることでしょう。

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トランスミッションの選択も自ずと決まってきます。7速M DCTもありますが、6速MTにグッと惹かれます。早朝一人でゴルフ場へ向かう道でマニュアル操作に酔いしれるはずです。ストロークの短さに思わずニヤけてしまうのでは。とはいえ、7速M DCTにもそれなりに工夫が施されていることを付け加えましょう。それはシフトレバーの付け根にあるスイッチ。3段階に分けられるそれで、シフトタイミングとシフトチェンジ自体の速度を変えられます。スポーツ、ノーマル、エコモードみたいなものです。パドル操作なしでかなり上まで回せるのがグッド。技術陣はその辺のカスタマーニーズをわかってらっしゃいますね。ステアリンググリップの太さもこのクルマはしっくりきます。最近のBMW車はどのモデルもやたら太くなっていますが、Mならその理由がわかる。ガッツリ握ってクルマと一体になる感覚は「最高!」と叫びたくなります。

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といったのがM2コンペティションのキャラクターです。ある意味、昔ながらのBMW感満載。「クルマって楽しい!」てのを思い起こさせてくれる一台です。最後にこのクルマの魅力をもう一つ付け加えます。それはボンネット下のエンジンルーム。ギッシリと詰まったMパワーの文字が入るカムカバー&エンジンと補器類、そしてそこにU字型にカーボン製のタワーバーが通されています。それはとても有機的で一瞬ギョッとする光景です。きっと設計を担当したエンジニアはニコニコしながらパズルのようにそこに必要パーツを納めたのでしょう。ここにも強いこだわりを感じます。やはりBMWはエンジン屋なんですね。とにもかくにもM2には見るべきポイントがたくさんあるクルマです。

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BMW M2 COMPETITION
車両本体価格:9,180,000~(税込、7速 M DCT Drivelogic)

  • ※写真はオプション装着車。
  • ※表示価格にはオプションは含まれておりません。
  • ※価格には保険料、税金(消費税除く)、自動車リサイクル料金、その他登録等に伴う費用等は含まれておりません。
  • ボディサイズ | 全長 4475 X全幅 1855 X全高 1410 mm
  • ホイールベース | 2695 mm
  • 車両重量 | 1610 Kg(6速MT
  • エンジン | 直列6気筒 DOHC
  • 排気量 | 2979 cc
  • 最高出力 | 410ps(302kW)/ 6250 rpm
  • 最大トルク | 550 Nm / 2350-5230 rpm

 

  • Text : Tatsuya Kushima

お問い合わせ先

  • BMW カスタマー・インタラクション・センター:0120-269-437

    www.bmw.co.jp
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