謎めいたブランド「ジョーンズ」をつくっているのはこの人! -【HOLE 1】

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日本でもファン急増中の米キャディバッグブランド『ジョーンズ』から、ディレクターが初来日。スタイリッシュで親しみやすく、とてもチャーミングな2人はとにかくゴルフが大好き。そんな彼らが目指すものづくりへのこだわり、日米のゴルフライフの違い、そして編集部も所有していながらはじめて知った、ジョーンズの最新ゴルフバッグの使い方を聞いた。

ブルーダーでもたびたび特集し、日本でも着実にファンを増やしている『ジョーンズ』。その魅力は、とにかくシンプルでカッコイイところにあるのだが、そもそも、米・ポートランド発祥で、若き日のタイガー・ウッズも愛用していたこと以外ブランドに関する情報があまり入ってきていないのも事実。ならば、本人に聞きましょう!ということで、初来日したディレクターのマットとクリスにインタビューを敢行。

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編集部:ジョーンズといえば、本国アメリカでは超有名で、ブランドの歴史は古いんだよね。

マット:オレゴン州ポートランドで1971年に誕生したブランドだよ。70〜90年代初頭にカレッジやハイスクールで圧倒的シェアを誇っていて、当時ジョーンズスポーツカンパニーのことを知らない人はほとんどいなかったほど。

編集部:ということは30年以上前…え、2人の年齢と、歴史があってないように見受けられるけど!

クリス:そう、僕らは初代ジョージ・ジョーンズから、ブランドを譲ってもらったんだ。90年代初頭まで、ジョーンズのマーケットシェアはすごかった。ただ、そのあとクラブメーカーが続々とバッグをつくり始めて、勢いをなくしてしまった。

マット:僕らは学生の頃からゴルフがとにかく大好きで、生まれ育ったポートランド発のこの伝統あるブランドを、自分たちの手で復活させたいと思ったんだ。ジョーンズは僕らにとって、昔を思い出させてくれるノスタルジックなブランドだから。

編集部:もともとは2人とも、どんな仕事をしていたの?

クリス:大学を出てプロゴルファーになって、カナダのツアーに出ていたんだ。辞めたあとはポートランドにあるクラブメーカーに就職して、貿易や製造について学んだ。デザインして、商品化して、輸送して、売って、という全プロセスを習得したよ。当時から、自分でブランドや会社を立ち上げたいと思っていたから、とても良い機会だった。

マット:僕は、1974年に祖父が始めた電気器具販売店、「North Coast Electric」で働いてた。30年以上続く稼業なんだ。僕もそこで電球や電線を売っていたんだけど、なかなか情熱が湧かなくて(笑)。だから、自分が大好きなゴルフビジネス、しかもジョーンズをスタートさせられるかもしれないとなったときは、最高の気分だった。クリスはもともと友だちの友だちで、出逢ったタイミングがとにかく完璧だった。いまではまるで兄弟だよ。

編集部:全く違う経歴の2人が、ゴルフを通じて運命的に出逢ったんだね。ジョーンズは、ブランド名だけではなくて、デザインごと譲り受けたの?

クリス:復活第1弾のバッグは、ジョージ・ジョーンズが創り上げたアイコニックなバッグの、完全レプリカだった。幸運にもジョージ本人にも会って話すことができて、かつてのバッグを復活させたいと伝えたら、すぐに賛成してくれた。ちょっとした改良についても「ああ、これはいい。私もなんとかしたいと思っていた箇所なんだ。よい仕事をしたね」と、喜んでくれたよ。

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▲歩いてラウンドすることを想定してつくられた、ジョーンズのアイコニックなキャリーバッグ。全体がナイロンキャンバス素材で、片側だけ芯が入っているため、くたっとしたヴィンテージ感とシンプルなデザインがカッコイイ。

編集部:そこから、徐々に進化していったんだね。

クリス:最初の3年間は、基本に忠実に、オリジナルバッグだけをつくっていた。もともとの顧客たちに受け入れられて、どんどん成長したよ。ただ、その間もチームのみんなで必死に考えていたんだ。大事なのは、かつてのジョーンズに期待されていることに応え続けるということよりも、いまのゴルファーに対して、どんな価値をできるかだって。

マット:そう、ゴルファーのために、何ができるか。ゴルフはつねに僕たちのDNAに入っているから。

クリス:マットの口癖は、「We’re golfers making golf bags.(僕たちはゴルフバッグをつくる“ゴルファー”だ。)」なんだ。

編集部:ブランドを譲り受けて、今年で何年目?

マット:2011年12月にスタートしたから、7年目になる。

クリス:最初はアイコニックなキャリーバッグからつくり始めて、ここ4年くらいかな。自分たちのやりたかったことをいろいろと実現できて、とてもエキサイティングだよ。情熱を注いだプロジェクトの開発、プロデュース。自分たちのレガシーが形作られたと思う。

編集部:具体的には、どんなプロジェクト、そしてプロダクトを生み出したの?

クリス:プロダクトラインナップとしては、ゴルフバッグのほかに、ダッフルバッグやバックパック、トートバッグ、クーラーバッグといった、僕らが「Beyond the fairway.(フェアウェイを越えて。)」と呼んでいるライフスタイル商品を増やした。ジョーンズスポーツカンパニーは、ゴルフバッグの会社ではなく、いまやバッグの会社。ゴルフってプレーだけではなく、トラベルでもあるでしょう。バラエティに富んだバッグを、ゴルファーに提案していきたいんだ。

▲大容量のトラベルバッグやバックパック、そのほかポーチやシューケースなども展開している。

編集部:いずれの商品も、今っぽくカジュアルでありながら、スポーティーだよね。たとえば人気LAブランド「マルボンゴルフ」ともコラボをしているけど、彼らはスケートカルチャーにインスパイアされていて、日常でも着られるカジュアルウェアを提案しているよね。ジョーンズとしては、カジュアル路線をいくのか、それともスポーツブランドとしての立ち位置でいくのか。スポーツカンパニーと聞くと、やっぱりスポーティな方向性?

マット:ちょうど、その中間。ジョーンズはいまでも、アメリカの高級カントリークラブでは「昔ながら(old-school)」を感じさせるものとして需要がある。ゴルフマーケットはたしかにカジュアルシフトしてる。僕自身もシャツは出したいし、キャップのつばを逆さにしてかぶりたいけど、それが受け入れられることもあれば、受け入れられないこともある。受け入れられるときはそれを最大限に利用して、リラックスして、音楽をかけて楽しめばいいんだ。ゴルフはカジュアルに向かうべきか、伝統を保持すべきかじゃなくて、状況に応じて選択をして、それすらを楽しむことが大切なんだと思う。

編集部:それはまさにスティーブン・マルボンも同じことを言っていたし、ブルーダーとしても、縛りがあったとしても、それすらも楽しいのがゴルフだと思ってる。

次回は、2人におすすめキャディバッグのくわしい使い方を伝授してもらうので、乞うご期待!

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